ヒットマン アブソリューション


対応機種プレイステーション3/Xbox360
発売日2013/01/24
価格7980円
発売元スクウェアエニックス

(c)2012 SQUARE ENIX / Io-Interactive
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ターゲットの暗殺のためなら、何をしても良いという自由度の高さが売りで、玄人好みのゲームデザインが特徴的な「ヒットマン」シリーズの第5作目だ!
「ブラッドマネー」から実に6年ぶりの新作となり、期待も高まる所だ。

ゲーム内容をかいつまんで解説すると、三人称視点のステルスアクションだが、敵を暗殺するためにフィールド内を探索し、手段を組み立てていくというアドベンチャー要素も強いゲームだ。
いわゆる、ステルスアクションで、プレイヤーを有利にするための「ハッタリ」がなく、リアリティを重要視している。例えば、関係者以外立入禁止の区域には、作業員から服を奪い変装をして入るか、人の目を盗んで不法侵入するかなど、
行動にはほとんどの場合リスクが伴っている。
単純に変装すれば良いというものではなく、同じ格好の人に近づかれると変装を見破られるなど、万能にならないように作られている。

どこに何があるかなど、予め知ることは出来ず、フィールドマップも見れないので、潜入しながら自分の目で確かめなければならない。
そのため、敵の目を盗みながら同時に探索を行い、敵や暗殺の標的となる人物の巡回ルートを探りだしどのように倒すか考えなければならないなど、アクションゲームとしての腕前はもとより、鋭い洞察力や観察力も要求される敷居の高いゲームだ。
最もクリアするだけなら、何度もステージ最初からやり直して試行錯誤したり、ゲーム本来の趣旨を無視して敵を皆殺しにしてもクリアすることは出来る(実はそれもそれで大変なのだが...)。

ステージの圧倒的な作り込みや広大さもさることながら、ステルスアクションとしての構造や構成のバランス(センス)の良さも素晴らしい。
特に敵のAIルーチンが非常に良く練りこまれており、敵の視界が甘い(ノーマルモードの場合)印象はあるが、物騒な物音に関してはかなり敏感で、このゲームでは「暗殺」が思いの外難しく出来ている。

壁越しに敵の姿を見ることが出来たり、敵の移動ルートを見破ることができる便利機能(インスティンクト)が追加されている。
これはとっつきを良くするためのものであることは言うまでもないが、便利機能のもう一つの機能として、ゲームを進行する上でのヒントを表示してくれる。目的地をアイコンで示したり、利用できるオブジェクトを光らせてプレイヤーに知らせてくれたりする。
また、特定の場所では主人公がヒントメッセージをつぶやいたりもする。

つまりこれは、ゲームとしての自由度が上がってできることが増えたことと、グラフィックがより精細になったことで、キーオブジェクトを配置してもプレイヤーが気づきにくくなり、難易度が不本意な上がり方をしてしまうことから、対応した措置と言える。

ゲーム・ボリュームはなかなかのものだが、通り抜けるだけの単なるステルスステージも多めで、つまらないという意味合いではないが、全体的にちょっと冗長さを感じた。

オンラインモードが搭載されているが、取ってつけたような撃ち合いや対戦型モードではなく、自由度の高さを活かして、本編ステージを遊びながらシチュエーションとクリア条件を作り、それを他の人にプレイしてもらうエディットモード的なものになっていて面白い。

ゲームシステムや操作性、インターフェイスは整理され、すっきりと遊びやすくなった作品ではあるが、元々の題材が、自由度を売りにした間口の狭いものなので、ついていける人は少ないだろう。
序盤にチュートリアルステージがあり、レクチャーを受けながらシステムを学べるが、それでも、ゲームのコツをつかむには物足りない代物となっている。

自由度の高いゲームというのは、往々にして、何をすべきか定まってない分、何をすればいいかわからなくなって、難しくなる傾向にある。このゲームも例外ではない。そこで結論。

良く出来たゲームだが、相変わらずマニア向け。





[2013/01/29]
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