ファイナルファンタジータクティクスA2 封穴のグリモア


対応機種ニンテンドーDS
発売日2007/10/25
価格4800円
発売元スクウェアエニックス

(c)2007 SQUARE ENIX / Basiscape
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ゲームボーイアドバンスで2003年に発売されたファイナルファンタジータクティクスアドバンスの続編である。
A2というのは、対応ハードがDSなのに「アドバンス」と冠づけるのは違和感があるのか、このように略称したようだ。

ハードがDSに変わったからといって、タッチパネルを無理に使わせるようなことはなく、2画面の使い方は、メイン、補助と切り分けているし、上下画面の切り替えもオプションで可能だ。
ゲーム性を大幅に変えたわけでもなく、随分と保守的な続編の作り方といえる内容となっている。

ゲームシステムやストーリーの題材も、前作を踏襲していて、内容の改善や物量的な面での追加にとどまっている。
そのため、前作経験者であればすんなりと入っていけることだろう。

非常に丁寧な作りであるが、増えすぎたアビリティのためか、エフェクトが使い回されていたり、専用エフェクト自体がなかったりと、雑なところもある。
メニュー周りの処理がもたもたしていて、コマンド入力の多いSLGにおいてこれはストレスになる。やっていて全体的にもっさりした印象を受けるのだ。

今回、メインストーリーの主張は弱く、サブクエストの味付けの濃さを見るに、いわゆるやり込み要素を楽しんで欲しい方向に軸足を強く置いているようだ。
一応、物語とエンディングは存在するが、今作においてそこの比重はきわめて低い。

サブクエストの数が非常に膨大で、DSらしからぬボリューム感を感じられる。クリアまでもかなり時間を要してしまった。
脇道のクエストを攻略して、メインシナリオのクエストに戻る時のスパンが長く、筋書きを忘れてしまう。「テイルズオブ」シリーズのようにあらすじ機能が欲しい。
今回は、クエストを派遣でクリアするか自力でクリアするかを一部除き自分で選べるのだが、派遣を使うと早くクリア出来るが、そのクエストの話を見ることが出来ず、全部自力でやろうとすると時間がかかりすぎてしまう。何とかして欲しい。
このジレンマを楽しんで欲しかったのかもしれないが、数が膨大すぎる。

ファイナルファンタジーお得意のジョブは、種族ごとに違うのがこのシリーズの特徴(PS版除く)で、今回はさらに2つの種族が追加された。
しかし、全種族が7つなのに対し、戦闘に連れて行ける最大人数が6人で、違う種族を入れようとしても数が多くてあぶれてしまう。
前作のように多少あきがあるぐらいが丁度良かったように思う。ま、全種族を入れようとしなくてもいいのだが、なんだかもったいない感じがする。
それと残念なのが、新種族のジョブが極端に少なく、後付感バリバリだ。

ロウを守る(戦闘中にやってはいけない行為が定められるシステム)という要素が特徴的な作品だが、よほど評判がよろしくなかったのか、今回は“ロウを守ることで恩恵を受けられる”ポジションに仕組みが変更された。違反することで該当キャラが捕まるということも無くなった。
このロウはクラン(パーティ)ごとに違うので、実質的にCPU側にはロウが無いことになる。
前作のように共通のロウがあって、相手をロウ違反に誘い込んだり、アンチロウで無効化したり、有利なロウになるよう時期を調節する戦略性も面白かったものだが、なんだか今回はその辺りが薄っぺらに感じられた。

イヴァリースアライアンスというプロジェクトの一環のソフトで、同様の世界観を持つファイナルファンタジー12のキャラクターが登場し、ストーリーに絡んでくる。
ファンサービスという面では良いとは思うが、なんだか露骨すぎて女々しい印象がある。音楽なんかも使い回していたり、もうちょっと独自性が欲しい。あくまでこれは別作品なのだから。

敵を倒すと素材を落とし、それを合成してお店の品揃えを増やしていくシステムは最近のはやりだが、これは面倒っちゃ面倒だが単純に面白い。

ワールドマップが広くなったものの、バトルフィールド自体は山、草原と言うふうに使い回しされていて、あまり意味が無い。
あと、バトルマップがやたら広かったり入り組んでいたりでテンポが悪くなったりするのも残念。

グラフィックだが、全部ドットに見えるが、実はフィールドはポリゴンである。なので、グリッドのマス目が規則正しい並びではない。高低差によって見えづらい部分がある。
演出的な面で都合が良いからということで、ポリゴンにしたのだろうが、平面の方が視覚的に見やすいので、出来れば2Dでやって欲しかった。

この会社らしからぬ無難な作りが、逆にオリジナリティに乏しい結果を招き、なんとなく作業的になってしまう。
確かに平均点な出来だが、特別面白くも無い。なんだか残念なゲームである。そこで結論。

意外と見所が見あたらないゲーム。





[2007/11/17]
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