ファンタシースターオンライン エピソード1&2


対応機種ゲームキューブ
発売日2002/09/12
価格6800円
発売元セガ

(c)2000 2002 SEGA / SONICTEAM
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ドリームキャスト末期に発売され、大盛況となった、オンラインゲーム(MORPG)「ファンタシースターオンライン」。
それに対して今作は、ただの移植にとどまらず、ステージ(エピソード)を追加したり、数々の改善点を施し、ゲームキューブへ新作レベルと言っていいぐらいの豪華絢爛な移植を行った。

まず前置きとして。
自分は、DC版「ファンタシースターオンライン」はオンラインも含めてかなりプレイしていて、総プレイ時間は200時間(500時間位はやっていたと思うが、確実にやっているだろう程度のプレイ時間を記した)は軽く超えていることと思う。それぐらいDC版はプレイした。
GC版においても、発売日に必要機器(ブロードバンドアダプタとかGC用キーボードとか)を揃えてプレイしたのだが、オンラインにおいてはアイテム無限増殖バグ騒ぎなどがあって10時間未満のおさわり程度のプレイしか出来なかった(ディスク交換も行なったのだがモチベーションは大きくそがれてしまった)。
レビューを書くにあたってプレイした2018年の段階では当然、オンラインサービスは終了しているため、オンラインモード関連のことはあまり書くことは出来ない。
そもそも2018年にもなって、2002年のオンラインゲームのレビューをするのはいかがなものかと思うのだが、オフラインでも遊べる部分を中心にレビューを書いてみたい。

基本的には、ドリームキャスト版の「ファンタシースターオンラインVer.2」に相当する内容をそのまま移植しているのであるが、ハードが変わったこともあり細かい部分においてまで多くの変更点や大きな追加点がある。

まず、3種類の新しい職業が追加されたこと。
また、各職業のバランス調整もしっかり取られるようになり、とりあえずハンター最強だったDC版とは異なり、各職業が個性を発揮できるようなバランス調整が入るようになった。
HPマテリアルといった、ドーピング系アイテムも、無制限に使用可能だったDC版とは異なり、GC版では使用回数に制限があり、万能なキャラを作りづらくなっている。
まあそれでも、初心者向けと謳われているハンターが万能な位置にあるのは変わっていない。妥当な調整だろう。

次に、グラフィックについて。
基本はDC版の移植であるからなのか、全く手を加えられていないようである(リューカー使用時のワープポイントの歪みなど、エフェクトには若干手を加えているようだが)。
とはいえ、ドリキャス末期のゲームということもあって、2002年の当時でも通用する水準のものではあるのだが、やはり当時としても若干の古臭さは否めなかっただろう。
一方で、GC版で新規に作られたエピソード2の「中央管理区」「海洋プラント」は、水の表現を中心にグラフィックのクオリティは高めになっている(それでも少々古さは感じるかも)。

あとは、DC版からの細かい変更点ばかりになるが...。

メモリーカード1枚で、4体のキャラクターを作成可能になった点。
これは非常に嬉しい。DC版では1枚につき1キャラしか作れなかったため、複数のキャラを作るためにメモリーカードを買い足すなんてことをせざるを得なかった。

それから、ギルドクエスト中でも、レアアイテムが手に入るようになったこと。
信じられない仕様だが、DC版では、レアアイテムを狙うためには、クエストを受けてはだめで、いわゆる素潜りするしかなかった。なので、クエストをプレイするメリットがあまりなかった。
レアアイテム自体の出現率も調整を入れたらしく、全体的に出やすくなっていて、どうやらDC版の神業級な出現率ではなくなっているようだ。
また、レアアイテムがひと目で分かるように、専用のアイテムアイコン(通称、赤箱)に区別がつけられたため、レアアイテムが出現したのがわかりやすくなったのも良い変更。
その他、「ファンタシースターオンラインVer.2」で追加された高難易度アルティメットの極端な難易度の高さが修正されており、遊びやすくなっている。

