グランディアエクストリーム


グランディアというと、ストーリー重視型RPGの人気シリーズであるが、
今回は、それとは対局する路線の内容になっている。

キャラ育成やアイテム集めといったゲーム部分を楽しむ内容になった。

そこに重点を置いているため、ストーリーは必要最小限に抑えられてしまった。

実は、その手のゲームにしては完成度は高い方である。
元々、グランディアの戦闘システムは突出して独創的で完成度が高く
今までストーリーの陰に隠れて、バランスが緩めに抑えられていたのが
勿体ないと言われていたぐらいだ。

今回はそれにだけ特化して作り込んだのはいいが、
散々ゲームバランスがヌルイと言われまくった割に
「ゲーム」としてのグランディアが如何に求められていなかったのかが
本作の評判の悪さで物語っていると思う。

ストーリーははっきりいって無いに等しい。
一応あるにはあるのだが、
導入部、中間、終盤と3つに部分的に入っているだけで、
そのストーリー面での演出は実に地味である。
はっきりいってゲームをすすめる上での動機付け程度に過ぎない。
その方面だけ期待するとだまされた気持ちにすらなると思う。

だが、今までのグランディアシリーズがウリにしていた部分だからといって、
そこだけを抽出してこのゲームを評価づけてしまうのは筋違いだ。

確かに、ストーリーもゲーム部分も楽しませる作りが一番である。
中には、それらを両立させているゲームも沢山存在しているのだから。
はっきり言って、何故評価が低いのかもうひとつの理由に
ストーリー部分の描写が明らかに開発の時間不足から来る切り捨て感が否めないからだ。
実際、オープニングでは力の入ったムービーシーンが流れ、
グランディアシリーズお馴染みの重厚な物語が展開しそうな勢いが漂っていたからである。

ゲーム中、ロード時間で待たされることは一切無い。
戦闘への切り替えも一瞬だ。

その戦闘であるが、今回は歯ごたえのあるバランス調整になっている。
恥ずかしいことに、俺は何度やってもこの戦闘の先読みが出来ず
上手く立ち回れないのだが、
今までのバランスに物足りなさを覚えていた人ならば満足できるものになった。
強いて言えば、円を描いたタイプの行動表が小さく見辛かった。
必殺技の冗長さも無い。
画面レイアウトも派手になりセンスの良さを感じる。
また、戦闘時のフレーム数が60フレームとなり
RPGというジャンルでフレーム数はさほど重要ではないが
このゲームの戦闘は意外とリアルタイム性が強い(溜めて好きなタイミングで攻撃できないのが勿体ないぐらいである)
ために、動きがスムーズに表示されるのはダラダラとしておらず良い。

今回はシステム重視のため、従来とは違い、最初から1人を除いて全て使用可能である。
それに伴ってパーティキャラの入れ替えも可能になっていて、
好きなキャラクターで戦いに出かけることが出来る。
マナエッグなどの育成部分のシステムも洗練されて、
各キャラごとの個体差がきちんと出るようになった上に
マナエッグの付け替えやスキルシステムといった、カスタマイズ性の強い
システムも同時に備わっている。
これらも合わさって、かなりゲーム的に戦略性の高いものになった。
残念なのは、中盤にならないと入らないキャラがいるのと、
主人公は絶対にパーティから外せない点だ。
ここまでプレイヤーに遊びを委ねているのだから、
主人公もいっそのこと外せてもいいと思うし、
中盤にならないと入らないキャラクターがいるというのも勿体ない。
絶対に最初から全キャラ使えるようにすべきであった。

なお、必殺技は今回、熟練度が設定されており、使い込めば使い込むほど威力LVが上がっていく。
また、キャラ同士の連携技もあり、それを探す楽しみもある。
必殺技を使い込む楽しみが出来たのも良い。

町は一つだけで、この町を拠点にゲームをすすめていくことになる。
ダンジョンへは町の外へ出た際に表示される地図に行き先を指定するようになっている。

ダンジョンは残念なことに一部を除いて、固定型である。
このため、何度も潜ると展開が単調になってしまう。残念だ。
しかし、ストーリーをすすめていくと序盤のダンジョンの敵が強くなるなどの点は抜かりない。

本当に、終始キャラやマナエッグを育成したり、アイテムを集めることが目的になっている。
最近のゲームには珍しくチマチマした代物だ。
このストイックさに飽きてしまう人が多く出てしまうのも無理はないかもしれない。
やはり、せっかく藤原カムイにキャラデザさせたのだから、
町の中でのサブイベントぐらいもうちょっと充実させても良かったように思う。
戦闘時のみ活き活きとキャラが喋るのは物足りない物がある。

また、意図的にやっていることで、一度ダンジョンにはいると
クリアするまで中断が出来ない。
一瞬で町に戻ることが出来るゲートも存在するのだが
再びはいる時にはまた入り口からだ。
後半になってくると、一つのダンジョンが長くクリアに2時間以上かかることもある。
こうすることでダンジョンに重みを持たせているのだろうが、中断ぐらいはさせて欲しかった。
あまりにプレイヤーに負担をかけすぎている。
ダンジョン時の視点もキャラによりすぎている感がある。
これも意図的にやっている(視界を悪くさせて敵の居場所を意識して探さないと分かりづらくしている)のだろうが、
ちょっと遊びにくい印象を受けた。
また、町の中でのキャラクターの動きが妙ちきりんで手抜き感すら漂う。
メニュー画面での効果音が安っぽく、地味である。
戦闘時には急に活き活きと迫力が出ているためギャップが酷いのだ。

音楽は並の上程度で、アーケードの格闘ゲームを遊んでいるような
(音楽に限らずゲーム全体として)軽妙なテンポが良い。
とかくRPGは重厚な路線ばかり追求しがちなので、こういう路線もたまには軽い感じで遊べて良かった。
(実際はワンプレイに時間がかかってしまうので気軽には行かないのだが)

しかし、グランディアもそろそろ正統路線の3が遊びたいところだ。
もうこのエクストリームからかれこれ2年以上経っているが全く音沙汰が無い。
下手に練り込まずに出して2みたいな失態をしないために長くかけて作り込んでいるのだろうか?
いずれにしても、このままグランディアを終わらせるのは勿体ない。
是非3を出して欲しいところである。




inserted by FC2 system