逆転裁判4


対応機種ニンテンドーDS
発売日2007/04/12
価格4800円
発売元カプコン

(c)2007 CAPCOM
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ゲームボーイアドバンスで好評を博した人気アドベンチャーシリーズである「逆転裁判」の新作がニンテンドーDSで登場した。
コマーシャルには本物の弁護士「丸山和也」を起用し、これまでより説得力のある広告展開が行われた。

3までは年一年ベースで発売にこぎつけていたのだが、プラットフォームの変更などの諸事情があってか、3年という月日を待たされた。

これまで密接につながっていたストーリーやキャラクターを一新。新規のプレイヤーでも問題なく入ってゆける作りとなっている。
ただ、新しい主人公は今までの主人公、成歩堂と比べガキっぽすぎる気がする。名前に王泥喜法介(おどろきほうすけ)と泥という漢字が混ざっているのも、ネガティブな印象を受ける。

ヒロインも新しく立てられたが、きちんとキャラ設定をストーリーやシステムに組み込んでいるところが上手いと言える。

ニンテンドーDSに舞台を移したことで、インターフェイスやグラフィックがブラッシュアップされパワーアップしている。特に演出面の強化は顕著で、ムービーや一枚絵、ポリゴンを使った演出を積極的に挿入して視覚的にわかりやすい見せ方を拘ってみたり、なかなか頑張っていると言える。
しかし「ここ無理にムービーに起こさなくても良かったんじゃ…?」と思える部分もあり、今一つ新ハードでの立ち回りが上手に出来ていない感じもした。

操作はタッチペンに完全対応しており(ボタン操作も勿論可)、コマンド入力がより便利に改良されている。これは、本作の発売までに過去作をDSに移植した際の資産を活かしたもので、いきなり新作で何から何までゼロから作るのではなく、まず移植で肩慣らしをしてから新作の制作という段階的な開発が功を奏していると言えるだろう。

ゲームシステムやゲームバランスがかなり良い。証拠品がポリゴン化され角度を変えて見ることで新しい手がかりを見つけたり、タッチパネルをふんだんに使ったカガク捜査が新要素としては面白い。
前者の証拠品はせっかくポリゴン化したのに、あまり活躍の場がなかったのは次回以降に期待したいところ(まさか「バイオハザード」のように廃止するなんて残念なことはしないで欲しい)。

バランスは新規のプレイヤーを意識したのか、かなり簡単になっている。特に、セーブポイントを通過するとペナルティゲージ(法廷バトルでコマンド選択を間違えると減り0になるとゲームオーバー)が全回復するようになったのはかなり大きい。ゲージが満タンでも、一回間違えると全部持って行かれるという理不尽な箇所もなくなり、遊びやすくなったと言える。
3のレビューで指摘した、セーブポイントでゲージを回復させて欲しいということと、証拠品の提示を求められたとき、人物ファイルか証拠品ファイルか求めているコマンドのカテゴリのみから選ばせるべきと書いたところが今作ではしっかり直され、かなりバランスが良くなった。
個人的には、これぐらいが丁度良いと思う。逆に2、3の歯ごたえを乗り越えた人だと物足りないというか、あざといヒント出しが目に付くぐらいかもしれない。

捜査パートでは最終話以外「サイコ・ロック」は登場しない。出てこないから廃止されたのかと思ったが、そういうわけでもないのなら、これまでどおり全話に入れても良かったんじゃ?

新システムでは新たに証言中の証人が動揺した仕草を探し出し「見抜く」というものが導入された。特定のポイントで反応し見つけ出すことで先へ進めるようになる。
ゲームボーイアドバンスで出していた頃はこういった新要素の導入に積極的でなかったが、ニンテンドーDSになってハードスペックが向上したことで、制作の自由度が高まったせいかチャレンジ精神にあふれた作りとなっており、マンネリを打破しようという気概が強く感じられ好感が持てた。

3で指摘した、シナリオの無理さも無く、全編良くまとまっていて脚本の出来は良い。ただせっかく主人公やキャラクタを新しくしたのなら、前作までのキャラは全く出さないようにして、潔く全部切ってしまうのが良かったと思う。また、敵である検事の意地悪さが薄れてしまった、ケレン味溢れる個性豊かなキャラが減り地味目になったのも物足りないっちゃ物足りない。

プラットフォームを移して、色々リニューアルした割には、破綻したところがなく良くまとまった作品で完成度は高い。強いて言えば、証拠品を眺め回すときボタン操作でも回せると良かった。そこで結論。

進化した「逆転裁判」を今すぐ体験せよ。





[2010/12/01]
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