キングダムハーツ2 ファイナルミックス+


対応機種プレイステーション2
発売日2007/03/29
価格7980円
発売元スクウェアエニックス

(c)2004 2005 2007 SQUARE ENIX / Disney
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北米版「キングダムハーツ2」に多くの追加ギミックを付与した「キングダムハーツ2ファイナルミックス」と
ゲームボーイアドバンス用に発売された「キングダムハーツチェインオブメモリーズ」をPS2向けにリメイクした2本立ての豪華版。

ディレクターズカット、インターナショナル商法と称される販売方法はすっかり定着しているが、普通通常版より値段を下げて発売するメーカーの方が多いのだが、この会社の方針は完全に逆を行っているようだ。
“値段分の追加要素を付ける”果たしてこれがどうユーザーに受け入れられるのか。

ディスク一枚に収まりきらない内容なので、本編とリメイク編で2枚組に分けている。

「キングダムハーツ2ファイナルミックス」は、音声は英語吹き替えで、
アビリティの追加、高難易度モードの追加、ムービーシーンの追加、やり込み要素の追加、などなど
かなり多岐にわたってゲーム内容が増量されている。

前作のファイナルミックスでは、普通に遊んでいるだけではあまり恩恵が受けられずがっかりの内容だったが、今回は通常プレイでただクリアーするだけでも、追加カットやパズルピース集めなどで、それを実感出来る作りになっており、だいぶ学習したと思われる。

また、一度エンディングを見ると、シアターモードが解禁され、ゲーム中に見たイベント映像を再生出来る機能が使えるようになる。
ここではなんと、日本語音声も選択出来る。日本語の音声もデータとしては中に入っているのだ。

それならば、本編を英語吹き替えで固定するのではなく、なぜ日本語音声でも遊べるようにしなかったのだろうか?
これさえ実現すれば、完全版として納得出来る内容になったのだと思うのだが。

追加ムービーは、このファイナルミックス版のために撮り下ろしたものらしく、都合上英語での吹き替えを入れる手間がとれなかったのか、日本語音声のみである。
そのため、本編では不自然さが生じるということで、無音で再生される。どちらにしても、不自然なのにはかわりない。
内容自体は凄くいいものを題材にしているだけにもったいない。後からシアターモードで音声付きでみれるが、なんとも風情がない。

追加されたボスキャラクターは、やり込み要素の範疇にとどまるものだが、一箇所だけ本編に絡んできて倒さなくてはならないボスが追加されている。
これがほかのボスキャラと比べて突出して強く、明らかに難しい。
なんというか、やり込み用に作ったボスをパラメータだけちょっと直して強引に突っ込んだって感じだ。
正直言って、感覚が麻痺しているのではないだろうか?というぐらい、挙動そのものが理不尽なので、初プレイの人にはつらいバランスだろう。もうちょっと考えて欲しかった。

続いて、GBA版をリメイクした「Re: キングダムハーツチェインオブメモリーズ」。
どうもファイナルミックスのおまけ程度で考えて作っていたものが、どんどん肥大化してここまでのものになったようである。
そのため、ゲーム一本としてはやや弱い箇所がいくつか見受けられる。

とにかく使い回せる素材はすべて使い回し、新規に起こしたデーターは本当に少ない。
ゲームのコンセプトも手伝ったのだろうが、良くここまで使い回しだけでゲームに出来たと感心してしまう。

GBA版を3Dにリメイクしたことで、フィールド、イベントともに臨場感が増している。
限られた場所ではあるが、ボイス付(日本語ボイス)のイベントムービーも作られていて、なかなか頑張っている。
しかし大半はテキストベースである。

個人的にムービの分量はこんなもんだろうと思う。ただ、ムービーにする部分が明らかに作りやすい場所ばかりなので、そういう面でイマイチさが漂う。

イベントシーンの画質がちょっとおかしい。どうも、全体的にぼけて表示されているように見える。

ゲーム内容自体は、元の作品と大きな違いはない。
もともと、カードバトルとアクションがさっぱりかみ合ってない失敗作だと思っていたので、まさかそのままの形でリメイクするとは思わなかった。
実際、それは戦闘フィールドが3Dになって広がりを見せたことが、さらにその違和感を増したように見えた。

フィールドの敵と接触で専用画面に切り替わるシンボルエンカウント方式なのもそのままだが、ディスクアクセスがなかなか早く、ストレスが溜まることは少ない(それ以外で待たされるところも多いのだが)。

フィールドは無理に3Dに起こした名残が残っており、特に露骨な透明な壁の処理をもうちょっと丁寧にやって欲しかった。
いくら自動生成方式とはいえ、マップパターンは数えるほどしかないのだから、ひな形を作る段階でもっと工夫出来たろう。
それに輪をかけて、コンパスのレイアウトが下手くそで迷いやすいのも何とかして欲しかった。

新システムとして導入された「デュエル」はなかなか無駄に派手で面白いし、成功していると思う。
こういう見た目だけ豪華に作る部分だけは、相変わらず得意な会社のようだ。

しかし、新規に当てた声優が豪華すぎないか?価格の水増しの原因はこの辺りからも発生しているような気がする。

熱心なファン層をのぞけば、新規に買って遊ぶプレイヤーは少ないようで、価格的な問題と、英語吹き替えが主要因だと思われる。
英語の吹き替えで遊びたいという人も少なからずいるようだが、大多数はやはりそれを強く望んではいないんだろう。
途中でも述べたが、音声の切り替えが技術的に可能ならば、そうすることで間口はグッと広がったはず。

次回作予告らしきシークレットムービーの関係で、オリジナル版からデータコンバートも出来ない。これもどうにも押しつけがましさを感じる。

なんだか受け手と作り手に“見えないお約束”がどっしり間にあるかのようだ。そこで結論。

基本的にファン向けディスクです。





[2007/04/05]
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