逆転裁判3


対応機種ゲームボーイアドバンス
発売日2004/01/23
価格4800円
発売元カプコン

(c)2004 CAPCOM
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主人公は弁護士の成歩堂龍一となり、難事件の真実を法廷で暴いていく人気アドベンチャーゲームである。
2001年に発売されて以降、シリーズ化され、待望の3作目が本作である。

ゲームシステムは前作と全く同様で、プログラムも全て使いまわしているため、新鮮味に乏しい。

主人公や物語、登場人物はおなじみのメンツで、やはり今回も話が続き物であり、密接に話がつながっているので、3作目からいきなり入るのは厳しい。過去作の犯人をネタバレするなど、シリーズ経験者前提とした内容になっている。

本作ではっきりしたことがひとつだけある。それは、シリーズ化が前提となったことで、シナリオが守りに入ったことである。
例えるならば、「週刊少年ジャンプ」で、人気が出たことで連載が辞めるに辞められなくなり、仕方なく後付けで話を続けざるを得ない状況に陥っている事情に似ている。
また、シリーズ化したことで主要な登場人物がいかに生死の境地に立たされようとも、「どうせ無事なんだろう?」とプレイヤーに悟られてしまう問題点もはらんでいる。
こうして続編が出続けることで、プロットに意外性を持たせることが出来ない。後付けで脚本が書かれていくので、一作目のように綺麗にまとまったそれでいて違和感のない意外性を持たせるものが作れない。

全5話で、前作より1話増えているが、探偵パートがある話はそのうち3つだけ。ただし、1話1話がボリュームのある内容になっているので、物量的な不満点は十分解消されていると言えるだろう(個人的には今回は長すぎる気がしないでもない)。

ファンの期待に応えたいということもあるのだろうが、一つの一つの事件が無理に複雑で、かつ、意外性を出そうとしていて、なんだか筋書きが雑になっている印象がある。
また、このゲームは、あくまで法廷バトルがメインであって、ミステリーではない。つまり、裁判で関係者の証言から事件の真相を突き止めるゲームなので、完全犯罪のトリックにケチつけるのはナンセンスと言える(ま、そもそもこれは小説じゃなくてゲームなわけだしお門違いでもある)。
だが、今作は偶然を当てにした犯行が目立った気がする。前述の通り、そこを突っ込むのは野暮だと思う。ただ、ゲーム上でその“偶然に頼った”ことについて一切触れないのは駄目だと思った。偶然が起こるからこそ成立する事件というのがあまりに目立つ。前作まではそんなに露骨に気になるものはなかった気がするのだが?

ヒロインが霊媒師(死んだ人間を自分に宿らせる)であることから、いつかはやるかもしれないと感じてはいたのだが、霊媒を使った事件をとうとう取り扱ってしまった。一応きちんと伏線やルールを劇中で説明してくれるので決して理不尽さは無い。
ただ、それを推理させるという点から考えると、話は別だ。現実ではちょっとありえないような展開も目立ち、単純に読み物としては面白いのだが、自らの手で推理するとなると、ちょいと辛いものがある(まあこっちは証言の矛盾を指摘するだけなのだけど)。

あと、登場人物も、無理に変わった人を出そうとしている感じがして、なんだか好きになれなかった。1で目立っていた霊媒師の助手が地味に感じてしまうほど強烈なキャラクタばかり出てくる。

難しさは大体2と同じぐらいかそれよりか多少厳しいぐらいの位置。その原因は、事件が長大かつ複雑なのと、証拠品(コマンド)が多く、まわりくどく立証しなくてはならないので、トリックが推測できても、それをどうゲーム上のコマンドで表現するかという点で良く迷う。
個人的には、1と2の中間ぐらいのバランスが丁度良い感じがする。ボリュームが求められるのはわかるが1つのエピソードが長くなりすぎてくどいのも気になる。
推理ADVが難しいのか簡単だったのか一人のプレイヤーが判断するのは極めて難しいが、このゲームは間違えるとペナルティゲージを減らされるというシステムがある(0になるとゲームオーバー)。
コマンド総当りを否定しているゲームなので、つまり、全体を通してなかなか気づけなかった設問を割合で考える。そしてその割合が5割だったとしたら、10人に5人がなかなか気づけず苦戦したゲームと考える。
この手のゲームで理想なのはやはり、一作目のレビューでも書いたが、10人中8人から9人は気づけちゃうバランスじゃないかと思う。普通にやっていればわかる。なのに、なぜか自分はここがなかなか気づけなかった。そうなると、自分のふがいなさに悔しささえ覚えるだろう。
しかし、これが半分しかわからなかったなどという難易度だと、ゲーム側が無茶な要求を与えていると思われても仕方が無いと思う。
コマンドには人物と証拠品のカテゴリから選ぶが、状況に応じて人物ファイルか、証拠品ファイルか、選ばせる選択肢に制限をかけるとだいぶ丁度良くなると思うのだが…。

幸いこのゲームは、好きなタイミングでセーブが出来る。どうしてもピンと来なかった人は、選択肢の直前でセーブして、リセット&ロードの繰り返しをせざるを得なくなる。これは、つまらない。せめて間違えたときに、露骨なキーワードやヒントを絡めるとかするぐらいの配慮があってもいいかもしれない。
また、ペナルティゲージは、探偵パートのサイコ・ロック解除時にしか回復しない。ゲージ量に比べて、あまりにも1話が長すぎると思う。せめてインターバルのセーブ確認時に全回復させるぐらいの甘さはあってもいいのではないかと感じた。

3作目ということで、ファンのツボを抑える粋な演出や構成も分かってきた感じで、一作目からプレイしてきた人が喜びそうなポイントもしっかり押さえている。

色々苦言も呈したのだが、それでもやっぱりなんだかんだいっても先が気になる面白さがあるのだから困ったものだ。また、3作目になっていよいよ良い面、悪い面が目立ってきたとも言えるだろう。

最後に、これは改悪と感じたことだ。法廷パートでも既読メッセージのメッセージ飛ばしが出来るようになったのは良いが、メッセージ飛ばしの挙動が変更され、なんだか引っかかるような飛び方をするようになったのが非常に不愉快に感じた。次回作が出るのなら前の挙動に戻して欲しい。そこで結論。

決定的な進歩はないが、安定した面白さはある。





[2010/11/11]
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