対応機種 | ファミリーコンピュータ |
発売日 | 1987/12/18 |
価格 | 5900円 |
発売元 | スクウェア |
ドラゴンクエストのヒット以降、RPGといえばびっくりするぐらい細部までドラクエを踏襲したものばかりであったが、
この「ファイナルファンタジー」は、できる限り新しいものを生み出そう!というチャレンジ精神に溢れた作品である。
最も象徴的なのは戦闘シーンであろう。
ドラクエではファミコンの貧弱な性能に合わせて状況を文章で表現していたが、このゲームでは出来るだけ視覚的に表現している。
その思想に合わせる形で、当時主流だった対面式バトルシーンではなく、サイドビュー方式の画面構成を“発明”した。
まだ1作目では、エフェクトの種類は全然なく貧相なシロモノだが、これは画期的な試みであった。
それから魔法はMP制ではなくウィザードリィの回数制を採用した。これはRPGの主流にはなることはなかったが、MP制より合理的な選択といえる。
なぜなら、当時のRPGは消費MPを表示していなかったから魔法ごとに消費MPをプレイヤーが記憶する必要があったし、どの魔法があと何回使えるかということについてもわざわざ計算する必要性が生じた。
回数制にすれば、ひと目でどの魔法があと何回使えるかということがわかる。結局FFも、回数制のシステムを使ったのはこれと3だけで、それ以降はMP制に擦り寄っていってしまうのだが...。
FFといえばストーリーを重視した作風で有名だが、一作目ではまだその手法は確立しておらずストーリーによる強制力はなく、主人公側も喋らないドラクエ的な文法で開発されている。
イラストレーションに天野喜孝を起用しておりジャケット絵は独特で幻想的なイラストが描かれているが、これが最も効果的に作用しているのはモンスターデザインではないかと思う。
デザイン画に合わせるように作られた、写実的でグロテスクなグラフィックデザインはとても斬新である。
変態プログラマー、ナーシャジベリを開発に参加させているところも大きい。
戦闘画面など画期的な要素の多い作品でありながら、どの場面においても処理が軽く、ファミコンのゲームでありながら驚くほど気持ちよく遊べる。
メニュー画面の構成やゲーム全体の設計など、どこまでが彼の功績なのか気になる所だ。むしろ、このゲームの一番の見所はゲーム自体ではなく、高速な処理を実現したプログラミングにあるのではないかと思ってしまうほどだ(笑)
今挙げたようにゲームの設計としては目新しいだけで、肝心のゲーム自体は大したことはない。まあ、スクウェア的というか、ゲームバランスや構成などは実に大雑把な作りだ。
そこで結論。
シリーズの基礎を築いた意欲作。