フロントミッションオンライン


対応機種プレイステーション2(HDD必須)
発売日2005/05/12
価格6800円
発売元スクウェアエニックス

(c)2005 SQUARE ENIX
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人気シリーズ、フロントミッションが遂にオンライン進出。
ファイナルファンタジー11と同様、プレイオンライン対応ソフトとなっている。

本作をプレイするには、FF11と同じくプレイオンラインをPS2にインストールし、アカウントを得るために入会手続きも必要。
ちなみに、パッケージには「プレイオンライン(及びテトラマスターと雀鳳楼)」も収録されてるので、別にFF11を購入する必要は無い。
「プレイオンライン」と「フロントミッションオンライン」の2冊に渡る膨大な説明書もしっかり付いてくる。

また、ネット環境においても、ブロードバンド回線とP2P通信が出来ることが条件として挙げられていて、ちょっと敷居の高さを感じる。
特にP2Pというのは、聞き慣れない言葉だと思うが、説明書にも具体的な解説がないのはまずい。
プレイする分には、必要ない知識ではあるが、「専門書を参照して下さい」とあれだけ分厚い説明書で丹念にゲーム内容に関しては解説が入ってるのに
ゲーム外のことになると手の平を返したように丸投げな扱いをしてるのは配慮不足だと思うのだが。

ちなみに、公式ホームページで本作が遊べるかどうかの判定ソフトがダウンロード出来るので、買う前には必ず判定しておかないと泣きを見るので注意。
プレイ不可と判定を下されても、たいていはルーター周りの設定をいじれば(ポート開ける、IPを固定するetc)出来るようにはなる。
だが、ISDNなどナローバンドで遊ぶのは苦しいようだ。

ゲーム自体は、「ファンタシースターオンライン」のようなMOタイプでありながら、MMORPGのような一体性を持たせている。
ロビーからバトルマップを選びゲームを始めるという一連の流れはMOだが、バトルマップ(つまりは従来型ではゲームを遊ぶ部屋)が
エリアごとに定められたゲームサーバーに集約して接続するタイプらしく
同じバトルマップで一定数以上の部屋を作ることが出来なかったり、部屋にパスワードをかけるいわゆる鍵部屋が作れなかったりと、ちょっと融通が利かない。
ロビー自体は複数あり、行き来は自由に出来る。

しかし、変にMMOの要素を絡めていることが足を引っ張っている。
FF11のリージョン争いと同じ要素を持ってきていて、一戦ごとの戦闘結果が全体の戦局としてデータに反映されたり
設定上、所属国が異なるプレイヤーとは仲間として一緒に遊ぶことが出来ないなど、MOのジャンルとして見た場合、
独りよがりだし、実際システムの煩雑さを生み出してると思う。

パーティのことを「バトルグループ(BG)」と呼ぶなど、独特の単語がかなり多いが、困ったことにそれが何を意味するのか
イマイチ直感的で無いためわかりにくい。パーティに入る手順もただ部屋に乱入するだけでなくロビーで予め組めたり、
パーティ単位でコメント表示出来る機能など、利便性が高いことは高いのだが、もっと単純化は出来なかったものか。
また、パーティを組んだ状態でも、せっかくリーダーの概念があるのに、リーダー以外のプレイヤーでも
勝手にバトルマップに出撃出来てしまうので、行動の統制が取りづらい。
リーダー以外はマップセレクタにアクセス出来ないようにするという制限をかけて欲しい。

この辺り、サーバーの構成といい、説明書でも曖昧に扱われていて、独自性を出したかったのは分かるのだが
はっきり言って分かり辛いだけ。結局はMO形式のゲームなのを適当にごまかしてるようにしか思えない。
「ファンタシースターオンライン」でも世界観を出すために固有名詞が多用されていたが、
それらは一回見ただけで何を意味するか分かる程度のものだったし、パーティ結成のプロセスも限りなく簡素化されていた。
もう少し本作もこのゲームの取っつきのいいところを見習って欲しかった。

鍵部屋が作れない、一つのバトルフィールドで作れる部屋数が決められているなど、基本的にパーティに参加するのが前提の作り。
正直言って、一人でのプレイは救えないほどつまらない。
パーティ人数によって出現する敵数が変わったり、仲間のNPCが増援として戦闘に参加してくれる配慮もあるが、
単調すぎて全く面白くない。
そのため、このゲームを遊ぶためには積極性が求められるので、受動的な人には辛いゲーム。

