がんばれゴエモン もののけ道中 飛び出せ鍋奉行!


対応機種ゲームボーイ(カラー両対応)
発売日1999/12/16
価格4500円
発売元コナミ

(c)1999 KONAMI / Konami Computer Entertainment Kobe
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早い話が、ゴエモンにゲームボーイで流行りのポケモンのシステムを導入したRPG。
もののけ(敵)を捕まえて、それを仲間にして戦わせる。通信ケーブルで対戦&交換も可能。
N64「ゴエモン もののけ双六」と連動させている等、色々流行りの要素を詰め込んでいる。

ゲームボーイで発売されたゴエモンは、駄作続きで、しかもこれの前に出していた「天狗党の逆襲」もひどい出来のRPGであった。
そのため、本作にも期待は出来なかったのだが、今回は内製スタッフがしっかり関わっているせいか、品質面は改善され、いつものシュールなテキストと世界観を兼ね備えた“わかっている”作風になっている。

しかし、もともとアクションゲームとして売っていたシリーズを、無理矢理ポケモン風RPGにしているために、その持ち味を活かせていない。個人的にはやはりアクションを遊びたかった。
純粋な横アクションを作るにはゲームボーイのスペックでは厳しいというのもあるだろうが、ポケモンのシステムを組み込むことになったのは、営業や上層部の方針など複雑な事情があってのことだろうと思われる。

ゴエモンという作品は、未だに低年齢層向けシリーズとして会社からは見られているのだろう。確かにそれは間違っちゃいないが、時代の変化や適切なアプローチの仕方というものがある。
ポケモンがブームになったからって、安易にゴエモンでこれといった芸もなく同じ事をやろうとしても滑稽にうつるだけだろう。それは、注目度の低さに表れているといってもいい。
ポケモン路線はポケモンで十分なのだ。ゴエモンは、昔ながらのアクションゲームで売っていけばいい。
本流スタッフが作っているだろう、N64「もののけ双六」の方も、なぜかカルドセプト風ボードゲームにしてしまって発売前からもうコケそうな空気が漂っているのだが、非常に心配である。

ゲームシステムは、オーソドックスなコマンド型RPGだが、エンカウントがシンボル型だったり、戦闘システムが他とは大きく違っている。

ゴエモン、エビス丸、サスケ、ヤエの4人の戦闘メンバーがおり、それぞれ1体のもののけをつけることができる。
戦闘では2人(人間&もののけ)1組となって、バトルに参加できるのは4組のうち1組のみ。「いれかえ」コマンドで、戦闘中でもメンバーを入れ替えることが可能。
いっぽう、敵は最大3体まで出現するパーティバトルとなっている。

ゴエモン等人間側のキャラはコマンド入力できるが、もののけは性格に基づいたAIで行動する。性格は組になったキャラ(ゴエモンやエビス丸など)によって、戦闘をこなすごとに次第に変化する。
また、人間側のキャラ4人は回数制の必殺技を持っており、能力値などで差別化が図られている。もののけとの組み合わせで弱点を補ったり、長所を伸ばしたりといった戦略性が求められるのだ。

もののけの捕まえ方は、「ふういん」コマンドで捕獲することが出来る。相手のHPが減っている状態だと捕獲率が上がるところはポケモンと同じだ。自分より高いレベルのもののけは、捕獲率がかなり低く設定されているため、捕まえるのが難しい。
捕まえたもののけは、もののけ図鑑に登録され、解説を見ることが出来る。

もののけ同士を融合させることも出来る。パラメータボーナスは一切得られないが、持っている特技を継承させることが出来る。融合して別の種族に変わったりレベルが1に戻ったりとかもない。シンプルさを追求したのだろう。
ただし、1体のもののけに覚えられる特技には上限があり、しかも特技ごとにコストが存在し、強力な特技は1つで2〜4つ分のコストを使う。取捨選択が求められるのだ。

ざっと今作のシステムを説明したが、ポケモン風と言いつつも、オリジナリティの強いゲームとなっている。
しかし、全体的に荒唐無稽で、とてもじゃないが出来の良いものとは言えない。研究不足なのだ。ポケモンが完璧すぎるというのを差し引いてもこのゲームはチトひどい。

