対応機種 | ニンテンドーDS/Wii |
発売日 | 2009/01/29 |
価格 | 4800円 |
発売元 | スクウェアエニックス |
本作は、NDS「ファイナルファンタジークリスタルクロニクル リングオブフェイト」直系の続編である。
ニンテンドーDSとWiiのプログラミングに互換性を持たせた「ボラックスエンジン」を用いて作られている。ここではそれについても触れる。
前作のシステムエンジンを使いつつ、不満点として指摘されていた部分を改善して作られている。
たとえば、魔法の切り替えにタッチパネルだけでなく、ボタン操作でも切り替えられるようにしたり、現在いるエリアマップを表示させるなど、インターフェイスに改良の余地が見られる。
ただし、根本的なゲームシステムに変化がないので、大雑把なアクション性やその辺の詰めの甘さ、距離感のつかみづらさなど、こういった部分はまだ作り込みが甘いままである。
前作では、シングルプレイとマルチプレイの2種のゲームモードがあり、それぞれが独立して存在していた。
今作では、Wi-Fiコネクションによる、ネットワーク協力プレイに対応したこともあり、マルチプレイを前提としたゲームモードに一本化された。ただし、エンディングまでのプレイなど、一通りのプレイは一人でも支障なく遊べるように作られている。
ラグが目立つとの報告もあるが、対応させるのとさせないのとでは、この手のゲームでは天と地の差のある部分である。無茶してでも対応させるべきだった。この点では、今回の決断は正解といえる。
メインストーリーも付けられているが、前作とは違い、後付けで強引に付け足したような感じで、シナリオのレベルは高くない。
イベント演出も、むやみやたらにムービーに頼りすぎており、そのムービーもリアルタイム処理のものを、ムービーに落とし込んだだけで、クオリティは高くない。
ゲーム内容は、前作の散漫としていた印象と比べ、コンセプトがはっきりしており、好感が持てる。
また、アドバタイズデモに高画質のムービーを入れるのをやめたり、ストーリー演出も、こざっぱりとしている。
ようは、素人目にもわかるような低予算の作りというわけだ。
このゲームは、多人数での協力プレイに主眼をおいたゲームであるから、余計な要素と思われる部分はバッサリと切り捨ててもゲーム的に支障を来すことはない。
意味もなくお金をかけてゲームを作るのではなく、方向性をはっきり決めて、利益を上げることを優先とする制作方針は、良いことだと思う。
ゲームを作る上で、しっかり芯の通ったゲームは、無駄が無くすっきりしていて、下手にあれこれ手を出すゲームなんかと比べると、よっぽど出来は良い。
WiiとニンテンドーDSでのマルチプラットフォームを実現した、「ボラックスエンジン」は、簡単に書けば、両者のハードに互換性を持たせたシステムエンジンである。
どちらのハードからでも、Wi-Fiコネクションに接続して(別ハードのゲームでも一緒に)遊ぶことが出来るということは、規格が統一されていなければ実現出来ないのである。
2機種のゲームを比べてみたところ、ポリゴンのテクスチャーはWii向けに作った物を、ニンテンドーDSでは解像度を落として表示させているという仕組みのようだ。
そのため、Wii版で遊んだ場合、DS版と比べテクスチャーはかなり綺麗に映る。しかし、それ以外の文字などの表示は、DSにあわせた物になっているのか、表示が荒くなっている。
元々は、ニンテンドーDSをメインに開発していたのではないだろうか?
操作性やインターフェイスは、圧倒的にニンテンドーDS版の方が優れている。
というか、ボラックスエンジンを意識した作りにはなっていない。
Wii版の場合、DSの2画面を左右に並べて表示して、-ボタンや+ボタンで、それぞれの画面を拡大縮小して表示出来る。
しかし、ニンテンドーDSは2画面を上下に置いて表示しているので、違和感がある。
また、こういった仕様上、両方の画面を同時に見るということが難しい。
最近のTV画面は、横長のワイドサイズということで、あえて左右に表示させるようにしたのだと思う。また、画面をフルサイズにして表示させることは出来ない。
Wii版では、ヌンチャクとリモコンを使うスタイルだが、クラシックコントローラを使えても良かったと思うのだが?
アナログスティックを使って移動をするが、8方向にしか認識しない。これではわざわざアナログスティックを使わせる必然性が無い。
クラシックコントローラを使わせることで、ニンテンドーDS版に限りなく近い操作性を持たせることができるのだから、対応させるべきである。
ヌンチャク+リモコン操作では、不便を感じる箇所がいくつか感じられた。
たとえば、魔法詠唱と仲間呼び寄せがcボタンに割り当てられており、魔法詠唱するのには、c長押し、仲間呼び寄せがcチョン押しという格好である。
DS版ではこれらの操作は別々のボタンに割り振られていた。
「ボラックスエンジン」は、情報サイトを見ると、DS版とWii版両方のソフトでWi-Fiコネクションに接続でき、通信プレイが出来るようになるエンジンと説明されているが、
そのためには、プログラムに互換性を持たせる必要がある。
なので、今回のネットワーク周りだけにとどまらず、WiiとニンテンドーDSで、マルチプラットフォームを展開させるための布石ともとれる作品だろう。というか、応用の利くシステムエンジンである。
ただし、そのためには、Wii版でのインターフェイスも考慮したゲーム作りをおこなう必要性が生じる。
本作はまだ一作目ということで、操作形態やインターフェイスに難のある面があったが、この「ボラックスエンジン」の効果的な活用に関しては、今後に期待したいところだ。
まさかこれ一作きりで終わらせるつもりは無いだろう。
そこで結論。
新しい方向性を感じるゲーム。内容自体は手堅い続編といった所。