.hack//感染拡大 Vol.1


対応機種プレイステーション2
発売日2002/06/20
価格5800円
発売元バンダイ

(c)2002 BANDAI / CyberConnect2 / Project.hack
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バンダイが送るメディアミックス大型プロジェクト始動。アニメ、ゲーム、ネットと様々なメディアを巻き込んで送る新機軸。
Project.hackは、ネットワークRPGを舞台にした意欲作である。

ゲーム版は、4作に分けて発売されるという一風変わった形式をとっている。家庭用ゲーム機が高性能化するにつれて、開発費の高騰により、利益確保が困難なことから、
一作で終わらせず連作として出す事で、商業的な成功をもくろんだものだろう。
通常ゲームソフトは、ひとつで完結するものゆえ、製品として市場に出すまでに、しっかりと作り込まなければならない。
本作の形態だと、1作目ではまだ荒削りかもしれないが、ユーザーの意見をフィードバックすることにより、その後の出来映えがぐっと引き締まる利点がある。
最終的に払う価格は高くついてしまうが、一本ごとの定価は安く抑える事が出来る利点もある。自分に合わないなら、続きは買わなければよいのである。
なにより、発表時に、発売時期と本数を明らかにしているのは好印象。
このような販売方式は、ゲームではなかなか難しいかもしれないが、ゲーム業界では、プレイした人の意見が、じかに帰ってくる機会がなかなかない(あっても実感が伝わりにくい)ので、今後ほかのメーカーにも検討してもらいたいものである。

ゲームボリュームは1本としては少ないが、価格をそのぶん抑えてカバーしている。しかし直前になってアニメDVD同梱で5800円と発表された。これ以上下げれなくてごめんなさいという意思表示にも見える。
4800円で仮に出せていたら、なんともお得感を味わえたのだが、惜しい。

ネットワークRPGが舞台の(フィクション)RPGという、ゲーム版はなんともややこしい設定であるが、このありそうで無かったコンセプトは素晴らしい。
公式BBSの書き込みを読んだり、自分に宛てたメールを見るという行為が、物語のフラグに組み込まれている斬新さがかいま見える。
しかし、Vol.1ではまだ、ネットワークRPGっぽいゲームの域を出てない感じがする。これの神髄は、ネットワークRPGを舞台にした限りなく現実に近いストーリーによって、発揮されるのであって、
ネットRPGっぽいだけで終わってしまっては、非常にもったいないのである。もうちょっと、ゲーム外の描写を増やして欲しかった。
あと、バグが発生して表示がおかしくなるのも、もうちょっと頑張って、本当にバグってる感が見たかったなぁー。画像が乱れたり程度だもの。あとはアートのレベル。

ターゲット層を中高生辺りで狙っているのか、世界観が幼いのも気になる。おまけに、キャラクターも深夜アニメ並みの濃さで、かなり人を選ぶ。
なんたって、キャラデザがエヴァンゲリオンの貞本義行ってだけでも、それだけで濃いのに、味付けまで濃くしてどうするよ!
そんなわけで、どーも今ひとつコケ気味な感はぬぐえない。もっと一般受けを狙ってもいいものと思う。

ストーリーが、ボリュームがないというのではなく、中身が薄い、進展が遅いのも、ちとどうかと。
これはもともと、ストーリープロットが、ゲーム一本分だったものを引き延ばしたのか、そもそもが一本分のシナリオを分割しているのか、つまり予定調和かそうでないかが、非常に気になるところだ。
クリアしたらパロディ版や、自動生成ダンジョンのシステムでたっぷり遊んで下さいねっていう考えもあるのだろうけども、手抜きくさい気もする。

アクション要素の強い戦闘は、攻撃時に硬直したり、当たり判定など全般処理がぎこちなかったり、ダメージ表示が非常に見づらかったり、問題も多い。
メニュー画面も質素な作りで、もう少ししゃれっ気があっても良かったと思う。

最初にプレイヤー名(ゲーム上で使われるキャラ名とは別)の入力を求められるが、その割に操作プレイヤーの設定がかっちりと定まってしまっているので、ゲームに参加している感覚は無い。
せめて職業ぐらい決めさせて欲しかったなあというのが本音(余裕が無かったか!?)。

いろいろと苦言が多くなってしまったが、実験作品であることを考えると、良くできている方と思う。
なにより、発想が素晴らしい。ゲームの作り込みがどうのというよりも、ユーザーはこういうのを待ってるんですよ!

今後の成長に期待が持てます。





[2006/05/14]
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