.hack//絶対包囲 Vol.4


対応機種プレイステーション2
発売日2003/04/10
価格5800円
発売元バンダイ

(c)2002 BANDAI / CyberConnect2 / Project.hack
戻る

全4巻で構成される「.hack//」の最終巻。
架空のオンラインゲーム「THE WORLD」を舞台に繰り広げられる物語も、遂にクライマックスを迎える。

今回、ゲーム上で大きな変更点はない。それだけ、ゲームとして成熟してきたと言うことなのだろう。
が、ゲーム内の設定ではバージョンアップがなされているのだから、やっぱり実際になにかシステム面での変化&追加が欲しかった。
今度は何が変わるのかな?といったワクワク感が一気に打ち消されてしまったのも事実。連作形式の難しさも事情としてあるのだろう。

ゲームバランスにもさして大きな違いはないが、今回は最終巻ということもあってか、ボス戦は勿論、ザコ戦でもLVを上げて装備とアイテムをしっかり揃えていても、
敵によっては、アイテムの使い所を間違えるなど、油断すると全滅するといった歯ごたえのある位置にある。

ボス戦よりそこらのザコ戦のほうが緊張感のある作りになっていて、独特のプレイ感覚をもたらしている。
ともすると、うざったい感触はあるのだが、高レベル向けの冒険エリアが、どっぷりぬるま湯では全然雰囲気が出ない。このようなものだろう。

Vol.4では、ストーリーを進める上でハッキングしなければ入れないエリアが非常に多い。
ハッキングを成功させるためには、対応するウィルスコアが必要で、ウィルスコアはザコ敵をデータドレインした時に手に入ることがある。

データドレインは発動条件があり、敵のHPを一定値削った時に「プロテクトブレイク」状態になったときに使える。
使った敵は、弱い敵に変化し、その時にアイテムを落とす。落とすアイテムの中にウィルスコアがある。

データドレインは使いすぎると危険状態になり、運が悪いとゲームオーバーになってしまうという危険と隣り合わせのものだ。
危険状態から回復するためには、データドレインを使わず敵を倒し続ける必要がある。ちょっち面倒な仕様だ。
さらにウィルスコアにも種類があって、敵によって入手できるコアの種類が異なる。
欲しいウィルスコアを手に入れるためには、それを落とす敵を探して戦わなければならない。

これまでも、ハッキングするためにウィルスコア集めを要求されるシーンはあったのだが、Vol.4では、かなり沢山のウィルスコアが必要になっていて、
はっきり言って、鬱陶しいぐらいひどい。
ゲーム後半は、息切れでも起こしたのか、ストーリーの進展がまったくないエリアばかり潜らされて、ただウィルスコアを集めるだけのゲームになってしまっている。
ほとんど、ラストダンジョンに入るための鍵(ウィルスコア)を手に入れるために、ウィルスコアを集める、みたいな二重手間になってしまっていて、かなり骨が折れる作りに辟易した。

おそらく、前作までが、ボリューム不足という声があったから、クリアまでのプレイ時間を伸ばす目的もあったのだと思うが、露骨過ぎるプレイ時間引き伸ばし工作に
「違う!!そうじゃない、そうじゃないんだ!!」と言いたくなる。

メインストーリーが、短くボリュームにも乏しく、希薄なのもシリーズ通して変わっていない。
どうやら、4本合わせて1本分のゲームボリュームであるという悪い予想は的中してしまったようだ。

ただ、ゲームクリア後のオマケが充実しており、かなり遊べるようになっているために、Vol.4単体としては、ボリューム不足を解消していると言えるだろう。
クリア後の平和になった世界を、違和感なく遊べて、かつ、遊びたいと思わせるのは、設定的な勝利と言う他無いと思う。

なお、Vol.4からプレイすることも出来るが、ゲーム開始時に過去のあらすじを振り返る配慮があっても、なお、わけがわからないと思われる。素直にVol.1からコンバートしながら遊ぶものだろう。

満を持して意欲作として投入された「.hack//」だが、設定の面白さは惹かれるのだが、やはりストーリーが今ひとつ肩透かしだった感は否めない。
ストーリーよりも寧ろ、仲間と冒険して好感度を上げていきメールのやり取りをするなど、ゲーム外の部分が面白いだけに、本末転倒気味なところもまた惜しい。
それも、仲間が多すぎて使い切れないとか、キャラ一人一人の掘り下げが薄いというのも、なんとも勿体無い所だ。

ゲーム自体は、最後まで似たり寄ったりの自動生成されるダンジョンを潜るだけで、巻数を重ねても、思ったほどゲーム内容に変化がないというのもまた残念だった。

そこで結論。

ゲーム部分は連作にしては進化に乏しく微妙だが、疑似オンラインゲームを作り上げた価値はあった。





[2018/03/13]
戻る

inserted by FC2 system