星のカービィ3


対応機種スーパーファミコン
発売日1998/03/27
価格4800円
発売元任天堂

(c)1997 Nintendo / HAL Laboratory
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様々なジャンルに挑戦している「星のカービィ」だが、今作は題名通り面クリアタイプのオーソドックスな横スクロールアクションだ。
1998年にスーパーファミコン用ソフトというのは遅すぎると思うが、これは廉価版スーパーファミコンJr.の発売に合わせて開発された。

「星のカービィ2」で登場した「リック」「カイン」「クー」との協力アクションを再度重視している。どうやらGB「星のカービィ2」と同じスタッフが制作しているようだ。

「星のカービィ2」の時にも指摘したのだが、カービィというキャラクタと、おたすけ動物キャラというシステムがどうにも面白さとして噛み合ってなくて、やはり今作も同じ印象を受けた。
しかも、新キャラがさらに3匹追加されていて、コピー能力との組み合わせで性能が変わるのはいいのだが、バリエーションが多すぎて覚えきれないのだ。
コピー能力自体が多いわけじゃなくて、組み合わせで変わるので、はっきりいって使いどころが難しい。しかも相変わらず、数が多いだけで、微妙な能力が多く使えるものが非常に少ない。
結局、数が多いといっても、使いやすい組み合わせが限られるので、使う能力がいくつかに限定されがちになる。これでは意味が無いといえる。

さらに好きなときに切り替えられるわけでもなく、ステージの特定の地点に置いてあるので、そこで乗り換えたりする。好きなキャラと任意で切り替えることが出来ない不便さが面白味を削いでしまっている印象だ。

アクションゲームとしても微妙さが目立つ。
まず、カービィの操縦性。歩行速度が遅く、もっさりとしている。十字キー2回でダッシュするが、これでやっと丁度良いといった感じ。
ステージ構成も単調な面が多く、空を飛んでるだけであっけなく進めてしまえる部分がかなり多い。普通にやってても、簡単に1UPするし、ライフが多く死にづらいためにどっぷりぬるま湯の難易度である。

上記のように、アクションゲームとしての操作性がイマイチなので、まじめに進めていてもスピード感や爽快感がないため、さっぱり面白くない。
なにより「スーパーデラックス」では、カービィの強力な性能(敵を吸い込んで倒す上に能力をコピーする。空気を吸って空を延々と飛んでいられるetc)を加味したステージデザインになっていて、しっかり面白く出来上がっていた。
その前例があるために、基準となるハードルがどうしても高まってしまう。

ただクリアするだけでは、真のエンディングは見られず、やりこみ要素をコンプリートする必要がある。このやりこみ要素が目的の見えづらい、厄介な代物で、はっきりいってかなりつまらない。
各ステージに、困っているキャラ、助けて欲しいキャラがいて、条件を満たしてあげると、ハートスターが手に入る。
ステージごとに異なった条件が設定されていて、全てがノーヒントだ。
つまり、通常のアクションゲームのやりこみ要素と異なり、何をすればいいのか自体を探すという実に挑戦的な作りになっているのだが、ゲームの癖をつかむまでは、そもそもどうすればいいのかすら取っ掛かりがつかめず、頭を悩ませるため相当根気が必要である。
また、ヒントが一切無いため、一度手詰まりになると、突破口が見つけることができず、途端に辛いゲームになってしまうなど、実は結構ストイックさ漂うゲームになっている。
テキストのたぐいが一切使われず、強いて言えばヒントといえば、関係ある場所で専用の音がなるだけ。
ここまでやるぐらいなら、簡単なテキストや具体的なヒントを与えて、探させるぐらいやっても良かったんじゃないかと思う。
とにかく、遠まわし過ぎて、途中でやめる人が多数出ると予想。

作風も、妙に子供向け路線を強調しすぎてて、かえって鼻につく。このシリーズは、可愛らしいデザインではあるが、こんなに低年齢層に媚びた作りではなかった。
少年漫画のような熱さもときおりかいま見えるものがあった。なんだか、派手さがなくてひたすら地味で盛り上がるものがなく、物足りない。

任天堂としてはニンテンドウ64がうまく軌道に乗らなかったために、スーパーファミコンの開発ラインも継続したくて制作しているのだろうが、一線級のスタッフを投入するまでリスクの高いことは出来ず、中途半端な仕上がりになってしまったのだと思う。そこで結論。

スーファミを引っ張りだしてまで遊ぶほどの価値はないゲーム。





[2012/08/28]
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