ラストレムナント


対応機種Xbox360
発売日2008/11/20
価格7800円
発売元スクウェアエニックス

(c)1998-2008 SQUARE ENIX / Epic Games
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スクウェアエニックスが久々に放つ新規大型ロールプレイングゲーム。ラストレムナントは全世界同時発売された。
マイクロソフト「ロストオデッセイ」同様、国産ロールプレイングでは珍しく、Unreal Engine 3を使って制作された。

非常に大がかりに、まさに大作RPGとして打ち出されたこのゲームは、さぞ斬新かつ間口が広く、真新しいゲームかと思っていた。
しかし、なんのことはない、シンボルエンカウント、レベル制ではなく熟練度制、陣形の存在、戦闘終了で全回復、閃きや運任せの戦闘、これはただ、名前を変えただけの豪華になったロマンシングサガである。
どうやら、制作スタッフが同じらしい。

ロマンシングサガと違う点が2点ある。フリーシナリオではないことと、戦闘回数でモンスターが変化(こちらがどのような状態であってもより強い敵が出現する)しない点だ。
どちらも、個人的にあまり好きな要素ではなかったので、とっかかりは、サガよりかは良い。
(というか、個人的にロマンシングサガの制作スタイルの方向性はあまり好きでは無い。つまらないとまでは思わないが)
割とパラメータも上がりやすいので、サブイベントなどをこなす合間に、積極的に戦っていけば、きちんと強くなる。少なくともゲームクリアに困らない程度には強くなる。

ゲームシステムは、近年の据え置きRPGに見られる、頭でっかちな複雑かつ巨大さを見せる(装備品の合成、強化、解体、素材集めetc)。やる前から胃がもたれるようなものを感じるが、
このゲームに関しては、自分の目的に応じて、それぞれの引き出しを自分の都合であけて、いじくれば良いというスタンスで作られているので、見た目とは裏腹に、意外とシンプルである。
なにせ、装備品は主人公の分だけ管理すれば良く、仲間の分は、それぞれが勝手に変えてくれるぐらいだ。
やりたきゃやればいい、嫌ならやらなきゃいい、プレイヤーに、せっかく作ったゲームシステムをただ放り投げる、こういった作りは好感が持てる。

それは戦闘システムにもっとも顕著に表れている。今作はユニオンという、何人か(1〜5人)が寄り集まって出来た軍を率いて戦う。
戦闘では、ユニオンの数が従来のロールプレイングのパーティの数と考えていい。ユニオンの中にいる一人一人にまで、個別にコマンドで命令を出すことは出来ない。
ヒットポイントもユニオンのメンバーのヒットポイントを合計した物になっており、これが0になると、そのユニオンが壊滅(=死亡)する。

戦闘でプレイヤーがやることは、良くあるターン制コマンド入力型RPGのように、ユニオンごとにコマンドを入れてやって、ターゲットとなる敵を選んでやるだけ。
ただ、状況に応じて、選べるコマンドが変化するのである。HPの少ない味方が出た場合、「回復させろ」というコマンドが出現する。戦闘が激化してきたときには、「全力で戦え」というコマンドが出る。
このほかにも、特定の条件を満たすと出現するスペシャルコマンドというものがある。これはいわゆる必殺技のようなもので、たまにしか出てこない分、非常に強力な技となっている。
どういうときに、どういうコマンドが出るか、個別にどういう行動を取るか(事前にどういう動きをするかはみれる)は、内部的に処理されていて、プレイヤーにはわからない。

単純だが難解なゲームなのである。

プレイ感覚は、まぁ最初にも書いたが「サガ」だ。あれが好きになれない人はやめておいた方がいい。戦闘バランスなんか特にそんな感じだし、世界観などのテイストもなんちゅーか、サガっぽい(下水道とか亜人がやたら多いところとか)。

ロード時間が長い。「ロストオデッセイ」もそうだったので、Unreal Engineのせいの気もする。
というか、わざわざこのシステムエンジンを使う必要性があったのか疑問である。スクウェアエニックスぐらいの企業なら自前のエンジンで組み上げた方が、いい気がするが?
戦闘シーンは、派手なエフェクトのせいで、常に読み込みっぱなし。それだけハード性能をたたき出してると言える。
しかし、ド派手な攻撃の前には、たっぷり待たされる。特殊攻撃のエフェクトが長いものが目立つし、大所帯が戦うシステムのせいもあって、戦闘が長引きやすく、展開も冗長になりやすい。ぶっちゃけだるい。

それがわかっているのか、クリティカルトリガーという、演出の途中に発生する、ボタンをタイミング良く押すことでダメージが上がったり、攻撃を防御したりするシステムを搭載している。
はっきり書けば、ただの付け刃である。一つではなく複数のボタンからランダムで発生するし、タイミングも微妙にシビアだ(RPGとしては)。
RPGに目押し要素なんかあっても、面白い物ではないのである。オート設定に出来る分、「アンリミテッドサガ」から成長したなと思うが、無ければ最悪の足かせ要素である。
これだったらまだ、成功しやすいバランス(いつ発生するかわかる、使うボタンは一つだけ)にしてあった「ロストオデッセイ」の方が面白かった。

基本的に、イベントムービーと戦闘の繰り返しと言う、一本道RPG的なゲームだが、容量か制作スケジュールの都合か、明らかに端折られたような箇所がいくつか見られた。
端折ることはかまわないが、それをユーザーに悟られちゃまずいだろう。

テクスチャの張り遅れや、リアルタイムムービーで遠景の描画に破綻している部分が目立つ。

町では、話しかけることの出来るキャラや入れる建物にはアイコンが付いており、わかりやすい。この辺りは、「ファイナルファンタジー12」のインタフェイスを継承している。
このように、全体的にユーザインターフェイスに関しては優秀。ただし、メニューのユニオン編成の挙動には難が感じられた。

海外を視野に入れて作られたゲームということもあって、国産のゲームでありながら、海外を意識した、媚びた演出が目立つ。
国内版は当然、日本語音声だが、口パクも英語基準であるところも寂しい。

やり込めばやり込むほど、面白くなってくる、まさに「サガ」のようなゲームだが、果たしてこのクセのない中性的なデザインが、どの程度のプレイヤーをそこまで魅了出来るのか(出来たのか)、想像出来ない。
大衆向けに作っている面もあれば、「サガ」シリーズのような尖った面も相変わらず見られる、どうにも中途半端なゲームだ。

ただしこれだけは言える。斬新な面もあるが、人気シリーズ「ロマンシングサガ」の延長にあたる程度の作品だと。
やはりアイディアが枯渇してしまったのか、もう真新しい感覚を味わえるゲームは、スクウェアエニックスから出てこないのか、残念さも併せ持つゲームであった。そこで結論。

これは新しい「ロマサガ」か。凡作。





[2008/11/30]
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