但し、一回の戦闘が短めなのと、パーティの着脱は比較的しやすいので、拘束されている感覚は薄い。

インストール中に世界設定が丹念に語られたりする細かさはあるのだが、実際のゲームではFF11以上にストーリーによる誘導はなく
最初ちょっとした訓練ミッションを終えたあとは、ひたすらバトルフィールドへ赴き戦いを楽しむゲームである。
戦闘を繰り返し経験値を稼いで、新たなエリアへ行けるようになるという、このゲームもなんだかんだ言ってオンラインゲームのお約束を思いっきり踏襲したスタイルである。
バトルマップはかなりの数用意されていて、飽きることは無いかというとそうでもなく、その代わり一つ一つのマップが淡々としており
決して少なくない経験値稼ぎを楽しく彩るまでに至っていない。
しかし、メカ物ゲームでLV上げのような育成要素を楽しむってのは、なんだかどこかずれてる気もするのだが、如何な物か?

LVアップの頻度は、オンラインゲームの中では上がりやすいが、オフラインゲームと比べるとあがりにくいという辺りにある。
ちなみに、ここでもそうなのだが、一人プレイでの経験値稼ぎは絶望的である。

実際のゲーム内容は、「フロントミッション4」のシステムで乱暴なたとえだが、メカ物のFPSをやらせているという感じ。
アクション性がかなり強く、操作性も独特なので、結構な難しさである。
ジョブによって、例えば前線に出て戦うアサルトなんかはかなり忙しく、苦手なプレイヤーには
支援に徹するメカニック(回復係)や、レコン(策敵)やコムス(爆撃支援)などがあるが、いずれにしてもリアルタイムなゲームなので忙しいし敷居の高さに代わりは無い。
しかも、最初から全てのジョブを選べるわけではなくアサルト、ミサイラー、メカニック以外はゲームを進めないと手に入らない。

このシリーズは機体のセットアップがわりとややこしいが、ショップで購入出来る品揃えがレベルアップを重ねていかないと増えていかないように
迷わせない工夫が施されており、未経験者でも入り込みやすいように作ってある。
最初に選べるジョブに制限を付けてるのも、この点からすれば悪くないかなとは思うが、ちとやりすぎにも思う。

ゲームをやり込むことで出来ることが増えていく仕組みは、親切ではあるが、プレイ時間的にはオンラインゲーム並みのものを求められるので冗長さが漂う。
全編こういう押しつけがましさがあるが、ただ、チュートリアルキャラがいて、いつでも知りたい情報を参照出来るのは良い点だと思う。

やはり、同じプレイオンライン対応のソフトだけあって、コミュニティの空気としてはFF11に近い物があるし
実際FF11プレイ者も多い。
また、アクション性の強さに対応する形で、ボイスチャットにも対応しているが、利用者は全体からすれば3〜4割程度で
標準で付いてくるX-BOXliveとは違い、ボイスチャット自体に賛同しているプレイヤーと否定しているプレイヤーがわかれているようだ。

インターフェースと操作性が非常によろしくない。
特にメニュー周りではキーボードじゃないと出来ない操作もあって、PS2用のゲームで、この操作性は理解に苦しむ。
過去ログの閲覧なんかはもっと見やすく出来ないものかと思う。
ウィンドウ周りの構成も見づらさが残る作りで、この辺りβテストで指摘されなかったのだろうか。
一番気になったのが、カメラ操作で、FF11とは逆の動き方をする。
オプションで変更出来るから良かった物の、お互い位置の近いゲームである、なんとか統一出来なかった物か?
そのほかでも、FF11という土台があって、おそらくそこに準じて作られているのだろうが、
それならばもう少し、洗練された操作性を構築出来て当然であるはずなのに、この辺りの出来映えがかなり酷い。
ただ、画面上部真ん中の目立つ位置に時計が表示されているのは良い。

音楽をはじめとして、シリーズファンをニヤリとさせる要素にもことかかないし、
逆に世界観が共通しているとはいえ、未プレイでも問題ないゲームではある。この辺りの位置づけはなんとも上手である。

しかし、いまどきMOタイプのゲームはやはり辛い物があり、特にFF11を見てしまっていると落差にがっかりするだろう。
また、オンラインゲーム=経験値稼ぎという風潮に疑問視されはじめている時代に、おもいっきり経験値稼ぎのものを持ってくるのも
今更感が拭えない。
数年前までは、オンラインというだけである程度のアドバンテージにはなったが、現在はさすがにそれだけじゃやってけない。
だが、本作に関してはその辺りで根本的に目新しさを出そうという努力が感じられない作りには落胆せざるを得ない。

技術的には最先端だが、ゲームとしては古い作りです。微妙。





[2005/05/13]
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