対応機種 | ニンテンドーDS |
発売日 | 2008/05/22 |
価格 | 4800円 |
発売元 | 任天堂 |
むかしデータイーストが発売していたギリシャ神話を題材にしたロールプレイングゲーム。
1994年に発売された4から14年ぶりにニンテンドーDS向けに新作が開発された。
いま、データイーストは自己破産して存在しないので、このシリーズの版権は今回開発しているパオンという会社が持っている(商標登録までしている力のいれっぷり!)。
発売直前までは「ヘラクレスの栄光」というタイトルではなかったが、無理にこのタイトルを当てたというわけでもなさそうだ。
おそらく、バーチャルコンソールでの知名度を察してのことだと思う。
典型的なストーリー重視タイプのRPGで、自由度は低く終始一本道のゲームスタイルを取っている。
グラフィックはポリゴンで構成されているが、キャラクタの造形がイマイチ下手。
会話の時に、たまに顔グラフィックが入る場合があるが、常時入れておいて欲しかった。あのモデリングで特徴を把握しろというのが難しい。
フィールド、ダンジョンでは出来ないが、町ではマップカメラを回転させることが出来る。物陰にアイテムが置いてあったりする。
上画面にマップの全景が、下画面に操作キャラが表示されるが、構成が下手くそなのか良く迷う。思い切ってカメラ回転不可にしても良かったぐらいだ。
カメラの距離に比べてマップ自体が広かったりと、困った物である。
昼夜の概念があるが、出る敵が極端に変わるわけでも無く、町の中の住人が外にいるか家にいるかの違いぐらいなのだから、思い切って無くしてもいい。
最初の操作説明の段階でタッチペンでしか操作出来ない辺り嫌な予感がしたのだが、制作者はタッチペンで遊んで欲しいようだ。
もちろんボタン操作でも遊べるが、あまりボタン操作にやさしくない設計になってる印象。当然タッチペンよりも、コマンド選択はボタン操作の方が便利なので、タッチペンは使わなかった。
ただ、十字キーだと、ほとんどのマップで8方向の操作軸がずれていてしまっているのが悲しい。調整してやらないと、まっすぐに走れない。
戦闘システムは、複雑でとっつきにくさがあるが、なかなか良く考えられている。しかし、テンポが非常に悪い。エフェクトがとにかく冗長で、処理もちんたらしており、とにかくとろくさい。
RPGの戦闘で毎回ここまで濃いと正直くどい。また、こちらの意図通りにいかなかったり、選択を誤ったりすると、長期戦を強いられるなど、つらいものがある。
つまらなくもないが、面白くも無いという具合。これでスピード感があれば絶賛したかもしれない。
エーテルを使った魔法や前列後列の概念など、なかなか凝っているのだけに惜しい。
戦闘中、タッチペンで魔法や必殺技の威力を強化出来るシステムがあるが、これは否定的な向きが強いかもしれないが、DSらしくて個人的にはいいと思う。使わないという選択肢もあるわけだし。
装備品の鑑定や、強化、生成などゲームシステムが多岐にわたっていて、ちょっと煩雑な感じがする。
個々の要素は悪くないのだが、メニュー画面なんかもごちゃついていて、なんだか見づらい。
パッケージやキャラクターデザイン、世界観なんかは売れ線を思いっきりはずれていて、これはちょっと売れそうにない。
シリーズ伝統の路線といっちゃあそうだが、何かもう少し消費者に媚びてもいいと思う。ヘラクレス4なんかはシステムに焚き付けられたりしたものだが。
ゲームをセーブした時にわざわざ「ゲームを終わりますか?」と聞いてこなくていい。おまけに辞めるがAボタンに設定されてるので、間違えやすい。
多くの人は、ゲームを辞める時は勝手に電源を落とすので、そういう設問は不要。
妙に固い敵が出てきたりバランス周りや、メニューデザイン、その他諸々全てに置いて作りが甘いのか、なんだか三流な感が否めない。
永遠の三流なんて言えば聞こえはいいが、やっぱり作品として世に出す以上、傑作を狙って欲しいものだ。
ただシナリオはシリーズの評判通りなかなか良かった。一般受けするかと言えば微妙と言わざるを得ないが。
そこで結論。
時代を超えた三流RPG。細かい部分が気にならなければ。