がんばれゴエモン ネオ桃山幕府のおどり


対応機種ニンテンドウ64
発売日1997/08/07
価格8900円
発売元コナミ

(c)1997 KONAMI / KONAMI COMPUTER ENTERTAINMENT OSAKA
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コナミの看板キャラクター、ゴエモンがN64に進出。
フルポリゴンの3Dアクションになって装いも新たに新生がんばれゴエモンの幕が開ける。
CMで女子高生がやる気なさげに「ゴエゴエ」と言っているのが話題にもなった。

まず、驚きを隠せないのはN64のハードウェアを非常に巧く使いこなしている点に尽きる。
ニンテンドウ64というハード名よろしく、任天堂以外のサードパーティの作品は
どれも5割7割の水準でしかなかっただけに、このクオリティは感嘆に値する。

本作は本体同時発売であり傑作3Dアクションでもある「スーパーマリオ64」を参考にしたのが功を奏して
3Dアクションとしてもかなり高いレベルでできあがっている。

ただ真似しただけではない、ゴエモン3のゼルダ風味のシステムを持ってきて、
シリーズ作品としての整合性もきっちり整えられている。
マリオ64では、絵の中の世界を転々と遊ぶスタイルだったが、
このゲームでは、ゴエモンらしく江戸時代の日本を丹念に再現している。
FCのゴエモン2辺りの諸国漫遊なノリで全編突き通していていて、旅をしている気分に浸れる。
マップ同士の繋がりもきちっとなされているので“世界”を構築している点も評価したい。
中にはさほど意味のないマップもあるのだが、雰囲気を出すという意味ではいい物と思う。
マップも全体的に広すぎず狭すぎずといった感じで心地良い。

新しい遊びを提示したマリオ64だが、本作ではこの辺り既存の物に準じているため
取っつきはいい。
イベントシーンも入念に入るために、物語を追うという分かりやすいスタイルで遊びやすいのだ。
マリオ64形式の“スターを規定数集める”というシステムも面白い物ではあるが、
あまりにゲーム的過ぎる面もあったと思う。この辺りの折り合いが実に上手いといえる。

また、マリオ64の謎解き要素をさらに強めた結果、かなりゼルダの伝説の色が強く出ている。
大体の展開としては、敵の城(ダンジョン)に赴き最奥にいるボスを倒すというもので、
この城が、思いっきりゼルダの伝説なのである。
あれほど本格的ではないのだが、キャラを使い分け、鍵を入手して扉を開け、といった
基本的な流れに違いは無い。

ただまぁ、正直言って難易度はかなり低い。
マップが広いので、徘徊するザコ敵を避けるのは容易だし、まともに相手にするのが
馬鹿らしいほどである。
ボスにしても謎解きにしても、ヒントの出し方があまりに露骨すぎる上に、アクションの腕も
要求されないので簡単。
そもそも、迷わせる困らせるということは避けている節すら伺えるほどである。
なんといってもゲームを進める上で最大の強敵といえるのが、狭い足場や動く足場に飛び移ったり、
溶岩といったダメージ床ってんだからお笑い。
しかし、まだ3Dアクションというジャンルに馴染んでない(数もそれほど出てない)時期柄、
これぐらいでも良いかな、とも思える。
マリオ64よりも間口が広く導入としては適切な作品と捉えれば悪くもない気もする。

荒削りな面や雑なところが残っているのも気にはなる。
操作も若干覚えることが多く、アクション性が強い割にカメラ操作がR+Cボタンということもあって、
即座に見たい方向に動かせないというのも苦しい。
一応、少し待っているとちゃんとカメラが後方に回り込んでくれる処理を入れてはいるが、
Zボタンに全く使わないほふくのアクションを入れるぐらいなら、後方に回り込む操作に
当てても良かったように思う。
それから、グラフィックがかなり描き込まれている弊害で、フレームレートが極端に落ちる箇所が気になった。
グラフィックの描き込みのせいもあって、場所によっては非常に目が疲れる箇所がある。
レートは固定ではなく可変仕様らしく、どうも随分と無理をしているようである。
また、インパクト戦だけは何故かポーズ出来ないのも気になった。これは、開発者の落ち度でしかないだろう。
このパートはゲーム全体のごく僅かとはいえ、ポーズぐらいさせて欲しい。
全体的に技術面では相当限界まで作り込んでいるらしく、それゆえの大雑把さが惜しい。
しかし時期を考えると、この水準は驚異的なのであるが。

