幻想水滸伝5


対応機種プレイステーション2
発売日2006/02/23
価格6980円
発売元コナミ

(c)1995 2006 KONAMI
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シリーズ生誕10周年をむかえ、いよいよ貫禄も出てきた幻想水滸伝もついに5作目が発売。
PS2にプラットフォームをうつしてからは、本調子の出なかった同シリーズだが、今回は巻き返しが図れたか!?

PS2で作るようになってから3、4と誤魔化しの多い作品だったが、さすがに3本目となると、余裕が出てきて、文句の付け所のない作りになっている。
分量的にも一本のゲームソフトとして納得の行くものになっており、やっとこのレベルまで持ち直したか!と安心した。
と同時に、最初からここまで最低限やって欲しかったと思ってしまうわけだが。

一口に言うと、PSの2作目辺りの内容を3Dにしてそのままやっているという感じで、マップ上はすべてカメラ固定の引いた視点からの見下ろしタイプとなっている。
ハドソン「天外魔境3」と同じタイプのものだ。
ただこっちは、マップ造形のセンスが悪く、物陰が多く出来ているし、どこまでが歩けてどこからが歩けない場所なのかの区別が付きにくい。
おまけに無意味にマップが広く、ダンジョンでは同じような地形が続くので迷う。
ハドソン「天外魔境3」では、物陰になる場所は意図的な場合を除いては基本的に歩けない作りにしており、その他でも迷わせない配慮が見られたものだが、
これと比べると、本作は考え無しに作っていてかなり見苦しいし、ストレスになる。この面で、本作は非常に劣っていると言わざるを得ない。
一応、物陰が出来ないようにカメラが動いてくれるところもあるのだが、それはごく一部で、ひどいところではプレイヤーがいる場所が全く見えないところを歩かされたりとフォローし切れてない。

戦闘シーンも6人パーティ制に戻り、システム的な面もほぼ「戻っている」。特に散々悩まされた、好きなキャラを連れて行けない問題が解消されており、満足。
しかし、ザコ敵のヒットポイントが総じて高めでしぶとく、サクサク片づかないのが気になる。
エンカウント頻度も高く、攻撃も手痛い。久々にRPGで回復薬を買い込んだ気がする。
また、スキルシステムの復活は、バランスを悪くしただけのように思うのだが。煩わしさが無くなったのは良いけど。

グラフィックも特に問題はなく、キャラクターデザインや服飾デザインのクオリティも総じて高い。
ただ、イベントシーンでのキャラクターの動きや表情がだいぶぎこちなく、FF10と同レベル。
モーションキャプチャーを使ってるようだが、自然さを出すには逆に手作業の修正が多く必要だし、時には漫画風の割り切った部分も必要。頼りすぎるとこうなる。
それと、ゆったりした布地の服や髪の毛がめりこむのもなんだかねぇ…。FF10みたいに手を振った時に布がひらひらしろという無茶は要求しないが、細かい修正ぐらいは加えて欲しい。

注目度の高いストーリーは、やや固有名詞が多い気がしたが、ボリュームと意外性を持たせたプロットはなかなか出来が良い。
キャラクターの描き込みも頑張っており、厳しい制約の中でなるべく印象に残らせようとなかなか頑張っている。

ここまででもいくつか、不満点を挙げたが、このゲームは基本的に中身そのものの出来は良い。ただし、それ以上に惜しい点が多く見受けられた。引き続き指摘していく。

全体的にディスクアクセスが長い。特に酷いのが戦闘の切り替わりである。前作の4では、ロード時間を優先してパーティメンバーを減らしたようだが、今回は6人分読み込むのでこちら側が操作出来るまでにだいぶ待たされる。
マップの切り替えも、無駄に広いために、ローディングが足を引っ張っている。
エリア内の家の中、小部屋の中までは一気に読み込んでいるようなのだが、そうじゃないところもあり、どうもスムースに動けない。

キーレスポンスも悪く、反応がもっさりしている。メニュー画面も見づらいし使いづらい。装備品の付け替えのやりづらさには閉口。
他にも細かい配慮に欠ける部分が多く見られ、どうも気の利かない硬い作りである。

前作と同じく、イベントムービーと、テキストの2種類で見せていくタイプだが、今回は「細く長く」なっていて、基本はテキスト形式。
イベントムービーは相変わらず間の悪いところでぶつぶつ切られる。演出がイマイチなのは許容するが、盛り上がってきたところで、テキストタイプに引き戻されるのは虚しい。
ムービー時の字幕も、もうちょっと気の利いた表示が出来ないのかと思う。通常のウィンドウに顔グラフィックまで付ける必要は無かろう。
あと、テキスト形式のイベント中ぐらい、カメラをもっとよせてもいいのではないか?
デフォルトの視点がかなり引いているので、キャラが文章に合わせてしぐさを付けているのに、それはよっぽど画面を注視してないと分からないし、そのモーションが終わるまで文章飛ばしが出来ない。
なので、普通は「なんかわからないけどスキップ出来ない間がある」ぐらいしか分からない。
なんだか、面倒くさいから端折りましたっていう手抜きにも見える。
ナムコ「テイルズオブシンフォニア」では、イベントシーンでは、台詞に合わせてカメラを動かしたりしている。ボイスが無い分「天外魔境3」より寂しい。

これは戦闘シーンでも同じことが言えて、せっかく3Dなんだから、特殊攻撃のカメラワークをもっと派手に動かしてくれてもいいように思う。っていうか、この面ではPSの2より遙かに劣っているぞ!
スプライト処理のキャラクターの方が個性を強く発揮出来るし、もうちょっとポリゴンの利点を生かすべきだと思う。

声優は沢山起用してるのは分かるけど、もうちょっと技量の高い人を起用出来なかったのだろうか。
コナミはテレビ東京の「魔法先生ネギま!」のスポンサードをしていて、こっちでは人数の割に結構有名どころの声優を使っているのだから、メディアが違うとはいえ何とか出来なかったものか?
2役3役当たり前ではあるが、もっと人数を減らしていい声優を使って少数精鋭で演技させても良かったのでは…。PCE時代のRPGなんか、結構豪快な使い回しをしていたものだったのだが。

恒例の戦争イベントは、なんとRTSに挑戦している。が、特殊能力の説明文が同時に表示されなかったり、戦闘時のダメージルールが曖昧で分かりにくかったり、ミニゲームとしては手が込んでいるが、基本的に作りが粗っぽい。
時間を止めることが出来ないのは致命的だし、状況次第ではどちらかが倒れるまで連続して戦闘状態になってしまうハマリ状態になることも珍しくなかったり。
ただ、戦闘時の映像はなかなか頑張ってると思う。相変わらず、面倒くさいゲームに引っ掛かった感触が抜けないのは辛い。

熱心なシリーズファンをにやりとさせる仕込みもしっかり入れており、仲間集めのサブイベントもなかなか力が入っているのだが、肝心のプレイアビリティが悪すぎて積極的に遊ぶ気になれない。
残念なことに、散々頑張ってやってきたこのシリーズだが、結局はPSの2作目に追い付けてない出来映えなのはなんともやるせない皮肉である。
しかし、何度も言うが中身自体のクオリティは高い。そこで結論。

シリーズ5作目にしては、情けない出来だぞ!





[2006/02/28]
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