フロントミッション5 Scars of the War


対応機種プレイステーション2
発売日2005/12/29
価格6800円
発売元スクウェアエニックス

(c)2005 SQUARE ENIX
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2005年春にオンライン版が稼働したフロントミッションのシリーズ最新作。
独自性の強い戦闘システムが印象的なシミュレーションRPGであるが…。

4のシステムを踏襲して、いくらか新しいことにも挑戦しているようだ。
ただ、前作が複雑すぎたのを反省したのか、だいぶ取っ掛かりを良くするよう改良をしてあるが、かといって間口が広まったとは言い難い位置。
特にセットアップカスタマイズは全体的に簡素化され、イマイチな出来になっている。なんで、面白かった部分をごっそり取っちゃうかねー。
インターフェースにも、コマンドを日本語表記にするといった親切心がかいま見えるが、見やすくなった使いやすくなったという実感はわかない。
逆に、HPバーが短くなってしまったので、減り具合が分かり辛かったり、相変わらずごちゃごちゃとしたウィンドウデザインと、前より酷くなってないか?という感じだ。
まぁそれでも慣れれば多少は気にならなくなる。ただ、誤操作を何度かやらかしちゃう局面もちらほらあったが。

今回、リンク攻撃がユニットを隣接しているだけで簡単に発生するので、前回のように自分で組み立てて戦う楽しさは薄れてしまったと思う。
当然相手側も当たり前のようにリンク攻撃を仕掛けてくるので、二手先三手先を見越した動きをしなくてはならない(それでもきつい時もある)難しさも見せる。
また、攻撃時の消費APが減ったので、その分何度も動けるために、乱戦時は少々テンポが悪く感じられた。
しかし、一面をクリアするのにかかる時間が2時間以上はザラ、終盤は3〜4時間ってのは、ちと長すぎやしないか?
ほとんど昔のウォーシミュレーションのノリである。中断セーブ、戦闘スキップ機能必須。

難易度は、そこそこ歯ごたえはあるが一つ解せない不満点があって、ランダム要素の強いシステムなのに、いくつかの面でシビアなターン制限をかけられる点で、広いマップに大量に配置された敵を倒すのに、こちらがちょっと強引な動きをすると、
ルーチンがこなれてないのか、同じところを行ったり来たりして距離を取るように逃げ回ったりするあの意地悪さは何とかして欲しかった。

イベントシーンは、「メタルギアソリッド」のように、全てリアルタイムデモで作られており、なかなか頑張っている。
ただ、どーも展開が唐突で説明不足な節も見受けられる。演出もたいしたことないし、プレイ時間に対してボリュームも少なすぎる。
言っちゃ悪いが、オンラインに興味を持ってもらうための安上がりな客寄せパンダでしか無い気がする(宣伝映像が入っているし)。

あと、戦闘アニメも相変わらず凝っている。けど、4よりおかしな挙動をする箇所が増えた気がするし、相変わらず戦況を掴みにくいのは問題。
ミサイルのエフェクトなんか完全に「割り切った」作りだし。
今回は一応、敵ユニットを赤、味方ユニットを青で目の部分を光らせたり、カメラを固定させたり、画面上のヴァンツァーにパイロット名を表示させるフォロー機能もあるが、せっかくなのだから、なるたけ見栄えの良さと見やすさを両立出来た仕様を作り上げて欲しかった。

それと、敵が昇竜拳してきたり、刀を持ってたり少々漫画チックになってて、前作の気品の良さが薄れたようにも思う。

インターミッション時では、基地のなかを自由に歩ける!と書かれているのだが、今までコマンドから選んでいたのを視覚化しただけで中身の違いはない。
ポリゴンマップの中をプレイヤーキャラを操作するっていう自由さは残念ながら無い。ちと詐欺ってないか?
ここでは、本編の説明不足のストーリーを会話で補うことが出来るが、度を超えた下世話なやりとりや、親父臭いテキスト群に萎える。
なんちゅーかさぁ、素人に書かせた文章じゃないんだから、もーちょっとちゃんとした会話を書いてきて欲しい。まるで駄文乱文のレベル。

基地にいる兵士をスカウト出来るなかなか手の込んだ新要素を入れているのだが、SLGマップで倒されたキャラはいなくなるわけでもないし、
自軍にいるユニットが進行上いなくなったりするわけでもないので、イマイチ必要性がない。
兵士のステータスの中に「性格」というのがあるのだけど、恐らく自分以外はAIで動いたりするような突飛な仕掛けを考えていたんではないかと思う。
他にも、製品版では最後まで6人1小隊が最大出撃数だったけど、2軍3軍ぐらいの編成で遊ばせるようなことを本当は予定してたように思う。
やたら、1ステージでの敵の数が多いし、いくら敵もパーティ行動をするってのを見せたいにしても、である。

4では、マップによってメインキャラ以外に自分で操作出来るNPCキャラを6人出せて、あわせて最大12名で戦えたのだけど、これのおかげで終始ステージマップに幅を持たせることが出来たが、
今作は6人が最大なので、いくら頑張っても戦略がやはり固定的になってしまってなんとなくダラダラしてしまう。正直、ある程度やれることが整った先は、ながったるくて仕方が無かった。

ヴァンツァーのセットアップも、改造とか色々やれることがあるわりに、実はたいしたことは出来ない。
ゲームが進むと、新しい系統のパーツが入るけども、じっくり試せるほどのお金が手に入らない。
結局、前から装備していたパーツを改造でレベルアップして…という保守的な動きになりがち。一々アリーナで稼ぐのも面倒。それぐらいカツカツ。
パイロットセットアップも、前の幅の広さは失せ、戦闘スキルのみで、やれることが少なく実につまらない。
この辺、前回は本当にお金や経験点の与え方がしっかりしていたのに、どうにも歯切れが悪い作り。

ジョブレベル、パイロットレベルの概念があるが、これも両者の意味合いがイマイチはっきりしない。わりとチュートリアルの説明は丁寧なのに、重大な事柄が抜け落ちてるのはどういうことなのか。
ジョブもねぇ…。オンライン版よりも、名称が抽象的になっちゃって、馴染みにくい。スナイパーがガンナー、ミサイラーがランチャーってな具合。ヒジョーにわかりにくい。適正な名前にするには仕方ないところもあるのだが。

ストーリーをウリにしてるものの、中身が無くムービーも全然無い。つまりは、ながったるいSLGパートを延々と攻略し続ける淡泊なゲームということだ。
駄作とまでは言わないが、どうも4作目の出来映えに満足しちゃったまま適当に作ったような荒々しい作りである。

進化の歩みを止めるにはまだ早いぞ!次回作に期待。





[2006/01/10]
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