対応機種 | ファミリーコンピュータ |
発売日 | 1991/01/04 |
価格 | 7800円 |
発売元 | ナムコ |
「貝獣物語」のスタッフ(バースデイ)が制作した超大作RPG第二弾がこの「じゅうべえくえすと」である。
そのため「貝獣物語」とプログラムやインターフェイスが共通している部分がある。
特に特徴のないオーソドックスなスタイルの4人パーティ制コマンドRPGだ。
ただ、1991のゲームとして見ても、あらゆる部分が古臭い作りで、時代遅れの香りがプンプンする出来なのが苦しいところだ。
なんというか、ドラゴンクエスト4が出てしまっている時代に、ドラゴンクエスト2時代のRPGといった雰囲気で、いったい何年前のゲームだ!?と言いたくなる。
例えば、不親切なトラップだったり謎掛けだったり、モンスターの強さの理不尽さである。
そして、メッセージ速度の設定が記憶されないので、電源を入れるたびに、メッセージ速度の設定をしなければならない点だ。
全般的に作風が一回り古いと言わざるを得ない。
具体的な不満点としては、メニューインターフェイスが悪い。
ファミコンだからしょうがないことではあるのだが、まず、処理が全体的にトロい。
Aボタンでコマンドを開いた時、パーティメンバーの状態(HPやMPなど)も一緒に表示してほしい。セレクトボタンに一覧表示を割り振っているが、「ドラクエ」みたいにコマンドメニューを開いた時にも表示して欲しい。
超力(魔法)の名称は、「ドラクエ」を参考に名付けたのだと思うが、イマイチネーミングセンスがダサいし、魔法の効果もわかりにくい。
アイテムの種類も豊富で頑張って沢山用意した努力は評価したいが、アイテム名を見ても、どのような効果を持つアイテムなのかがわかりづらく、使い所に困ってしまうのが惜しかった。
また、全体的にコマンド操作時のレスポンスが重くて(特に戦闘時)、ストレスが溜まる。何とかして欲しい。
戦闘時の操作は「貝獣物語」と同様に、十字キー左右で敵を選んで、上下でコマンド選択する操作にしているが、レスポンスの悪さも重なって、やっぱり馴染むことが出来なかった。
素直に「コマンド選択」後、「敵を選ぶ」形式を使って欲しい。
フィールドでプレイヤーを動かすときの操作性も悪く、方向転換するときに一々止まる(向きを変えるたびに移動を中断して向きを変えたという処理が入るため)ので、動きが重くて動かしていてストレスが溜まる。
加えて、エンカウント率が高く、比較的敵も強くて嫌らしいものが多く出現するので、ゲームのテンポが悪くて、非常に辛いゲームだ。
バトルのゲームバランスは、4人パーティで協力して戦う戦略性が出ていて、多少面白味があるが、場所が変わると敵が突然強くなるのが気になった。
戦闘には参加しないが、フィールド上で呼び出すことで手助けしてくれる「すけっと」のシステム(コマンド)は面白いが、全般的に持て余し気味で無理矢理感が出てしまっているのが残念だった。
いっぽう、日本全土に中国大陸まで舞台にしたスケールの大きさや、一見和風RPGかとおもいきや、トンデモ世界観で構成された破天荒なストーリー展開は、統一性がなくガタガタで説得力が薄れてしまう危険な手法である。
だが、ちゃんと場所に合わせてマップチップを作り替えていたり、ファミコンの性能では厳しかっただろうが、広げた大風呂敷をきちんと表現しようと言うこだわりが見られる。
残念なのは、容量不足のせいなのか、町は使い回しばっかりで、せっかく日本全土が舞台なのに個性が出てなくてありがたみがなかったことや、村人が同じ台詞ばかり喋る。
いわゆる、ありきたりなRPGにしたくないという意図が伝わってくるゲームなのだが、ゲームとしては雑な作りが目立っていて、あまり良い印象を持てなかった。
他と比べて技術的に秀でているところがなく、かといって内容的に優れているところがあるかと思えばそれも無い。これといった見所のない残念なゲームだ。そこで結論。
型遅れのRPG(年明け早々の発売ということもあって、お年玉もらったガキンチョで騙された人が大勢いたと予想)。