対応機種 | PCエンジン(SUPER CD-ROM2) |
発売日 | 1992/08/29 |
価格 | 7500円 |
発売元 | ヒューマン |
「マル勝PCエンジン」で連載されていた読者参加型コーナーをゲーム化。
RPGとは全く縁のない、アクションとスポーツゲームのヒューマンによる制作であるが、なかなかしっかり出来ている。
見た目の硬派さとは裏腹に、どっぷりぬるま湯のゲームバランスと、シンプルかつオーソドックスなゲームシステムで、間口が広く誰でも楽しめる。
武器の改造、魔法の習得法、MPではなくアカシックを消費して唱える魔法など、他と変わったことをやろうとしているが、煩わしさはなく普通のRPGと同じような感覚で遊べる。
ディスクアクセスも快適で、テンポよく進み爽快感あふれる対面型バトル、レスポンスの良さ、見せ場では勿論PCエンジン自慢のビジュアルシーンが流れるところなど、実にツボを抑えた作りとなっている。
ここまで褒めちぎっているが、やはり、RPGを作り慣れてない部分も目立ち、細かな粗が気になってしまう。
フィールドのドットの色使いが微妙に古い。他になんともいい表現が出てこなくて申し訳ないのだが。
また、イベントシーンの処理の仕方に雑なところが残っており、細かなところだが何とか出来なかったものかと思う。
ビジュアルシーンが入っていると言っても、ゲーム全体の本当にごく一部。台詞に声がついているところも殆ど無い。
あまりのアニメシーンとボイスの無さに、まるでROMカセットのゲームを遊んでいる錯覚さえ起こしたほどだ。これは実に寂しい。
マップの大きさと比較してエンカウント率が高めで、サクサク倒せるから気にならないっちゃ気にならないのだが、やはりつらい。
全般、ゲーム自体も非常にヌルく、他のRPGではMPにあたるところである存在のアカシックが、敵を倒すことでたっぷり手に入るので、MPを気にせず魔法を唱えられる。つまり、緊張感がない。
ダンジョンにはこれといった仕掛けもないので、どうしても作業的になってしまうのは否定出来ない。
宝箱にトラップを仕掛けてるといっても、手痛いトラップがない(強いて言えば脱出が面倒)。それ以前に、解除魔法やアイテムが充実しているので、あってないようなトラップになっている。
これなら、最初から宝箱のトラップという概念をなくしても良いぐらいだ。ただただ面倒。
メニュー周りの操作性も及第点といったところだが(1992としては)、ギルド(ショップ)での選択肢や、細かいところでの挙動が独特でわかりづらいところがあって、少々使いづらい。
特に回復魔法を使おうとしたら、何度か隣のウイングを選んでしまって、出る気もないのにダンジョン脱出してしまう手痛いミスにあたることが多かった。
アイテムでは出来たのだから、魔法も並び替え機能を付けてくれるとやりやすかった物だ。
ストレスを感じさせず、気持ちよく遊べるRPGを心がけているのは伝わってくるが、スーパーCD-ROMにしては薄味のイベント演出と、タルいダンジョン探索&バトルばかりで、なんとも先に進めるのが退屈でキツイゲームだった。
メニューの「会話」コマンドはしっかりフルボイスだったのだから、その余力を本編に向けた方がいい。ゲームの購買層を考えると、この内容だと厳しいだろう。そこで結論。
悪くないが、もうひと頑張り必要。