色々書いたのだが、やはりゴエモンといえば、全編に漂うお馬鹿なノリに他ならない。
実のところ、ゲームがちょっとやそっと弱くても、コテコテのお笑いで楽しませてくれるのがこのシリーズの特徴である。
本作は、3Dアクションになってもお馬鹿なことを大まじめにやっている点に非常に高い評価をしたい。
アドバタイズデモではテレビアニメ顔負けのオープニングシーンが流れ、
影山ヒロノブが歌う熱い主題歌で気分を盛り上げてくれる。
道中訪れる巨大メカゴエモンインパクトを呼ぶ際にも、水木一郎の歌声をバックに
これまた戦隊物ばりのデモシーンが挿入される。
本作はROMで作られてるため、外注でムービーシーンに頼ると言ったことではなく
全て自前のプログラムを組んで作られた力作である。それゆえに見応えだって十分。
これらはゲームという観点から言えば、無駄であり不必要である。
そこを敢えて金と容量と手間を割いて、思い切り盛り上げてくれるのだから素晴らしい。
その他にも、存在意義の皆無に等しい飯屋では、各地の特産品が
一つ一つちゃんと3Dのモデリングで作られている。
はっきり言って、これを拝む機会はほぼ無いし、見たとしても1〜2秒だろう。
だが、そういった余計なことにまで心血を注ぐのがこのシリーズの魅力でもあり楽しみでもある。

相変わらずストーリーも全体的に漂うゲームの雰囲気もはちゃめちゃであり滅茶苦茶であり
もー、どーしようも無いぐらい馬鹿馬鹿しすぎるのだが、だからこそ面白い。
最先端の技術を駆使したスタイリッシュでかっこいいゲームが巷に溢れている昨今、
こうやって息を抜いて遊べて笑い倒してくれるゲームにだって価値があるのではないだろうか。

正直言うと、SFCのゴエモンは中身は面白いのだがゲームとしてはマンネリというか
頭打ちにさしかかっていた段階だっただけに、N64というハードウェアを得て
生まれ変わった本作には、素直に新作ゲームとしても面白い!!と言えるシリーズとなった。

音楽の出来もかなり良く、ダンジョン攻略で奥に進むたびにセッションが増えていく演出は
まさにROMだからなせる技であり、とてもテンションを高めてくれる。
和を基調とした独特のサウンドはまさにかつて言われていた「音楽のコナミ」を実感する完成度の高さ。

デモシーンに容量を注ぎすぎた結果、本編で入れたかったものが入りきらず
かなりの量を削ったのがありありと分かるほどで、エンディングまでも今ひとつ物足りなさが残るが、
それでも全編ハイテンションで遊ばせてくれることで帳消しになっているのではないかとも思う。

見た目は様変わりしたとはいえ、シリーズ経験者が触ってもすぐに馴染めるように作ってあるし
ファンがニヤリとする計算し尽くされた演出も見所の一つ。
残念だったのは当初入れる予定だった2人同時プレイが技術的な面で不可能ということで
無くなってしまったことである。
これをもし入れることが出来れば、ゲームとしての評価もさらにあがっただけに惜しい。

とはいえ、あのマリオ64から1年で、ここまでのクオリティの3DACTを遊べるということだけでも
凄いことと思う。続編を出すにつれ、もっとこなれてきてかなりのクオリティを誇るアクションゲームになる
可能性を秘めている。

但し、最大の欠点はゲームデータのセーブがコントローラパックが無いと出来ないこと。
エニックスのワンダープロジェクトJ2もそうだったが、あれはもれなくコントローラパックを
付属していたことで理不尽さはさほど感じなかったが、いくらN64初期の作品とはいえ
使い方がかなりずれていたのは否定出来ない。
(そもそも意図としてはマリオカート64のゴーストデータのような使い方を想定していたのだと思うが…)

マリオ64を高いレベルで真似した良作。





[2004/04/12-2005/03/07]
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