ゴエモン 新世代襲名!


対応機種プレイステーション
発売日2001/12/20
価格5800円
発売元コナミ

(c)1986 2001 KONAMI / Konami Computer Entertainment Tokyo
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看板シリーズ「がんばれゴエモン」のキャラクタと世界観をリニューアルさせた本作。
果たしてその内容は吉と出るか凶と出るか!?

基本的なゲームシステムは「がんばれゴエモン」を踏襲しているが、シリーズの顔とも言える存在のプレイヤーキャラクターと、和風テイストの世界観が一新された。
つまりは、「がんばれゴエモン」シリーズが売れなくなってきたのは、昔から連綿と続いてきた慣習にあると判断したのだろう。それらに手を加えることで再び日の目を浴びることが出来ると考えたのだろう。
そんな大々的なプロジェクトなのに対し、プレイステーション2ではなく、プレイステーション用に制作している辺り、逃げ腰だと感じざるを得ない。せっかく新しくするのなら、もっと力を入れてやって欲しかった。

キャラクターの変更は、今風の子達(大きいお友達含む)に受けそうな当たり障りのないデザインだが、悪く言えば個性がない。
声優も割と有名な人に当てているが、くの一忍者ユイは、なんかババくさい声で幻滅したし、エビスは可愛い女キャラ(ヒロイン)まで変えてまでまだ名前を引き継いでいるのに、ヤエは似たポジションがありつつ名前はなぜか破棄されているなど、おかしな点が多い。

ゲームジャンルは、エリアマップからステージを選択していく、2Dタイプの横スクロールアクションだ。
操縦性や敵配置に至るまでの手触り感は、見た目こそ別物になったものの、かなり「ゴエモン」している。
中でも改善点だと感じたのが、武器のパワーアップアイテムが、敵から攻撃を食らって武器レベルがダウンした際に、アイテムがプレイヤーから飛び出て、その場で回収すれば、立て直せる点だ。
最近の「がんばれゴエモン」は、昔は武器のリーチが伸びる程度だったのに対し、攻撃力まで変わるようになり、武器レベルが難易度にかなり影響を及ぼすようになってしまった。
今作ではボスは最高の武器レベルに合わせて耐久値が高く設定され、ザコでもタフで中々倒れない物も多く存在する。
いかに武器レベルをキープするかが鍵となっている。

ただ、システム的には2Dアクションなのに、相変わらずフィールドはポリゴンで、キャラクタがスプライトなのが気になる。
マップによっては、足場が背景と同化していてわかりづらかったり、視点が浮ついた感じで安定しなかったり、当たり判定がわかりづらいなど、ドットゲームと比べると大味になってしまっている。
N64「でろでろ道中」とは異なり、ポリゴンを敢えて使うことの利点も生かせておらず、ポリゴン描写ならではの立体感はなく、ただ使っているだけである。
(というか、PS「大江戸大回転」のプログラムを使い回ししている感が?あれもポリゴン+スプライトだったし。操縦性など色々と似てる面がある)

ゴエモンインパクト戦も健在。コックピットは画面一画面に収まらないほど大きくなり、難易度が上がっている。
爽快感を与えるための巨大メカ戦だったのが、シビアなゲームバランスによって、緊張感溢れるバトルに変化している。
今までは一画面だったのが、画面をスクロールさせて敵を視界に捕らえて攻撃をおこなう。かなり忙しく敷居が高い。
しかし、その割に照準の動きが遅く、不便さを感じさせてしまっているのが難点。
作風も変えたことで、メカデザインも変わっているのだが、妙にかっこつけていてなんか滑っている。前のようなお馬鹿キャラと戦うのが面白かったのだが…。

ステージ数は、決して多くないが、ステージクリアーまでのラップタイムが記録されたり、ノーダメージでクリアすると勲章がもらえるなど、ストイックなやり込み要素が取り入れられ、繰り返し遊んでもらおうという工夫が見られる。
でも、繰り返し遊ぶのに、特定キャラクタの特殊能力を使わないと進めないギミックは、余計な煩雑さを生み、テンポを悪くしている。切り替える時に一々ディスクに読み込みに行くし。困った物である。

他にも、町で情報収集をして、出現場所を探し当て賞金首を捕まえるお尋ね者システムといった探索要素も入っている。

ただ、全般的に、通常ステージは割とバランスはとれているが、インパクトステージとボス戦が極端に厳しい。
ボスに関しては、こちらのライフが少なく、相手のライフが非常に高く、動作パターンも多く動きが読みづらい。
従来のゴエモンシリーズとは異なり、どちらかというとロックマンシリーズのような、俊敏に動き回る相手を性格にとらえ戦っていくガチンコ勝負の路線である。
だが、ガチンコの割には先ほど指摘したように、システム的な面でのこちら側の不利さが際だっている。カプコンのロックマンのように、システム周りを隅々までかっちり作り込んでこなかった弊害だと思う。

感じたのは、全体的にマニアック路線になってしまった印象だ。サブウェポンシステムも、お金を消費するだけでなく、特定のサブウェポンゲージを消費して使うために、金任せでごり押しということが出来なくなった。バランスを崩壊させるような要素は排除しているようだ。
そしてゴエモンといえば、2人同時プレイだが、今作では削除されている。寂しい。当たり前に出来るものだと思っていただけに余計寂しい。

内容刷新させることは悪いことだとは思わないが、出来上がってきたのは没個性的な優等生で、はっきりいって、画一的でつまらない。
昔と比べると、個性的なものを生み出すのが難しくなってきているとは思うが、その困難を乗り切ってこそ名作にたどり着ける。
ゴエモンとは名乗っているが、このゲームは、そこら辺にあるありふれたアクションゲームの一つでしかなく、オリジナリティに乏しい。
ただ、音楽は相変わらず高水準で良くできている。

思うに、売れない理由っていうのは、この短期間で、ゴエモンシリーズ自体をリニューアルしすぎなのだと思う。後は、粗悪な作品を主に携帯ゲーム機などで乱発している所も。
一年前にプレイステーション2でも、全く作風の違うゲームを出して、今回のリニューアル。これだけシステムを変え続けると、ファンに定着しないのである。それに、シリーズファンがどこを好きかというのもまるでわかっていない。
そういったところを理解した上で、イメージの刷新をおこなうべきではないのだろうか?

個人的には、ごく一部のステージと妙にタイトなボス戦&インパクト戦を除けば、そこそこ口当たりの良いゲームではあるが、それ以上に感じる物もなかった。かつてのゴエモンは、それ以上の何かがあった。だからこそ人気タイトルになれたのだろう。
そこで結論。

没個性的なアクションゲーム。





[2010/04/11]
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