がんばれゴエモン でろでろ道中オバケてんこ盛り


対応機種ニンテンドウ64
発売日1998/12/23
価格7800円
発売元コナミ

(c)1986 1998 KONAMI / KONAMI COMPUTER ENTERTAINMENT OSAKA
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がんばれゴエモンのN64版の2作目。
PS、GBCとシリーズ3作品同時発売のうちの一本でもある。
このうち、正統なゴエモンスタッフ(即ちゴエモン制作委員会)が関わっているのは
このN64版のみである。
蛇足になるのだが、あまり知識のない人間でも分かると思うが、
PSやGBCで発売された作品は、正統スタッフは一切(監修といった間接的な立場でも)関わらずに
作られているために、分かってない作りである。
ひどい言いぐさだが、ゴエモンのキャラを借りただけの別物と言ってもいい。
素人でも分かることだが、こんなシリーズ乱発をすれば、整合性が取れず品質も落ち
ひいてはシリーズの信頼感すら失いかねない愚策であるといえよう。
まして、最もマニアックな市場のN64に有能な人材を投入しているのだから珍妙と言わざるを得ない。

前作の「ネオ桃山幕府のおどり」では、気合いの入った3Dアクションであったが、
今回はアクションステージをクリアしていくタイプの
SFCのがんばれゴエモン2(及びきらきら道中)の路線に戻している。

しかしそこはN64で作っているだけのことはある、2Dアクションの体裁を取りつつも
ステージは全てポリゴン描写されている上に、飛び出す絵本のような立体感に満ちあふれている。
ギロチンが画面手前と奥をぶらんぶらんと揺れていたり、ステージマップがとても広く
上か下かというだけでなく手前か奥かという分岐の分け方もしており、
奥に進めば、手前の道の敵が大写しで表示されるというような粋な演出も忘れない。
2Dアクションの軽妙さと3Dの立体さを上手く組み合わせた実に贅沢な作りである。
フルポリゴンなのに、2Dアクションとして作らなくてはならないというのは
どうやら相当苦労したらしく、遊んでいてその苦心がひしひしと伝わってくるほど。
ステージ構成であったりカメラワークなどに特に苦労していたようで、
だが、その苦労のかいがあってか、かなり高いレベルでできあがっている。
この独特のプレイ感覚の気持ちよさは実際遊んでみないと分からない。

ゴエモンでは切っても切れない要素である、2人同時プレイも復活。
どうも2人プレイでの仕込みもかなりふんだんに用意されているようで、
おんぶプレイの復活、インパクト戦ではダブルインパクト制の導入、と
一人で遊んでいても相当面白くなるだろうことが容易に想像出来る仕掛けがガンガン入っている。
特にSFC以降、数を重ねるにつれ、イベントなどの作り込みに凝り始めてからというもの
2人同時プレイの存在感が薄れに薄れ始めていただけに、ここにきて挽回したと言えよう。

ただ、前作の「ネオ桃山」に比べ、プログラムなどの作りを中心に全体的に
粗っぽくなってしまったのは残念でならない。
ストーリー然り、ゲームパート然り、ボリューム然り、
どうやら最初に述べた「ゴエモンシリーズ3作品同時発売」の強引な販売戦略の
あおりを食ったのではないかと思われるのだが、
明らかに「時間が足りなかったんじゃないか」と思わせる箇所が幾つかあったのが気になった。
アクションステージのカメラ位置や敵の配置などに若干の配慮不足や理不尽さが残っており、
その他にもイベントパートなど、短い時間内に強引にまとめあげた感じが漂う。
ただ、そういう事情を察してしまうと、実に上手くまとめあげたなという気もする。

前作の「ネオ桃山」では、難易度がどっぷりぬるま湯だと指摘した。
しかし今回は、かなりストイックな内容になっていて、難しめ。
なんというか、3Dアクションの挙動で2Dアクションを遊んでいるという感覚を想像して貰えるといい。
特にシビアなのが足場に飛び移るジャンプで、ジャンプ力ギリギリの穴が当たり前のように配置されているし、
ポリゴン描写ゆえに、立っている位置(足場から落ちる位置)が大雑把にしか判別出来ないために、良く落ちる。
勿論これは分かっているのか、ゴエモンが二段ジャンプ出来るよう救済策も忘れていない。
(というか、ゴエモン使用が前提に作ってる節を感じる。他キャラでもやってやれないことは無いが)
また、ライフが少なく3回攻撃を受けてしまうとワンミスになってしまうシビアさ。
ステージも長く、ごり押しが効かない。
ただ、ライフが減っている状態で敵を倒すと、結構な確率で回復アイテムを落とすので、
慎重にプレイしていれば難しいってほどでも無い。
この辺りで上手く難易度が調節出来ていると言える。
各エリア最後の城ステージは半端じゃなく長くクリアするのが大変なのだが、
城ステージにしろボス戦にしろ、とにかく全てのステージで言えることは、
コツを掴んでしまえば途端に簡単になるという点にある。
つまり一度二度の挑戦ではゲームオーバーになってしまう難しさではあるが、
ある一線を越えると、グッと楽にクリア出来るようになる。
これは良質なアクションゲームの条件を満たしているのではないだろうか。
特にボス戦の難易度の取り方は絶妙だと感じた。
だが、一部ステージのギミックなど特に顕著に感じられたが、
全体的に独りよがりなのは否定出来ないし、好みの分かれるラインでもある。

