逆転検事


対応機種ニンテンドーDS
発売日2009/05/28
価格4800円
発売元カプコン

(c)2009 CAPCOM
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人気シリーズ「逆転裁判」で検事役として登場しライバルキャラを務めた御剣怜侍を主役に据えた外伝作品。といっても開発規模的にはほとんど続編といってもいいレベルだ。
検事側から事件の真相を暴くコマンドアドベンチャー。

「逆転裁判」のウリであった法廷バトルは今回ない。事件現場で自ら検事として捜査と推理を重ねていき、証拠がまとまったら関係者を相手に矛盾する証言を探して事件の真実に迫っていく。
矛盾する証言を暴くという点では従来のシリーズを踏襲したゲームシステムだが、本作では“裁判”がなくなったことで独自性が薄れ、より推理アドベンチャーの要素が強くなったと言える。

タイトルのネーミングセンスが良く無い。「逆転裁判」はそれだけで内容が明確で語呂も良い非常に優れた名称だった。これが「逆転検事」では、語呂が悪いし内容もわからない。なにより、「逆転裁判」に比べ圧倒的に地味だ。
「逆転裁判」では弁護士側で戦ったから、今度は検事側で法廷バトル出来るのかと思いきや、そういうわけでもない。これは誤解を招くタイトル名だ。もう一捻りすべきだったろう。

基本的なゲームシステムは引き継ぎつつも、捜査に重点を置いている今作は、いっぽうで大きく変わっている部分もある。
まず、現場にいる主人公を十字キーで動かし、気になるところを調べたり、関係者と会話する。これまでは完全なコマンド形アドベンチャーだったが、キャラクタをRPGのようにフィールド上を動かしてゲームを進めていく点が大きく異なる。
キャラやマップはドット絵で、キャラパターンも豊富でクオリティは高い。この辺はさすがカプコンと言わざるを得ない。

新システムであるロジックモードが面白い。集めた情報で関連のありそうなものを2つ合体させることで、新たな手がかりが得られる。
例えば、“鍵のかかった金庫”と言う手がかりと、“引き出しに入っていた鍵”という手がかりをロジックモードで合体させると、“これは金庫の鍵”という情報に変化する。
なお、間違えるとシリーズおなじみのペナルティゲージが減少し、もちろんこれがなくなるとゲームオーバーになるので、コマンド総当りは出来ない。

「逆転裁判4」では、ムービーを取り入れてみたり、タッチパネルで指紋を採取するといった犯人の痕跡を探していく科学捜査の導入など、ハードウェアのスペックが上がったことで実験的要素が目立っていた。
ムービーはやはり違和感があるし、意味もなく金もかけたくないのだろう、今作ではバッサリなくなり、GBA時代のように全てプログラム処理に戻っている。
科学捜査は、個人的には良く出来ていたし悪くないと思ったが、評判が良くなかったのか削除され、推理に重点を置いたゲーム内容に見直しが図られている。

インターフェイスに関しては「逆転裁判4」と全く同じ。タッチパネルでもボタンでも全ての操作ができる。ゲーム上の説明ではボタン操作を基準とした説明をしている。

ゲームバランスは、さすがに4本もシリーズを作ってきていると、こなれてくるのだろう、ヒントの与え方なんかも非常に練り込まれており、バランスは良い。
「逆転裁判4」が簡単だったという声が多かったのか、あれよりかはやや厳しいところがある。しかし理不尽というほどのところはない。やはり最終話がやや難しさや強引さが気になるかもしれない。といった程度。
一回のミスで減るペナルティゲージの量がかなり少なくなり、結構間違えれるようになっている。間違えたとき出る台詞とかが、割と良いキーワードを言うようになったのも大きいと言える。

現場を歩いて捜査するのは、これまで以上に手間がかかるんじゃ…?と思う人もいるかもしれない。歩ける部分はゲーム進行上必要な1エリアのみ。それも大きさにして大体一部屋(1.5画面程度)で、調べ終わったところでは「もうここは調べた」と言ってくれるので、進めるのはかなり楽だ。
全てのフラグが立て終わったら自動的に話も進むようになっている。

外伝という割には、単体作品としても遊べる内容で、過去作の人気キャラをうまく絡めて登場させているが、ストーリーがこれ一本で綺麗にまとまっているので、シリーズ未経験者でも十分楽しめる。

音楽が今一つ爽快感に欠ける小奇麗な音だったことと、やはり法廷バトルが無くなってしまったのは寂しい。逆転裁判シリーズといったらやっぱり法廷は外せない。あと個性的で魅力ある登場キャラクタだが、そろそろネタ切れか!?旧キャラにかなり助けられている印象があった。
だが勿論、推理アドベンチャーゲームとしてのクオリティはしっかり高い。そこで結論。

オリジナリティーはなくなったが、安定した面白さはある。





[2010/12/04]
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