あと、細かいことだけど、遺跡エリアへ行くための各エリアのモニュメント起動が簡略化されて、ストレートに遺跡エリアまで行けるようになったのはテンポが良くなって良い。

GC版ならではの大きな特長として、オフラインでも画面分割で最大4人でパーティプレイができる点が挙げられる。
画面を分割してプレイするので、少々無理のある感じは否めないのだが、オンラインサービスの終了した今となって考えると、このモードの偉大さが実感できる。
一人プレイでも、アイテムを別のキャラに受け渡したりといったことがオフラインで可能なので、便利だし、見知った人とマルチプレイができるというのは、やはりあるのとないのとでは段違いだ。

最後になるが、今作で新規に追加された、エピソード2について触れたい。

新たなストーリーと、4つの新エリアが用意され、エピソード1と同じ流れで攻略していくようになっている。

ただ、4つの新エリアのうち、「VR神殿」「VR宇宙船」は、DC版Ver.2のバトルモード専用のマップを改良したものである。
GC版で新たに作られたのは、「中央管理区」と「海洋プラント」で、GC用に新規に作られたエリアということもあって、比較的グラフィックのクオリティは高い。
敵キャラも前半のVR系を除くと、新規に作られたものがあてがわれており、非常に豪華な作りだ。

しかし、ゲームバランスがどーも良くない。

どうも、オフラインの一人プレイのときも、オンラインのパーティプレイ時のパラメータのままでプレイさせていると言うか、オフラインの一人プレイ時の際のパラメータが用意されてないんじゃないか、
というほど、バランス感覚がおかしい。
特に「海洋プラント」が異様なほど敵が強くて、難易度ノーマルですら、ベリーハード並のレベルを要求されている。
もうちょっと、気軽にプレイできる辺りにバランスを持ってくることは出来なかったのだろうか。

マップも凝っているのは良いんだけど、ちょっとごっちゃりしていて、もう少しわかりやすくしたほうが良かったのでは?という印象がある。

また、エピソード2でもギルドカウンターがあるが、オフラインで受注できるクエストは一個もなく、ダウンロードクエストかオンライン時のみとなってしまっている部分にも違和感が残る。

最初にもちょっと書いたが、このゲーム、発売直後に、アイテムが無限増殖できるバグが発見され、ちょっとした騒ぎになった。
2018年の今なら、パッチを当てることで容易に修正できるが、当時はCD(DVD)によるゲーム供給が主流で、なかでもPSOは基本的にゲーム内のバージョンアップをしないオンラインゲームであった。
そのため、希望者に対してバグ修正版を無償交換するという対策が取られた。その上、接続するサーバーもバグ修正版(Ver1.1)とバグ無修正版(Ver1.0)とで別々にするという荒業で、この難題を乗り越えた。

エピソード2の作りに中途半端っぽさが見られることや、この無限増殖バグ騒ぎなどから、どうも9月末に発売を間に合わせたくて、結果的に作りが甘くなってしまったんじゃないか?という疑念を抱く。

途中、厳しいことも書いてしまったが、ほぼ新作同然と言ってもいい移植内容は、素直に素晴らしく、特にDC版に相当するエピソード1は、かなり改修されてバランスが良くなっている。
エピソード2は、ちょっとシビアなバランスとオフラインクエストが無いことなど残念な作りとなってしまっているのは惜しいが、新エリアのクオリティは高く、敵の動きも凝っていてよく出来ている。
実のところ、エピソード1だけでも、各種モードが充実しているおかげもあって、ボリューム的には十分で、エピソード2が不条理に難しいということ自体はそれほど気にならない。

その他気になった点としては、DC版ではメニュー周りの表記が英語だったものがGC版ではカタカナ表記に変わっている辺り、GCの年齢層に合わせて、というか、「ファンタシースターオンライン」自体を低年齢層に強く売りたいという意図があったのだと思われる。
オンラインゲームであるものの、ネット環境を整えるのが難しい低年齢層でも気軽に楽しめるようにオフラインでもマルチプレイができるように配慮が施されるなど、このゲームに注目するだろう大多数の層には見えない努力を行っていて、かつ、その労力を考えると頭がクラクラくる。

オフラインでもオンラインでも楽しい、を突き詰めた良作。





[2018/11/08]
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