SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語2 光の騎士


対応機種ファミリーコンピュータ
発売日1991/10/12
価格8200円
発売元バンダイ

(c)1991 BANDAI / SOTSU AGENCY / SUNRISE
戻る

未完結に終わった前作の続きが描かれたナイトガンダム物語の第2弾。
ストーリーが続きモンといっても、今作は今作でほとんど独立したストーリーが描かれるので1をやってなくても楽しむことは出来る(ただし終盤の展開に少々置いてきぼりにされるが)。

ゲームシステムも大きく変わっており、ベッタリドラクエだった前作とは異なり、メニュー周りのインターフェイスや主人公をはじめパーティメンバーたちが会話するイベントシーン等、
全体的にスクウェア「ファイナルファンタジー3」を意識しているような名残が見られる。
と思えば逆に、オートバトルを搭載した対面式の戦闘シーン、章立てで構成されて後半パーティが集結するストーリー展開は、ドラクエを意識している。
ドラクエとFFのいいとこ取りをしたような格好だ。

まずゲームプレイして目につくのが、フィールド上のキャラクタのデカさである。
これは、通常のファミコンRPGのサイズでは、SDガンダムのフォルムの描き分けが難しいから採用したと思われる。
大体、通常サイズの4倍の大きさになっている。それにともなってマップチップのサイズも大きくなっていて、ファミコンにしてはかなり迫力のあるグラフィックになっている。
反面、画面上に表示できる視野が狭くなったことでマップ密度が落ちているという欠点が挙げられる。
また、どこまでが歩けてどこからが歩けないのかという壁の境界線が曖昧になっているのも問題である(ただ、こっちはドット絵の描き方の問題なのでキャラを大きくしたことによる弊害とは違うと言える)。

歩行速度も速く、画面上には大きいキャラクタが多数徘徊する。ファミコンのRPGにしては、かなり工夫して頑張っていると言える。

このようにRPGとしても光る部分が多く見られる本作だが、残念なことに詰めの甘いところも多くあり、かなり惜しい出来と言わざるをえない。

FFが売れてきたせいか、強制的なイベントシーンが多く入ること(特に終盤)。
章が変わるごとにパーティメンバーが勝手に入れ替わったり、イベントキャラと会話すると予期しないタイミングで勝手にイベントが進んでしまって「オイオイ」と言いたくなったり、強引さが目に付く。

また、章立て構成にしたせいで、ゲーム全体のスケール感が無くなってしまっているのも惜しい。
実質上、第4章がメインシナリオといえるが、それ以外の章は容量の都合もあってか、かなり短くて、あってもなくてもいいような感じだ。
容量的に厳しかったのなら、そのぶん4章の作り込みに回して、余力で残りのシナリオを描けばよかったと思う(というかそういう風に作っているのは見て取れるのだが)。
ようは、章立て構成にしたことが仇となって淡々とした展開になってしまっていて、1本のRPGとしてはどこが見せ場なのかがわからず、物足りないのである。

戦闘システムでは、オートバトルシステムが便利だが、これは相対的にオートバトルコマンドが便利になっているに過ぎない。
なぜなら、手動でコマンド入力すると、敵グループ相手に攻撃する場合、かなりバラけて攻撃するので、無意味に苦戦するためだ。
この場合「いっせい」コマンドで1体の敵を集中攻撃するオートコマンドが有効で、バラバラに攻撃するよりも命中率も高いし、確実に敵を減らせるので、明らかな格下相手以外はほぼこのコマンドしか使わない。
逆に「ぶんさん」というオートバトルコマンドもあり、いい動きをしてくれるのだが「ドラゴンクエスト」シリーズのように細かい作戦指示(MPを使ってほしくない等)が出来ない点が残念に感じた。
最もこの点に関しては「ドラゴンクエスト」が優秀すぎただけであって、このゲームの出来が悪いという話ではない。

後、ゲームバランスに関しては、序盤から理力の指輪という強力な装備品(1歩あるくごとにMPが1回復する)が手に入ることもあってかなりヌルく、全般的に作業的でダルいゲームになってしまっているのが気になった。

ダンジョンが無駄に入り組んでいて広く、ぐちゃぐちゃな構造で覚えづらいマップであること、マップパーツの使い回しが激しく色が違うだけで似たり寄ったりのダンジョンばかりになってしまっている点(これは町にも当てはまる)。
前述のとおり、少ないマップパーツを組み合わせてマップを作っているのだろうが、そのせいで見たことあるような構造ばかりで、探索する楽しみが薄い。
どうやら宝箱込みでマップパーツが組まれているせいなのか、からの宝箱が多いのも寂しい(本来置くつもりのない場所にも宝箱が置かれてしまうせいなのだろう)。

それから、武具屋では装備品の下取りシステムなど、便利なコマンドが付けられていて、だいぶメニュー周りは快適な作りになっているのだが、微妙に操作性の悪いところが残っているのが残念。
持てる数が少ないのに怒涛のように手に入るアイテム、カーソルのレスポンスの重たさ、コマンドの一番下から上に回りこんでくれるところと回りこんでくれないところがある統一性の無さなどが気になった。

カードダスバトルは相変わらず凝っているし、ストーリー的にも駆け足な印象はあるがしっかり完結しており、悪くないゲームなのだが、つまらなくもなければ面白くもないという位置にあるゲームで、非常に惜しい。
ファミコンのスペックで、工夫して作っているのは伝わってくるのだが、なんだかどの要素も無難な作りで、これといった面白さがない。
フィールドやダンジョンの広さも重なって、ダルイ戦闘を作業的にこなしているうちに気がついたらエンディングにたどり着いていたというなんとも面白味のないRPGに成り下がっている。
先に述べたように、RPG1本としてはイマイチボリューム不足である点も否めない。前作を反省点として踏まえたとおぼしきところもあるのだが、どうにも挽回しきれてない印象だ。そこで結論。

悪いゲームではないが良いゲームでもない。





[2012/06/24]
戻る

inserted by FC2 system