半熟英雄4 7人の半熟英雄


対応機種プレイステーション2
発売日2005/05/26
価格6800円
発売元スクウェアエニックス

(c)2005 SQUARE ENIX
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あの半熟な奴らがまたまた帰ってきた!
総勢200人が入り乱れる「連打リングバトル」と最大3vs3のエッグモンスターバトルでぶつかり合え!

前作の内容を引き継ぎ、反省を踏まえた上で作られている。
その甲斐があってか、前作で指摘された不満点のほとんどは解消されている。

ストーリーは完全に前作の続きで、それ以外でも前作経験者前提の内容になっていて、
未経験の人間が楽しめないほどではないが、正直苦しいものがある。

システム的には前作を改良している程度なので、全体のクオリティ的には非常に安定している。
核となる物語にも、意外性やインパクトは薄れたものの、その分一つ一つの台詞や掛け合いが小粒ながら良くできている。
しかし、前作同様に中身が本調子になってくるのがゲーム終盤なのは相変わらず問題で、
序盤、6つの惑星を巡る段では盛り上がりに欠けるうえに非常に事務的であり、冗長さが漂った。
訪れる惑星は自分で選べるが、結局意図された順番通りにクリアするようバランスが施されているのであまり意味がない。

構成としては一つの章で、小マップを2〜3程度攻略していく方式にかわり、
でかいマップをだらだらやらせるものではなく、小気味よさを出す方向に作り替えている。
移動先選択が要所要所のポイントを指定するだけになり、障害物に引っ掛かって立ち往生するなどの煩わしさが解消、
工夫次第で効率よくクリア出来るようになり、ストレスの元になっていたものがだいぶ排除されているのは良い。

パーティバトルの導入など一見すると煩雑になった印象を受けたのだが、
その実、遊びやすさを忘れない配慮によって上手に取り込むことに見事に成功しており、
面倒なセッティング作業などで時間が取られることがなく、一定のテンポを維持出来ている。

回数制だった「たまご」も減ったHPを回復させる程度に留まり、好きなモンスターを召喚し放題になった。
たまご所持の将軍は7人の英雄が持つたまごからモンスターを取り出して装備させるという仕組みも分かりやすく使い勝手が良い。

バトルシーンで兵士同士がぶつかり合う連打リングバトルは、スピード感や迫力を優先したかわりに、状況の把握がしづらくなっており、
気が付いたらこちら側の将軍がやられてしまっていたなんていう事態に出会うことも少なくなく、
もうちょっとこの辺りのフォローが欲しかったところである。
また対モンスター戦においては、モンスターが最大3体まで同時召喚出来るのは単純に爽快で、
1vs1のときとは違い、戦闘にそれなりの自由度と意外性が生まれてきたように思う。
タコメーターの導入(※メーター一杯になると相手側にボーナスターンを与えてしまうもの)で、使えない技でもメーターを下げる効果を持っていたりして、
いわゆる死に技や使いどころのないモンスターがかなり減っている。
また、モンスターの入れ替えや効果、メッセージの差し替えも多く、意外にその面でも新鮮さがありマンネリ感を味わうことなく楽しめた。
但し、パーティバトルは逆に一回の戦闘が長引きやすくなり、パーティリーダーを倒せば全滅するようにはなっているが、
それでも時間が従来よりかかるようになってしまい、ややだるくなった印象はある。

新要素のダンジョンは、経験値稼ぎやお金稼ぎ、やり込み要素といった部類に留まっており、
取って付けたような気がしないでもないが、ゲームとしての幅を出すことに貢献しているのではないかと思う。
キャラの移動速度も速くテンポ良く遊べ、どうもここでしか見られないイベントや隠し要素もかなり沢山あるようだ。
かなり手を入れて作っているらしく、どうせだから本編に少し絡ませて興味を引かせてみても良かった気もする。

「ふしぎエッグ」という特定のパスワードを入力することで使えるようになるたまごがあるのだが、
このパスワードはゲーム内では一切得られず広告や公式サイトなどで公開されるのだが
これは無理矢理に他メディアとの連動をはかっているようで、好きになれない。

理不尽さの残るバランス調整だった前作に比べれば、だいぶ低く優しくしっかり設定しなおされており、
敵将軍の数が有限になった、ボスのHPが再戦時に回復しなくなったことによって、
ねばり強くやっていればかならずクリア出来るようになっている(加えてワールドマップに戻れる撤退コマンドもある)。
だが、インフレを起こす終盤になるとまたもやしぶとく強力なボスが出現し、退却を繰り返してHPを削り続けるのはただただ苦行でしかない。
もうシリーズ4作目である、そろそろこの辺りも面白くする工夫が欲しいところだ。

結局は、一発屋な作品だったSFC版を引きずっている部分がまだ残っており、
それを美徳やシリーズの味としてどこか勘違いしている節がある。
今作でだいぶ無駄な要素やいい加減なものが見直されてきたのに、そういう古くさい面がちょっと気になる。
まだ、シリーズとしての立ち位置がはっきり見えていないのだろう。
やはり、全体としてはまだまだ単調であり作業的なゲームである。これらはゲームのように笑ってすませられる問題ではない。
そういう意味で、非常に惜しいゲームである。

購買層の嗜好性が分かってきたのか、期待を裏切らないネタをふんだんに仕込んでいるのは評価したいが、
やはり内向きな、身内ネタが多く、心底褒められる行為とは言えない。

だいぶ良くなってきたが、ゲームとして楽しませる努力も欲しい。





[2005/06/15]
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