ジャイロマンサー


対応機種Xbox360(XboxLIVE arcade)
発売日2009/11/18
価格1200マイクロソフトポイント
発売元スクウェアエニックス

(c)2009 SQUARE ENIX / PopCap
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RPGとパズルゲームを融合した作品である。
既に「パズルクエスト」でやられている企画だが、この作品の出来具合はいかほどか!?

公式サイトでも書かれているが、パズルゲームの部分は、まんま「Bejeweled」である。
そこに、この会社お得意のRPGを混ぜ込んだだけの、なんともオリジナリティのないちんけな作りだ。

考え無しに別ジャンルをくっつけると駄作になるのは目に見えていて、このゲームも例に漏れず総合的な完成度は良く無い。

ステージにはいると、一本道で枝分かれしているマップが表示され、シンボル化されたキャラクターをコマを動かすように操作して進めていく。
この辺りは、同社「アンリミテッドサガ」に酷似している。わかる人にはアレを想像してもらえば良い。

敵に接触すると戦闘に突入するが、前述したとおり、戦闘シーンはパズルなのである。
これを何度も何度もエンカウントしてプレイさせられると、正直うんざりしてくる。

しかも、一本道なので敵シンボルを避けることが中々出来ないし、スイッチを押して道を閉ざしているシンボルを解除させなければならなかったり、面倒この上ない。
それ以外にも、RPGのダンジョンの如く作り込まれた、ギミックのせいで中々思い通りに進ませてくれない。

パズルのシステム周りは対戦に特化した作りになっており、画面上の同じ色の宝石を縦か横3つ揃えて消していき、攻撃ゲージを溜めて盤上に出現するアビリティジュエルを消すことで相手にダメージを与えていき、0にすることで勝利。
戦闘がパズルゲームなのは百歩譲ってまだ許容しても、こちらが受けたダメージが1マップ上では蓄積されたままなので、プレイヤーにとってストレスとなる。
ゲームバランスも良く無い。適正レベルになっていないと、厳しい戦いを強いられる。初心者救済のためのシステムなのだろうが、同時に無意味な足止めの役目も果たしている。

宝石を消さない空回しをおこなうことで、敵の攻撃ゲージが大幅に溜まるなどのペナルティを課せられる(敵のゲージはターン経過で自動的に溜まっていく)。
これはゲーム中盤以降に追加されるルールだが、空回しがあまりに優位すぎるという措置からだと思うが、戦略の幅を狭めている。
なにより、誤操作してしまっただけでも、ペナルティを負うというのが納得いかない。もう少し自由にプレイしたい物だ。
また、こういうシステムにするのなら、宝石を消せる場所を表示するぐらいやっても罰は当たらないと思う。元々、そういった部分にカーソルを合わせると色が変わり、消せることを教えてくれる。
使いたくない人には、設定で切れるようにすれば良いのだから、何も問題はない。
空回ししたくない時に、消せる場所は無いか、一々カーソルを隅から隅までチェックするのが非常に面倒だった。

アクション性は無く、時間経過による有利不利は無い。対戦と言っても、相手も同じフィールドで宝石を消していくというわけではない。そのため、じっくり考えてプレイすることが出来る。近年では珍しいパズルゲームだ。

落ちモノパズルアクションのような連鎖によるボーナスがあるが、上記の通り、その仕込みが自由に出来ないゲームシステムである。
そのため、なんだか運任せになりがちである。ゲーム展開も一方的になりやすい。勝てたり、凄い連鎖が出ても、運が良かっただけとしか思えない。達成感が無く実につまらない。

敵のアビリティジュエルが発生した時、ジュエルにドクロマークがつくせいで、どの色かわかりづらくなる。これには困った物だ。

スクウェアエニックスらしく、豪勢なストーリー仕立てで構成されている。変に自由度は無く一本道で、ボリュームもほどよく丁度良い。
キャラクターデザインがいかにも海外受け狙いの渋いCGで没個性的である。召喚獣なんか、英字のまんまだし。日本人はどうだっていいのか。
イベントシーンは、上下にメッセージウィンドウで真ん中にキャラクタを乗せる任天堂「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」タイプのものだが、メッセージに対して吹き出しが付かないので、誰が喋っているかわかりにくい。
それ以外でも、インターフェイスに関してはあまり良い方では無い。

音楽はロックで凄く聞き応えがあるし、見た目も小綺麗で評価出来るものの、だからといって1200マイクロソフトポイントは高すぎる。せいぜい800ポイントぐらいだろう。

専門用語が多い割に、解説書(モード)の説明でほとんど触れられていない項目が多い。こういったところはちゃんとして欲しい。

最近この会社は、フリーゲームからパクってきたようなゲームが多い。パクること自体は悪いことではない。寧ろ、クオリティは元のものより高くすら感じる面もある(全てに置いて秀でてる訳ではない)。
このゲームも、フィールド探索の達成率を表した勲章のシステムや、召喚獣集めといった要素はなかなか良く出来ていると思う。

しかし、やはり戦闘がパズルゲームという、RPGとの融合に関しては失敗していると言わざるを得ない。
肝心のゲームシステムも、敷居が決して低いとは言えず、損をしている。せめて味方のヒットポイントを回復出来る機会を増やしたり、ペナルティの重さを見直すぐらいは必要だっただろう。

最後になるが、全体的に操作性はよろしくない。特にXbox360は十字キーの使い勝手が壊滅的なので、カーソル操作で良く間違えてしまうため、スティックで操作した。困ったことにスティック操作の方が扱いやすい。

なんというか、この会社らしく相変わらず見た目ばかり豪華で中身は今ひとつなゲームだ。そこで結論。

ジャンルをミックスしたところで本職には到底かなわない。





[2009/11/22]
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