対応機種 | ニンテンドウ64 |
発売日 | 1996/11/22 |
価格 | 9800円 |
発売元 | エニックス |
スーパーファミコンで発売され、高い人気を獲得した、コミュニケーションアドベンチャー、「ワンダープロジェクトJ」の続編が、ニンテンドウ64でお目見えした。
コミュニケーションを取るギジンは少女となり、よりリアルな反応を見せるようになって色々とパワーアップ。
ゲームは、二部構成となっており、一部がコミュニケーション編、二部がストーリー編というものになっている。
このうち第二部は、大量のCGを駆使して作られた「豪華な紙芝居」であり、ほとんどボタンを押しているだけでゲームが進行し、ゲーム的要素は(まったくないわけではないが)ないと言って過言でない。
よって、事実上のエンディングと見て良い。ゲーム的にも見どころはないため、ここでは多くは語らない。
このゲームの本編であり、真骨頂を見せているのが、やはり第一部「コミュニケーション編」である。
まず、前作で見られたパラメータの参照が出来なくなっている。また、露骨なパラメータ調節という作業もなくなって、より自然なコミュニケーションが取れるようになった。
前作経験者なら懸念されるであろうパラメーターが見えなくなったことのストレスはほぼなく、ゲーム難易度的にも難しくなったという感覚はない。
このことは、ゲームの方向性として、より正しく機能しており、より正しい方向に進化したと言えるであろう。
前作では、ゲームの目的を提示され、それを解決するためにゲームをプレイしているという作りであった。
それに対して、今作では、一切の目的の提示がない。
これは、プレイを不安にさせる材料であるが、このゲームの場合、ギジンとのコミュニケーションを取ることが主題となっているので、自由度を高める方向に舵を切るのは間違いではないだろう。
このような作りでは、最初は戸惑うかもしれないが、ゲームに慣れてくると、実に楽しく遊べるようになる。
画面構成は、前作と同様のサイドビューで、ギジンを始めキャラクターのアニメーションは非常に滑らかである。
プロのアニメーターを起用して描かれたキャラクタのアニメーションは、実にクオリティが高く、実に自然な動きで、イキイキとした表情を見せる。
また、大量のアニメーション枚数を高速に呼び出す必要のある作りは、ROMでなければ到底実現できない代物で、64の性能をポリゴンではなく別次元から引き出しているという点もポイントが高い。
ゲームとしては、やや取っ付きの悪さは気になるものの、勝手がわかってしまえば、このゲームの魅力に気づくはずといった作りになっていて、決して駄作で片付けられるゲームではない。
とはいえ、コミュニケーションアドベンチャーというゲームとしては、まだまだ未開拓というか、完成形を見るにはまだまだといった風で、惜しい点が多く見られるのも確か。
例えば、ギジンの育成に思ったほど自由度がないとか、ゲームを商品として売るために導入したのだろう、第二部のストーリー編といったチト蛇足気味の要素である。
結果的に、人を選ぶゲームになってしまっているが、いつかこの手のゲームが人を選ばず楽しめるものが生まれてくることを期待したいものだ。
まだまだ進化の余地があるが、この時点でも遊んでおいて損はない作品。