がんばれゴエモン 星空士ダイナマイッツあらわる!!


対応機種ゲームボーイ(カラー専用)
発売日2000/12/21
価格4800円
発売元コナミ

(c)1986 2000 KONAMI / Konami Computer Entertainment Kobe
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据え置き機に限らず、地道にゲームボーイでもリリースされてきた「がんばれゴエモン」ももう今作で5作目にもなる。
これまでゲームボーイ向けの作品は、毎回ジャンルが異なっていて、良く言えばチャレンジ精神があり、悪く言えば一貫性に乏しいものがあった。粗製乱造の向きに見られる面もある。

しかし本作は、「これぞゴエモン!!」と言わんばかりの、ここにきてようやく正統派横スクロールアクションである。
ゲームボーイは画面サイズが小さいこともあって、敢えて避けていた可能性も考えられるが、やはり無茶を押してでもアクションゲームとして売り出すべきだろう。

基本的なシステムはSFC「がんばれゴエモン2 奇天烈将軍マッギネス」の面クリア型のものを踏襲している。
使えるキャラクタはゴエモンとエビス丸の2人のみで、各キャラに性能差は基本的に無い(エンディングを見るだけならば)。最初にどちらでプレイするか選べるが、結局両方プレイする羽目になるし、すぐ合流するのであまり意味が無い。
ただし、一部の箇所で、ヤエとサスケが使えるステージが存在する。
その面はシューティングタイプのものなのだが、スクロールは遅いし、敵を倒してもスコアが加算されるなどがなく、マップが画面に収まりきらないため、スクロールさせる必要があるなど、作りが甘い。
なにか探索要素でもあるのかと思ったのだが、ほぼ何もないし、強制スクロールなら、もっと速度を上げたり、完全な一本道にすべきだった。

ステージは完全な一本道ではなく、ところどころで分岐していて、行き止まりには1UPや招き猫などが置いてある。招き猫を集めると各キャラ固有の特殊能力を覚えたりするが、イベントで修得する方が良かった気がする。
招き猫をすべて集めるためだけの用途にしかなっておらず、その特殊能力を使わないと入れない場所があり、そこに到達できるようにするためだけのもの(クリアには不要で、たいていその先には招き猫が置いてあることが多い)で、ただの移動制限をかけているだけで、はっきりいって面倒くさい。
また、招き猫は、ステージ上に何個配置されているか決まっているわけでもないのに、エリアマップで全て取った面とそうでない面の区別がつかない。任天堂「スーパードンキーコング」シリーズのように、コンプリートしたステージには印をつけるなどして欲しい。
同シリーズだと、「がんばれゴエモン きらきら道中」だとコンプリートしたステージには印がつくようにしていたのだが。
こういった配慮が無いために、招き猫を集めるところまでプレイする気がわかなかった。ただでさえ見返りに乏しいというのに…。

このように探索要素や倒した敵キャラが図鑑に記録されていく今風のやり込み要素も付けて、なるたけ長持ちするゲームを目指している。
正直な話、付け焼き刃のようなものを付け足すよりは純粋にサイドビューアクションとして作りこんで欲しかったというのが本音ではある。

操作性にクセがあり、ジャンプの挙動がフワっとした感じでなれるまでが辛い。画面サイズが小さいことを一切考慮せずに作っているので、突然画面外から弾が飛んできたり、見えない敵にバッタリ触れてダメージを食らうことがある。
画面が小さく、ステージ構造が把握しづらいのに、分かれ道がふんだんにあったりして、全体像が把握しづらい。

容量の関係もあってか、ステージ数も少な目で、ゲーム・ボリュームに難がある。
多重スクロールを使っていたり、ごく一部のステージではなかなか凝った仕掛けを用意していたりして、よくぞゲームボーイカラーでここまで!と感心したくなる部分も多い。
しかし、基本的にステージ構成が単調で画一化された似たような構成のもので、見た目は使い回しが少なく、良く頑張っているのだが、アクションゲームとしては退屈である。1面が妙に長いし。
ハードスペックの環境のせいもあり、一概に開発者が悪いと言えたものじゃないが、ゴエモンといえばやはり大掛かりなプログラミングで豪華で飽きないステージ構成が魅力の一つであった。
何とか頑張って欲しかったところである。2人同時プレイも当然ながら出来ない。

そんな厳しい制限がありつつも、相変わらずミニゲームへの力の入れっぷりは感心してしまう。本作でもいくつか入っているが、ゴエモンシリーズはなぜここまでミニゲームに執着するのか?謎である。

巨大ロボ同士が戦いあうゴエモンインパクトステージまで再現されている。スーパーファミコンの拡大縮小回転機能の使えないゲームボーイで、よくぞここまで!!と感心したくなるほどクオリティが高い。
当然ながらスクリプトで全て処理しているが、プレイステーション版の拙いポリゴンを使ったインパクトバトルなんかよりも、ずっと操作性も良く遊びやすい。

音楽は全て過去作の使い回しで、シーンに合ってない適当に当てはめたようなものが目立つ。ただし、音質が非常に良い。素晴らしいと感じた。さすが音楽のコナミである。
これで全曲新曲で作られていたらなぁ…と思う。少々欲張りかもしれないが。

ストーリーや町の住民のテキスト等、ひねりがなく面白味に欠けるが、制作スタッフこそ違えど、ゴエモンシリーズが好きな(知ってる)人が作っているんだということが感じられる内容で、好感が持てた。
シナリオの落ちなんかは、「がんばれゴエモン きらきら道中」と全く同じもので、シリーズファンにとっては新鮮味に欠けるが、本流スタッフ以外のシリーズ作品にしては頑張っていると感じた。
そろそろこのシリーズも、ネタが尽きてきたのだろう。型にはまったものしか作れなくなりつつあるのは致し方ないのかもしれない。

ゲームボーイというスペックの作品としては、割と頑張っているのだが、いかんせん、単調なステージ構成と、没個性的なアクションシーンが、熱中させるほどの魅力を醸しだしておらず、はまりこむことが出来なかった。
やはりこのハードで、サイドビューアクションは厳しかったということか。敢えてゲームボーイにあったゲーム内容を模索していたのは、こうなることが容易に想像できたからかもしれない。
画面サイズが小さいと凝ったことが出来ないジレンマに悩まされていたのが、如実に感じられるゲームにみえた。

ゴエモンシリーズに関してはとりあえず、面白いことを考えられる若手スタッフの育成を早くからしていくべきだったかもしれない。導入デモのテキストなど、ありきたりだし、道中のゲーム展開も良くあるアクションゲームの域をでない代物で、このシリーズならではのアドバンテージが感じられなかった。
ゲーム機の性能を考えると良く頑張っていると言える作品なのだが、それが面白さに直結してない。残念なゲームである。そこで結論。

やる気は伝わるが空回りしているゲーム。





[2010/08/23]
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