ロードオブアポカリプス


対応機種プレイステーションVita/プレイステーションポータブル
発売日2011/12/17
価格5980円(カード/UMD)/4980円(PlayStation Store)
発売元スクウェアエニックス

(c)2011 SQUARE ENIX / ACCESS GAMES
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あまりの出来の悪さに別の意味で話題になってしまった「ロードオブアルカナ」の続編がまさかの登場。
続編、あるいはマイナーチェンジ版を出すかもとは思っていたが、それが的中するとは思いもしなかったので驚いたものだ。

システム周りが大きく改善されたぐらいで、さも続編や新作といった全く新しいゲームのように売り出しているが、ステージマップや敵キャラを使い回している。
これには正直がっかりした。
一緒にパーティ組んで冒険できるNPCキャラとのサイドストーリーが楽しめるとか、そういう新鮮な内容を期待していたのだが、はっきりいって裏切られた。
というか、もっとちゃんと情報を仕入れてから買うべきだったと後悔した(自分の場合、最低限の概要以外わざとゲーム情報を避けて買うようにしているためだ)。

今作はアクションRPGで、ストーリーもあるとか、ことさら新しいゲームになっていることを強調しているが、なんてことはない。
クエストの合間に、とってつけたような水彩画調のムービーと、申し訳程度のシナリオが入っているだけで、「モンスターハンター」を意識したハンティングアクションであることに変わりはない。

ひどかった前作と比べると、さすがに色々と良くなっているのだが、要するに、本来最初からできているべきことができていなかっただけで、今回ではそこらへんがちゃんと遊べる水準にまで進歩したって話で、特別すごくなったわけではない。

以下、前作と比べながら本作の特徴について触れる。

この手のゲームでは珍しいシンボルエンカウント方式だったが、原則エンカウント方式は廃止された。
一々エンカウントせず、フィールド上で敵と戦うことが出来るようになったので、格段にテンポが良くなった。
ただし、あまり出てこない中型、大型モンスターは、別次元にいて、そこから現世に引きずりだすという設定で、結局、専用のバトルフィールドに切り替わるエンカウント方式である。
多分、1つのマップがそんなに大きくないのと、敵によっては地形に引っかかったりして悲惨な有様になるために、こうせざるを得なかったのだろう。
続編なのだから、このあたりもうちょっと頑張って欲しかったというのが正直な所だ。

このゲームならではの特徴として挙げられるのが、素材の一つにモンスターのコアというものがある。
装備品を生産・強化するときに必要となるのだが、素材の中でも希少品という位置づけに置かれていたカテゴリーだった。
前作ではコアの入手条件だけがあまりに厳しすぎて、装備品を新調したくても素材がなかなか揃わないという困ったバランスになっていた。

今回は、バランス調整が施されたことで手に入りやすくなっている。
例えば、コア入手の条件であるフィールドの活性化が起こる頻度や場所が増えたので、意識してやらなくても取れるようになった。
コアの入手に失敗しても、かけらが手に入ることがあり一定数集めれば合成してコアに出来たりする。
ザコクラスの敵とは一々画面が切り替わらず戦えるうえに、活性化したフィールドだと、倒してもどんどん敵が湧いてくるので、サクサク集められる。もちろんコア化の演出でゲームを止められることもなくなっている。
モンスターからコアを取り出すという設定自体は非常の良いものだったので、不評だったからと安易に切り捨てず引き立てる方向へ持っていったのは良い選択だった。

最大4人で協力プレイすることができるが、シングルプレイでもノンプレイヤーキャラをパーティに入れて遊べるようになっており、1人プレイでも楽しめるよう配慮されている。
しかし、最初にも書いたのだが、登場人物のバックボーンが用意されているのにもかかわらず、ちょっとしたテキストで語られるのみ。
友好度というのがあって、一緒に遊べば遊ぶほど高まっていくのだが、その段階に応じてキャラ専用のクエストが発生したり、フルボイスで凝ったイベントシーンを用意するぐらいの膨らみを見せて欲しかった。
わざわざ声優まで使っているのに、戦闘中の掛け声だけで終わってしまっているのは、はっきりいってもったいない。