ただアクションステージをクリアするだけではなく、各エリアには関所が一つ配置されており、
ここでは一定数の通行手形を所有していないと先に進ませてもらえない。
いわゆるマリオ64の「スター集め」と同じシステムを導入しているのだが、
せっかくアクションステージが面白く出来ているのである、この要素は無くして
さっさと先に進ませてくれても良かったように思う。
それほど厳しい数を要求される訳でもないのだが、どうにも足止め感が強い。
一応、町などで得られる手形を通して、ある程度のイベントもクリアして欲しい意図なのだと思う。
確かに、ステージがフルポリゴンな上に広大なだけあって、容量の圧迫がひどく
単純にアクションステージの数は1本のゲームとしてみたらかなり少ない。
そのため、このようにステージ一つ一つにイベントを付けて意味合いを持たせるのは
必然だったのかもしれない。
がしかし、手形を集めるという要素はやり込み要素として脇に置くのも英断の一つではなかったかと思う。

また、手形集めという観点から言えば、時間制限内に指定されたアクションをこなすという物で
時間制限が厳しすぎて何度も挑戦させるのが前提のものがあったり、
後半〜クリア後のもので、露骨に高額な金額を要求される(払えば終了)といった
めんどくさいだけのものも多いのも気になった。

今回は昼夜の概念が入っており、夜になると敵の数が増え先へ進むのが大変になったり、
町では、行き交う通行人が変わったり、時間限定イベントがあったり。
特に凄いのは音楽であって、前作でもダンジョンでセッションが増えていく演出などが
なかなか面白かった物だが、
今回は昼と夜の境目で、シームレスに音楽が変化していくという新たな遊びを入れている。
1ヶ月前に出た「ゼルダの伝説 時のオカリナ」でも、
場面の状況によってフィールド曲がダイレクトに変化するという芸当をやってのけたが
音質の段違いの良さと合わせて、ゼルダの試みがおままごとに感じられるほど出来がいい。
楽曲自体も、手の込んだパンチの効いた物が多く聴いていて飽きない。
音楽のクオリティはシリーズ随一といえるだろう。
また、相変わらず主題歌も入っていて、オープニングデモは新規に作り直し、歌も新曲、
インパクトデモも新規、歌は同じだが一部違うため(恐らく)録り直しという豪華さである。

本筋の物語は、ストーリー重視の前作に比べグレードダウンしていると言わざるを得ない。
エリアの繋ぎで簡単なイベントムービーが流れるのだが、量も少なく
声が入るのはオープニングとエンディングだけというのも物足りない。
というのも、メッセージ送りも自動で完全に見ているだけという格好なので、
そういう見せ方で喋らないというのは、非常に寂しい。
(一応、文字の色で「赤色は大声を出している部分」といった工夫を施してはいるが)

その代わり、町の住民の台詞やイベント、ステージギミックが炸裂している。
トカゲのおっさんならぬイグアナのおっさんはダウンタウンの松本人志そっくりの喋り方をするし、
ドリフターズのいかりや長介に仲本工事そのまんまのキャラまで出している。
熱心なシリーズファンならば、気付いているはずだが、
もー、全編1980〜1990年代前半のお笑いネタ満載であって、そこらへんのテイストを借りてきたノリには
悶絶必死。スタッフの尋常ならぬお笑い好きには頭の下がる思いだ。
(仮面ノリダーやヒゲダンスも見たかった所)

今回はタイトル通りオバケがテーマで、おどろおどろしい敵キャラが多いが、
そこはゴエモンだけあって、気持ち悪さは無く上手に料理している。

シリーズ経験者を前提にした箇所が少し見受けられたのと、
2Dアクションを64の3Dスティックで操作するというのに違和感を感じるというか
慣れるまで少しかかる点さえクリアー出来ればなかなか楽しめる珠玉の作品に思う。
なんにせよ、N64というハードで発売するに値するというか、そんな内容のゲーム。

玄人向け、シリーズファン向けではあるが、アクションゲームとしての出来は良い。





[2004/04/17-2005/03/08]
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