冒険時代活劇ゴエモン


対応機種プレイステーション2
発売日2000/12/21
価格オープン価格
発売元コナミ

(c)1986 2000 KONAMI / Konami Computer Entertainment Kobe
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「がんばれゴエモン」が、プレイステーション2で、作風を大幅にリニューアルさせての登場である。
キャラクターデザインの絵柄もより和風チックになり、シリアスタッチになった今作は吉と出たか凶と出たか?!

箱庭型の3Dアクションゲームである。シリーズで言えば、N64「がんばれゴエモン ネオ桃山幕府の踊り」に近い。
キャラクタモデリングはイマイチだが、高解像度で結構処理落ちするものの基本的に60フレームでなめらかに動く。
フィールドマップはかなり広く凝った造形でデザインされており、隅々まで見ていこうとするとかなり時間がかかる。グラフィックに関しては高水準と言えるだろう。
自由度がかなり高く、2段ジャンプが出来るため、マップの行けそうにない、ほとんどの場所に到達出来る。
マップデザイン自体は、かなり作り込まれているが、誰もいない家屋が多かったり、広いだけで何もない場所が非常に多い。

「本当はここに何か入れるつもりだったんだろうな」そう思わせる箇所がいくつも見受けられた。
しかし、ゲームボリュームに乏しいわけではない。

操作性が悪い。
カメラを自由に動かせない。こちらで操作しなくても割と良い位置に動いてくれるのだが、敵との戦闘などフォローしきれない部分がどうしても出てくる。
R2でプレイヤーの真後ろに回り込むが、完全に止まっている時でないとだめ。使えない。
右スティックを押し込むと、近距離モードになり、右スティックで自由にカメラを動かせるが、視点が近すぎてほとんど使えない。周りを見回すのに使うためのものだろう。
任天堂「ゼルダの伝説 時のオカリナ」の後でこのクオリティは、さすがにひどい。スタッフも当然プレイしているだろう。だって、カメラの動き方が似ているのだから。

同系統のゲーム、「ネオ桃山幕府の踊り」でもそうだったのだが、攻撃のリーチが短く、敵に攻撃を当てづらく、倒す爽快感を得づらい。
任天堂「スーパーマリオ64」のマリオの攻撃手段がパンチしか無いような状態だ。これはひどい。
「ネオ桃山」では、小判を消費して飛び道具を出せたが、本作では決して安くない消費アイテムを消費して使う。貴重なので扱いづらい。困った物だ。

敵キャラがやたら沢山出現し、相手をするのすら面倒になるので無視することになる。バランス感覚がおかしい。

また、メニューインターフェースも良く無い。

画面切り替えなどディスクロードの時の画面は、和を題材にしたゲームなのだから、画面中央に「NOW LOADING」は味気ない。もっと気の利いた画面を用意すべき。

経験値とレベルアップの概念が存在し、キャラクター育成の要素があり、RPGのように毒などの状態異常のシステムもあるが、アクションゲームでこの手のシステムを使って成功している例は見たことが無い。
特殊能力を装備してMPを消費して使ったりとか、はっきりいってうざったいだけなので、全部バッサリ無くして良い。

「ゼルダの伝説」にあたるダンジョンに相当する物があり、仕掛けを解いて先に進めていく所がいくつもある。
このダンジョンに相当するマップでは、マップ表示機能が使えない。こういう場所にこそ、マップが欲しいのに、である。
案の定、ダンジョンと言うだけあり、入り組んでおり、そのなかを行ったり来たりさせられるので当然迷う。
ギミックの作りもまだこなれていない感じで、わかりにくい。ヒントの与え方が下手くそで、独りよがりな物が多い。
次に何をすればいいかわからなくなったり、たびたび引っかかることがある。

ストーリーは、妙にカッコつけていて、好きになれない。ありがちな展開や説教くさい台詞も目立つ。
シリアス路線なのに、変なところでシュールな笑いに走っていたり、和風を全面に押し出しているのに、ファンタジーくずれな内容になっているなど、統一感がない。
ゴエモンらしさを残したいのか刷新したいのか迷走したまま作っていった感じだ。
旧シリーズのレギュラーキャラがとってつけたように出てきたり、なんか強引である。
画風も前の方が良かった気がする。なんか素人が書いた絵みたいで、つたない。稚拙である。魅力がない。

ゴエモン(主人公)の声が合ってない感じがする。演技も下手くそに聞こえる。

ゲーム展開にもメリハリが無く、特に印象に残るところが無く、淡々としていてつまらない。
トラップだけは意地悪なので、嫌なプレイ感覚しか残らないゲームだった。

コトラという小さい猫が一緒に付いてきてくれて、戦いにも参加してくれる。
敵をロックオンした状態で○ボタンを押すことで攻撃の指示を出せる...が、使いづらすぎる。
気まぐれで動くので必ずしも攻撃してくれるわけでもなし。全く無意味なシステムである。

色々なところで、荒っぽさが目立つゲームだが、結局はプレイステーション2立ち上げ期の開発で、開発者のスキルアップを目的とした物が大きいのだろう。
ゲームバランスも非常に悪く、前述のRPGのパラメータ制を採用しているせいもあって、敵が堅く倒すのも一苦労。お店の価格設定もいい加減である。

プレイステーション市場を意識して、20代前後を想定した大人向けの内容を模索したのだろうが、練り込み不足のせいもあり、完全に滑っている。
これなら手堅く従来路線で作り込んだ方がまだ良かった気がするのだが。同時期に他機種では並行して同路線の作品が出続けているだけに余計浮いている。

これだけ批判しといて難だが、音楽だけは中々良い。そこで結論。

全てが裏目に出た失敗作。





[2009/11/28]
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