ファイナルファンタジークリスタルクロニクル


ファイナルファンタジーシリーズの新作がゲームキューブで登場。

おおまかな内容は、ディアブロやファンタシースターオンラインと同じで
最大4人でダンジョンを攻略していくゲーム。
ただ、本作は成長要素が殆ど無く、古いゲームだがアクション要素も強いことと合わせて
「ガントレット」に近い気がする。

GBA接続ケーブルが同梱されていて、2人以上でプレイする場合はGBAが人数分必須となる。
だが、はっきりいってこれは敷居を上げるだけのものにしかなっていなくて、
GBAをわざわざ接続させるほど手間をかけさせる利点が無く使いこなせてない。
というのも、テレビ画面だけで十分だからである。
技術的にはGBAのモニタにゲームの状況に合わせた情報を流すことが可能なんだが
(DCのビジュアルメモリと一緒)
これはただ、マップ画面のレーダーと各キャラがクリア以外に課された別々の目的が
表示されているだけ。
このレーダーもプレイヤーによって表示される物が違って
そこで各々が協力してもらおうという意図なのだろうが、
レーダーはちょっと便利という程度で殆ど必要ない。

基本的に多人数プレイが前提の作りではあるが、
プレイした感覚では、一人ではところどころ不便に感じる程度で
多人数プレイとはそれほど劇的には変わらないと思われる。
(合体技の発動やスイッチ同時押しといった部類の仕掛けが面倒なぐらい)

さすがスクウェアだけあってグラフィックが凄く綺麗。
GCは水面の演出が得意で、これまでもそれを使ったGC用ゲームというのは
いくつか発売されているが、
これほど自然に、他の風景と溶け込んでいる絵ってのは、これが初めて。
とにかく澄み切った空と草原の空気感がとても良く出ていて、芸術的。

これだけ綺麗な映像を構築してきているのに、肝心の見せ方が
いつものFFらしくなくって、ゲーム時は殆どカメラが上方から動かない。
これでは2Dのゲームを遊んでいるのと一緒である。勿体ないとしかいいようが無い。

また、シリーズのウリであるシナリオもワールドマップを移動中にランダムで起こる
突発イベントで、その断片がかいま見える程度で、かっちりしたストーリーは無い。
他にも、ネットワークRPGのように素材の合成といった要素を入れたためか、
アイテムの所持限界数が設定されていて、ちょっとやるとすぐに満杯になってしまう。
このようにところどころでいつものFFらしく無いのが異常に気になった。

一応、エンディングやラストボスも用意されているのだが、
どちらかというと、仕方なしに用意したという風で、
そこまで行き着くためのヒントは全く無く、クリアして欲しいのか分からない感じである。

サガシリーズの河津秋敏がプロデュースしているせいか、妙にサガ臭いところも鼻につく。
年数を進めるごとに初期に訪れたダンジョンの敵も強くなっていたり、
特にゲーム後半になると、敵の固さやしぶとさ、強さが尋常じゃ無いほどになってしまい
手に負えなくなってしまう。
そのせいで、スタート地点から遠い場所にあるダンジョンでは長さと敵の強さが合わさって
一つのダンジョンをクリアするだけでも1〜2時間と長時間要求されるのも参った。
もう、こういう状態になると、ボス戦や一部ザコ戦でも、特攻して攻撃したのち敵の攻撃でダウンして
起きあがった直後ケアルで持ち直しというしんどい戦術が要求される。

ダメージ表記やステータス数値が無く、どうもアナログ的なシステムにしたかったようで、
前述の通り、成長要素に乏しいのとあわせて、キャラクターが強くなった実感がわかないようになっている。
基本的にプレイヤースキルを要求される作りなので、育成を楽しむことは出来ない。

映像は綺麗なんだが、音楽の抑揚が無く、眠気を誘うほど退屈。
また、ダンジョン突入時にその場所にまつわる昔話や解説が声つきで入るのだが、
残念なことに、世界全体の作り込みがちゃんとなされていない(町も幾つかあるが中途半端)ため
いまいち面白く無い。

一人プレイはさることながら、多人数プレイでも作業的な淡々とした展開になりがちで
それはなぜかというと、ストーリーの描写が少ないのと、
そもそもキャラクターごとの明確な性能差(ジョブの設定)が無いことからくる。
結局、育成要素も無いに等しい(武具の強化とアーティファクト収集があるが魅力が薄い)から
プレイする動機も必然的に弱くなってしまう。
戦闘時の操作も複雑かつ独特で入り込みづらい。

どうも、何をやりたかったのかはっきりしないゲームである。




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