武器は、ツインブレード(双剣)とトマホークが追加されたぐらい。コンボアクションが全体的に派手になっていて、見た目や爽快感を重視している。
前作の時点で「三國無双」の路線で行ったほうがいいのではないかと思っていたから、いい傾向だと思う。
でも、未だにスタミナの要素を残している。ダッシュ移動もなくしてしまったのだから、スタミナのパラメータ自体バッサリ切ってしまっても良かったぐらいだ。
スタミナ管理する楽しさとか必要性っていうのは、すでに全く意味のないシロモノになってしまっている。ただバトルアーツ(必殺技)が出せなくなって、回復するまで待つだけという足かせにしかなっていない。
エレメント(魔法攻撃)の関係で残しているのだろうが、それなら別個に自動回復するMPにでも置き換えればいいわけで。
そもそも、エレメント自体が弱く、使いものにならない。熟練度を上げれば強くなっていくが、わざわざ弱い魔法を積極的に使う機会なんてなかなか無い。
それならば一般的なRPGのようなMP制を入れて最初から強くして使える遠距離攻撃にしていったほうが良い。

前作で散々叩かれたロックオンの操作は、押しっぱなしと切り替えが選べるようになったり、最初からボスキャラの部位をロックオン出来るなど、かなり使い勝手が良くなっている。ここまでやって当たり前とも言える。
敵が瀕死になると視点がナナメってくる演出も健在だ。さすがに角度とか見やすさは考えられている。まあ、ギャグで残したんだと思う。

だいぶ直したそうだが、相変わらず、コンボ攻撃を出す際などのコマンド入力のタイミングが独特で、操作性が悪いって言うことではないのだが、他のゲームとは違った手触り感である。
回避行動をとろうとしたらなぜかガードモーションを繰り返していたというゲームはこれぐらいだと思う。

今作の新要素で、コンクエストというものがある。
要するに、傭兵を雇ってコンクエスト用のクエストに派遣して、エリアの安定度を高めるのが目的だ。安定度を高めるとアイテムドロップ率が上がったり有利にゲームが遊べるようになる。
しかしこれが単純に面白くない。やることが増えて面倒くさくなっただけという印象しかない。

コンボ攻撃の種類が複雑でわかりにくい、敵がのけぞる条件がわかりにくく、攻撃を当てても手応えがない、ザコのくせにやたらタフで倒すのに時間がかかったり、敵キャラクターのアルゴリズムが練られてない(延々と空を飛び続けて降りるのを待っているだけなど)など。
なんというか、モンスターハンターの出来損ないみたいなところは相変わらずで、普通に遊べるクオリティに到達しているんだけど、どこかB級感の残るゲームである。
このゲームで他にはない面白さとして言えるのは、モンスターからコアを集めるところぐらいで、他は全て二級品。わざわざこれを遊ぶメリットが無いのが悩ましい。

プレイステーションVita本体に発売日を合わせているが、元はPSP向けに作っていたゲームを無理矢理ロンチタイトルに持ってきた感じで、Vitaのゲームとしてはあまりグラフィックなど綺麗さはない。
これ選ぶぐらいならきちんとVita向けに作られたゲームを買ったほうが良い。

最後に余談になるが、「ロードオブアルカナ」シリーズは、アーケード「ロードオブヴァーミリオン」の派生タイトルというか、繋がりのある作品だ。初回特典でカードがもらえるキャンペーンをやってるがアーケード版で使えるカードで要するにタイアップだ(限定カードで釣っているとも言う)。
「ロードオブアルカナ」の続編が出たことに驚きなのだが、大元の「ロードオブヴァーミリオン」が未だに続いていることにも驚きを隠せない。
というのも、「ロードオブヴァーミリオン」が稼動してかれこれ3年以上になるが、こっちの作品も決して好評とは言いがたいものだった。
今もでかいアミューズメント施設には、たくさん筐体が設置してあるが、遊んでいる人を自分はほとんど見たことがない。
アレでよく採算がとれているのか、いつ誰が熱心にお金を落としているのか実は非常に興味深かったりする。もし不振なら、どういう契約で置いているのかまで知らないが、普通はアーケードの場合は撤去されていく。
自分も初代が稼動した頃、やってみようと思ったことはあったのだが、他のカードゲームと比べても飛び抜けた高額設定でとてもじゃないがやる気になれなかった。
この手のゲームの人気の出方ってのは本当によくわからない。きっと「ロードオブヴァーミリオン」が続く限り、「ロードオブアルカナ」の続編も出続けるのだろう。そこで結論。

頑張りは伝わるが最初からこの水準で出すべきだった。





[2012/01/04]
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