グランディア


対応機種セガサターン
発売日1997/12/18
価格7800円
発売元ゲームアーツ

(c)1997 GAME ARTS / ESP
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「ルナ」シリーズのゲームアーツによる、サターン最強大作RPG「グランディア」が発売された。
構想から含めると実に6年に渡る練り込みを経て膨大なボリュームとなり、CD-ROM2枚組の大容量である。

フィールドは全てフルポリゴンによる完全な立体空間である。
キャラクターはドットで描かれたスタイルで、テクスチャーのタッチもそれに合わせて拘って描かれており、
ポリゴンのなかにも、暖かみを感じさせる映像はすこぶる出来が良い。

1997年初頭にはPSの「ファイナルファンタジー7」が、同様に新たな試みとして、フィールドマップをプリレンダCGの一枚絵による
擬似的な3D空間をやっていたが(厳密には同じ手法は「バイオハザード」でやっているが、ジャンルが違うのでここでは除く)、
実は本作のような手法は別に珍しいものではなく、必ずどこかがいずれやるものではあるのだが、
スクウェアのようなメーカーですら、FF7に於けるポリゴン描画は戦闘シーンのみに留め、それ以上の活用については同社の「ゼノギアス」に譲ったように、
実際制作するには、かなりの力量を持ったソフトハウスで無ければ困難なことで、この辺りゲームアーツは、他社に先駆けて、「シルフィード」や「ガングリフォン」で
ポリゴン演算の研究開発をしていて、この作品では、そのときのノウハウが遺憾なく発揮されているといえる。

ただ技術的に凄いのではなく、前述の通りグラフィックは拘りを持った色遣いで、イベントシーンもむやみやたらとムービーに頼ることなく、出来る限りプログラムを組んでやっている。
他にも町の家屋一つ一つに至るまで、使い回しは一切無く、小物一つ一つもじっくり作り込まれている。
また、そういった世界観を文章で丹念にしっかり描いていて、絵的なインパクトだけでなく、厚味のある圧倒的な情報量である。
このように、地道な作り込みが巨大なゲームの割に統一感を見せ、プレイヤーに良い印象を与えることが出来ている。

冒険を軸に据えたシナリオのクオリティも非常に高く、無駄とも言えるほどの壮大さやスケール感に、力業でグイグイ楽しませてくれる。
見所シーンでは、豪華声優陣によるボイスの挿入もあり、グッとイベントシーンを引き立てている。
しかし、容量上の問題か明らかに声をカットしたであろうシーンが多く見られたのは残念。
ここで喋って欲しいというところで喋らず、全体から見て別に喋らなくても…というところで喋っていたり、この辺のちぐはぐさは何とかして欲しかった。

戦闘は極端に楽で、緊張感が全く無く力押しでクリア出来てしまうほどで、せっかく凝ったシステムを色々用意しているのに、全然使いこなせていないのは勿体ない。
特殊攻撃のエフェクトや、戦闘の切り替わりのロード時間が長かったり、とにかく半端じゃなくかったるい。
メニュー周りの処理もひどいもので、いくらでかいデータをやりとりしてるとはいえ、工夫の余地はまだまだいくらでもあったのだから、もっと快適になるよう頑張って欲しかった。
敵とはシンボル形式のエンカウントで、数が多い上に避けにくいものになっているので、とにかくプレイ時間がかさばってかさばって仕方が無い。
結局、この辺りの詰めの甘さが、ゲームとしての印象を非常に悪くしている。

スキルレベルを絡めた成長システムや、IPゲージを用いたリアルタイム性の強い戦闘システムなど、発想は非常に良いものと思う。
だが、本作ではとりあえずやってみた程度に留まってしまっているのは残念。

シナリオやイベント演出のクオリティの高さなど、光るところも目立つ素晴らしいゲームだが、
同時にそれ以上に惜しい点も多く見られた。良作傑作には程遠い勿体ない作品である。

技術力と職人的作り込みが合わさった力作。





[2005/09/12]
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