星のカービィ2


対応機種ゲームボーイ(13色対応)
発売日1995/03/21
価格3900円
発売元任天堂

(c)1995 Nintendo / HAL Laboratory
戻る

カービィというキャラが有名になってからは、ピンボールやゴルフのボールなんかをやったりしていたが、これは本職である横アクションの新作である。
今回はカイン、リック、クーの3匹の可愛い動物に乗って進むことが出来て、多彩なアクションが可能という点がウリとなっている。

5分程度触ってすぐに「これは今までのスタッフと違う人がやっているな」という印象を受けた。手触り感が違うのだ。最初にはっきり書いてしまうと、つまらないゲームに感じた。
処理落ちもほとんど無く、ゲームボーイとしては悪くない出来だが、良くある平々凡々とした単調な仕上がりで、焚き付けられるものがない。

システムは、ファミコンで好評を博した「夢の泉の物語」のものをベースにしており、ファミコンより性能の劣るゲームボーイでよくここまで再現したなと感心できる。
しかし、新システムの「動物に乗っかって協力して進める」要素が全くもって破綻しており、カービィのコピー能力や一人でなんでもできる(横アクションとしては)世界観とまるでかみ合っていない。
コピー能力の種類が減ってしまったが、カービィのみの場合と合体する動物によって性能が変化することでバリエーションを付けている。しかし、動物キャラはステージの特定の場所でしか手に入れることができず、その機会が少ないので思い通りに自由に変更できない。
ファミコン版では配置されているザコキャラのほとんどから能力を奪い取ることが出来たので、取っ換え引っ換えして楽しめたが、今回はコピー出来る敵じたいの数も減り、能力持ちのザコがレアキャラみたいになってしまっている。切り替えが頻繁に出来ないので、退屈である。

新システムであるお助けキャラを生かしたいのか、カービィ単体での能力は落とされ、やれることが少ない。そのかわり、お助けキャラと合体した状態で強化されるが、特定の能力との組み合わせが強力すぎて、バランスを崩している。
このコピー能力の要素が初めて導入されたファミコン版の時は、どの能力にも明確な優劣がなく、使いこなすにはそれ相応の技量が必要という絶妙な味付けが施されていた。しかし、今回は能力ごとの優劣がはっきりしていて、使いどころの分からない微妙な能力などが多く存在する。

陸上に強いリック、海に強いカイン、空を飛べるクーと3種のお助けキャラは長所と短所が付けられているが、リックに乗ってしまうとカービィの息を吸い込んで空を飛ぶアクションができなくなり、カインは水中以外ではまるで使いものにならない。
そして、空を自由に飛べて割合使える能力も多く、水中でもそれなりに動けるクーが最も使いやすいという実につまらない状態のまま発売されてしまっている。

ステージ数はそれなりにあるが、構成やギミック、ボス戦のアルゴリズムなどにまるでセンスがなく、遊んでいても全く面白味を感じられない単調なアクションゲームに成り下がっている(今までの星のカービィの出来が良すぎたという点を除いても、凡作か凡作以下の出来)。
プレイヤーキャラの性能が良すぎるのを持て余したのか、強風を吹かせて自由に移動できないようにして操作を制限させるような場面が目立つ。強制スクロールのシーンもあるが、なんか強制スクロール自体が星のカービィらしくない。画面の端に到達してもスクロールが止まらず、挟まれる前に出口に入らないとアウトになる作りも理不尽である。

ファミコン「夢の泉の物語」と同様、探索要素(達成率)もあり、ステージ上に隠されたアイテムを全て入手することで、真のエンディングへの道が開けるが、今作の探索要素は、いかにも取ってつけたようながちがちの作りで実に面白さを感じられない。
隠しルートへの道は大概が壊せるブロックで遮られているが、特定の能力(例えば炎で氷ブロックを溶かすなど)でないと破壊できない。だが、このブロックの種類が多すぎて、どれで何が壊れるのかが非常にわかりにくい。つまるところ合い鍵探しゲームになってしまっていて、探索の面白さなどみじんも無いのだ。

そうした苦労をしてやっと戦える真の最終ボスも、これまた非常につまらない代物で、妙に強いし、さんざん引っ張った割に、まったく魅力的でない安っぽい黒幕でがっかり。このシリーズは世界観というか雰囲気が非常に良く出来ていたので、そのイメージが壊された感じで余計にがっかり。

「星のカービィ」のシステムをあまり理解してない人間が作るとこうなるのだろう。なんというか、カービィというキャラクタのアイディアはうかんでも、それを上手くデザインする能力がなければ面白いものにはならないのだと思う。
敵を吸い込んで、そして吐き出して敵を倒す、一連のアクションをいかに単調に感じさせないように遊ばせるかということを真剣に考えないと、本作のようなゲームが出来上がる。そこで結論。

キャラ人気にあぐらをかいてしまった駄作。





[2011/02/19]
戻る

inserted by FC2 system