がんばれゴエモン 東海道中 大江戸天狗り返しの巻


対応機種ニンテンドーDS
発売日2005/06/23
価格4980円
発売元コナミ

(c)1986 2005 KONAMI
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コナミの看板キャラクター「がんばれゴエモン」が、久し振りにニンテンドーDSで蘇る。
第一作目からの本家本元スタッフ「ゴエモン制作委員会」による正統な新作として、期待も高まるところだ。

ゴエモンシリーズは末期ともなると、お約束化が激しく進み過ぎて、マンネリな空気をうんでいたが、
本作は、浮世絵風の渋いグラフィックを筆頭に、それまでのファンの期待を裏切らない内容を維持しつつ
上手にリニューアルすることが出来ている。

特に64やSFC終わり頃ともなると、日本全国では飽きたらず、宇宙や未来が舞台になるというトンデモ世界観にもなっていた。
今回は、江戸のなかでも東海道に舞台を絞ることで、だいぶ雰囲気を初期のころに引き戻している。
ゴエモンインパクトも登場するが、敢えて影を薄めることで渋めの空気は壊されずにいる。

ゲーム展開の節目節目には「笑点」の桂歌丸がフルボイスで独演してくれる演出はなかなかシュールで面白い。
歌丸のポリゴンも非常に良く雰囲気が出せている。

ゲーム内容は、今回はストーリー色が強く、イベント挿入がチト多い気がする。
あと、それに伴って露骨なフラグ立てばかりやらされている感じがかなり辛い。
ゴエモンといえばサイドビューのジャンプアクションなのだから、そっちをやらせて欲しい。

一応あることはあるのだが、メインは「からくり道中」のような見下ろし型のスタイルで、これはある意味FC時代に先祖返りしているとも取れるが、
サイドビューステージに比べると、格段とアクション性が落ちてしまっていて、つまらない。
あと、よせばいいのに疑似3Dマップ(ファイナルファンタジー7のプリレンダCGマップで使われていたアレ)をやっちゃったものだから、
構造が非常に把握しづらく、距離感や当たり判定が壊滅的に分からないし、こういうマップを今更十字キーで遊ばせるのはきつく、非常に動かし辛い。
キャラの切り替えもセレクトボタンで順番通りにしか変えられない仕様も古すぎるように思う。LボタンやRボタンを押しながら装備品を切り替える操作もやりづらく、改良の余地がある。

ただでさえ浮世絵を描き込み過ぎちゃっていて、なにがなにやらわかりにくいって言うのに、それに輪をかけて立体構造にしてしまっているのだからタチが悪い。
上画面にマップレーダーを表示しているからか、絵的にはいけそうなのに透明の壁で遮られて実は進めませんという箇所が多数。そのたびにイライラが募る。

さらに苦言を述べると、初期の作品のように旅をしている感覚を出したかったのはわかるのだが、
せせこましくごちゃごちゃした上に小さいサイズのマップの連続で、マップ全体に広がりが無く、情緒も何もあった物では無い。

キャラクターも何故かポリゴンで表現されていて、無理に今風のゲームに拘ってしまっている辺りが逆に失敗している。
動きは滑らかだが、わかりにくいし、造形も汚くて酷いものがある。
特に敵は背景に溶け込んでたり、障害物の陰に隠れていたり、突然上から降ってわいてでてきたりという意地悪さには参った。
ここは割り切ってドットキャラで2Dの見下ろし型にしていれば、かなり楽しく遊べたろうに。

DSということで、ギミックにタッチスクリーンを絡めたかったらしく、下画面が操作する画面になっていて、
特定の敵や仕掛けを倒したり解くにはそこに触れたりこすったりすることが必要になっている。
しかしである、この辺り各社頭を捻って変わったものを用意してくるが、本作では大体対象物に触れるだけで考える余地もなく解けてしまうものが殆どで
いまいち面白いものが少ない。
致命的なのは、基本的にコントローラ操作のゲームで、忙しいなか突然、タッチ操作を求められる煩わしさである。
仕掛けを利用するだけのためにいちいち片手にペンを持ちながら、ボタンから手を離し画面に触れるという過程は非常に面倒。
そこを考慮に入れたバランス取りなり構成をやってくれれば良かったのだが、無理矢理入れましたという感じがどうにも好きになれない。

少ないながらも幾つかあるサイドビューステージでは、このタッチスクリーンのギミックのおかげで難易度が急上昇。
予め配置を覚えてないとまず対処が不可能な覚えゲーな側面があり、ただただストレスが溜まるばかり。
逆に、もっと触れることで反応するオブジェがあっても良かったように思う。
本当にクリアするために必要な最低限のものしか反応しないので、積極的にスクリーンを活用すれば楽に進めるとかそういう工夫の余地が無い。これは勿体ないしつまらない。

本編の駄目駄目さとは裏腹に、リモコン操作のゴエモンインパクトのパートは非常に良くできている。ステージ数が少ないのが残念である。
スクリーンに表示されるコマンドにタッチして遠隔操作するのだが、このとき手前にいるゴエモンも十字キーで操作出来て、インパクトをきちんと画面内に表示させないと
戦況も分からなくなるし操作も受け付けなくなるという仕組み。たまにやってくる敵が持っているアイテムを取る(敵は倒さなくて良い)と、戦いを有利に進めることが出来たりと
インパクトだけでなく手前のゴエモンも気にしなくてはならないという面白さ。忙しさもほどよく楽しませてくれる。
なにより、片方はゴエモン操作、片方はペンでインパクトへの遠隔操作という操作の割り振りがしっかり出来ている。
この気遣いを本編パートでも是非やって欲しかったほどである。
細かい演出も凝っており、どうでもいいことでニヤリとさせてくれる。
勿論、従来の戦いの爽快感もしっかり引き継がれており、楽しみどころはちゃんとおさえられている。

本家のスタッフが作っているだけあって、色んな面で「分かっている」作りになっている。
それが最も表されているのが音楽で、N64「でろでろ道中」ほどの遊びやクオリティは無いが、
音楽のコナミを再認識させてくれるノせてくれる楽曲の数々は素晴らしく出来が良く(過去作のアレンジに頼りすぎてる気はするが)、
音質もDSというハードウェアを考えれば、とても高い方に入る。ヘッドフォンなんかで聴くとため息が出るほど。

だが、長い割にたいして面白くない(キレの悪い)イベントシーンや薄味のゲーム内容には落胆せざるを得ない。
ゴエモンシリーズはもっと面白かったはずだ。
まだ制作側がDSというハードに慣れ親しんでない印象が強く、据え置き機などで発売されていたらもっと面白くなっていたかもしれない。

DSの性能が逆に足を引っ張ったか!?制作の方向性に迷いを残した迷作。





[2005/06/25]
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