対応機種 | ファミリーコンピュータ |
発売日 | 1993/03/23 |
価格 | 6500円 |
発売元 | 任天堂 |
ミュージシャン「たま」を起用したコマーシャルが印象深い「星のカービィ」のファミコン版。
ゲームボーイの一作目では、手軽さを重視しすぎた作りで少々物足りなかったが、今回はそのへんを作りこんできている。
敵を吸い込んで、それを吐き出して攻撃するというシンプルなゲーム性も面白かったものだが、やはりそれだけだとイマイチつまらないってことで、新システムとして飲み込んだ敵の能力をコピー(奪い取る)する要素が付けられた。
これがまた、種類が豊富で、それでいて各々の性能も一癖あり、どの能力もうまく使いこなせなければ十分な威力を発揮しないという位置に作られており、かなり面白い。これさえあれば良いというような万能なコピー能力は存在しないのだ。
ダメージを受けてしまうと、コピーしている能力が解除される。その時飛び出た星を再び吸い込めば取り戻せるが、つまりは、能力をキープし続けるには敵の攻撃を受けないようにする必要がある。
勿論、自ら能力を捨てて別のコピーに乗り換えることも出来る。
新システムでありながら、主人公の設定や世界観と見事にマッチしており、違和感がない。まるで、一作目の制作時点で予め考えていたかのような都合の良さだ。素晴らしい。
ゲームボーイ版では、練り込まれたステージ構成とはいえ、たった5面しかなくボリュームが弱かったものだ。
今回のファミコン版では、そこら辺の不満点もばっちり解消しており、満足できる。ただ、質より量を取った感じで、面構成の質自体は落ちた感じはある。それでも、どのステージも及第点の基準はクリアーしているのであるが。
バッテリーバックアップにも対応して、途中経過をセーブ出来るようになっているのも嬉しい。
それだけだとまだ弱いと思ったのか、さらにステージ達成率が表示され、ステージ内に隠されたスイッチを押すことで、エリアマップ内で隠された領域が開放されるという探索要素も付けている。
「マリオワールド」のように隠しステージが遊べるとかではなく、残機アップ出来るボーナスミニゲームのステージが開ける程度だから、あまり嬉しいものではないが、隠しスイッチを押すためには特定のコピー能力を駆使して進む必要があり、攻略するためには謎解きの頭脳と操作技能を試されているようで、つい挑戦したくなる。
ファミコンとはいえ、末期の作品ということもあり、ハードの性能を限界まで引き出しており、プログラム技術は全般的にかなり高い。ミニゲームのプログラムや多重スクロール、キャラパターンの豊富さなど、演出面もかなり凝っている。
難易度は前作のどっぷりぬるま湯ではなく、多少やりごたえのあるバランスになった。かといってストイックすぎない絶妙な位置にあるといえる。
ただし、今作でカービィのアクションが大幅に増えて、ステージが難しいのではなく、操作キャラの制御が独特でハードルが高い(慣れないころは良く思ったように動かないことがある)。そういった方向での難しさなので、人によっては好きになれない人も出るだろう。
しかし、いたずらに動かしづらいというわけではなく、しっかり練り込まれた上での操作性なので、全くいやらしさはない。
コピー能力の使い分けによって高い自由度を獲得した本作は、何回でも新鮮に楽しくプレイ出来るクオリティを秘めていると言える。
しかし相変わらずこのゲームは世界観や音楽がいい。絵本のような温かみのある独特のグラフィックでありながら、決してそれだけに頼らないゲーム内容になっているのも好感が持てる。ぶっちゃけ、絵本にしてもそのまま売れそうなクオリティの高さだと思う。そこで結論。
見た目とはどっこい、ゲーマー向けのガチアクション。食わず嫌いしてた人は今すぐ遊ぶべし。