バトルまわりが全体的に未完成。RPGに弱いコナミだからしょうがないっちゃしょうがないのだが、出来てて欲しい基本的なことが出来てない。
戦略的要素を盛り込んでいるが、プレイヤー側でやれることが少なく、底が浅い。肝心かなめのもののけはAIで動き、こちらで指示できない。性格の要素があるが、違いがどうにも実感できない。つまりあってないものだ。

不要になった仲間を合体出来ることで価値をもたせる融合システムも、持ち越せるのは特技だけ。また、レベルが下がったりとかもしないので、融合システムを活用させる工夫もない。例としてドラゴンクエストモンスターズでは成長限界を付けて配合しないと強くならないようにしていた。
レベルが上がってくると格下のモンスターは簡単に捕まえられるし、種族ごとにパラメータが固定なので、育てても愛着がわかない。結局使える特技を持ったもののけを探してきてそれを引き抜くだけの薄っぺらいシステムになってしまっている。
その特技も種類が少なく、使えるものが全然ない。コストがでかくて使えそうな特技も実際はほとんど使えないケースが多い。特技の説明文が説明不足な物が多い。特に融合の時でないと、特技のコストがわからないのは致命的と言える。

ゲームクリアとは別の目的にもののけ図鑑を完成させるといったものがあるが、図鑑に登録されたモンスターが戦闘中にわからない。ポケットモンスターではアイコンで表示されていた。
また、敵にはレベルが設定されていて、捕まえる時の確率に影響するため自分よりレベル差がどれぐらいあるか知りたいのだが、このゲームではそういった重要な情報を与えてくれない。不便極まりない。

ゲームバランスも良く無い。敵の術が非常に強力で、術属性防御といった防御型の特技が用意されてはいるのだが、使い勝手のよいものではないし、人間側のキャラにはほぼ対抗策が用意されていないのは問題だ。
システム上、回復魔法に類するものが存在せず、唯一ヤエの特技で回復させることが出来るが、回数制で、使える回数が少ない。
よって、回復アイテムを買い込んで持ち歩くことになるが、ダンジョンは広く入り組んでいて、シンボル型でありながら戦闘回避がしづらく、飢餓感にみまわれるバランスである。
レベルアップ時に全回復するので、それをうまく使って欲しいのだろうが、ハドソンの「桃太郎伝説」「天外魔境」とかと比べるとレベルアップのタイミングも下手くそでありがたみがない。

ボス戦では、各人間キャラが持つ必殺技を使い切るだけのゴリ押しに頼ったつまらない展開になりがちで、まったく面白くない。

もののけを集めるゲームなのに、仲間に置いておける数が少なすぎる。セーブファイルが2つあるが、1つにしてもいいから保存領域をその分多くして欲しかった。

いろんな要素を詰め込んだのだが、どれもが薄っぺらで、ファミコン時代のRPGでも遊んでいるかのような感覚だった。これはもうひと頑張りしてもらいたかった所だ。
ただのポケモンのデッドコピーに陥らないような努力は認めたいのだが、正直に言って、面白いゲームとは言えない。

ボスキャラに過去作の登場キャラクターを使っていたり、BGMも過去作のものを流していて、なんというか身内ネタが非常に多い。
だが、ゲームのかなめとなっているもののけ自体は全て新規に作られたもので、このもののけにこそ魅力を出すべきなのだが、はっきりいってダサい。可愛げが無いので仲間にしたいと思わない。
図鑑の解説文は割と面白いのだが、グラフィックからその魅力は伝わってこない。ここに最も力をそそぐべきなのに。

辛辣な内容になってしまったが、最たる原因は、最初に指摘したとおり、コンセプトがシリーズ作品の持ち味と噛み合ってないためだ。
制作スタッフは、制約が多い中これを作ったのかもしれないが、このシリーズは、ゴエモンたちが主役なのだから、彼らが活躍するような作品を作るべきだったと思う。安直な企画ものになってしまって実に残念だ。そこで結論。

流行りものに安易に乗っかった駄作。





[2010/08/28]
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