聖剣伝説 レジェンドオブマナ


対応機種プレイステーション
発売日1999/07/15
価格6800円
発売元スクウェア

(c)1999 SQUARE
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スクウェアの看板タイトルの一つとなった、「聖剣伝説」がプレイステーションで堂々登場。
ポリゴンやCGをほとんど使わず、2Dで手描きの温かみのあるタッチを重視したビジュアルのこだわりに注目が集まった意欲作となった。

今回はナンバリングではなく外伝として発売していることもあってか、シリーズとしては冒険的な要素が非常に多く目につく。
特に傾向として、同社のサガシリーズに近い仕上がりとなっているのが特徴として見られる。
どうやら、サガシリーズを作ってきたスタッフが今作の製作に参加しているようだ。

ストーリーはフリーシナリオ制に近い作りとなっていて、自発的にイベントを探し好きな順番で攻略できる。
エンディングを見るためには、どうやらいくつかのエピソードのうちの一つを最後までクリアすることが求められるようだが、それすらもプレイヤーには教えられない。
また、戦闘は常にHPが全快の状態で始まり、負けてもその場で何度でもコンティニュー可能ということもあって、緊張感に乏しい。戦闘自体のバランスも温めなのも、緊張感のなさに拍車をかけてる。
このようにジャンルはアクションRPGではあるものの、システム的にはサガの影響を受けまくりで、ここまで似ていると逆に「聖剣伝説」っぽさが薄い。
って言っても、聖剣伝説っぽさって?と言われると、答えられないのでなんとも言えない。

序盤に発生するイベントは比較的易しく迷うことなくクリアできるものの、ゲーム後半に発生するイベントが、フラグ立ての誘導が無いに等しく、迷いやすくかなり難しいものが多い。
セリフもサガシリーズっぽく簡素で、ストーリーの描写も実に最低限で、内容を理解しづらい。町の住人のセリフなんかもシュールで短く、こちらも実にサガっぽい。
どうやら、ゲーム内の世界図鑑なんかを見ると、世界設定などかなり細かいところまで実は作り込まれていて、それをもとにシナリオが構築されているようなのだが、それが肝心のゲーム上であまり表出していないというのは、もったいないというほかない。

装備品作成、ペット育成、楽器作成、ゴーレム作成、と、遊べるシステムが雑多に用意されているのだが、そのどれもが複雑で、そしてミニゲームなどといった形容が失礼なほどに凄まじくデータが作り込まれている。
だが、これらの要素がゲーム本編にあまり関わってこない上に、全く利用しなくてもクリア可能の作りになっているので、あってなき要素になってしまっている。実にもったいない。
また、作り込まれているものの、これら作成関連のユーザーインターフェイスなどの作りが微妙に不親切で作りが荒く、何度も書くが、どうにももったいなさが先に立つ。
こんなにたくさん用意するんじゃなくて、思い切って要素を絞って、その分作り込むという方向もありだったのではないかと思う。
それから、これらすべてを序盤からプレイ可能ではなくて、ひどいものだとゲーム中盤以降にならないと遊べなかったり、人によっては存在に気づかないままクリアしてしまう危険性すらはらんでいる。

他にも、ランドメイクシステムという、町やダンジョンをプレイヤーが配置して世界を自分で作っていくというシステムも良くできているのであるが、よくできていることにプレイヤーが気づかない作りで、これもなんというか、実に惜しいシステムである。
2人協力プレイに対応していることから、友達などとデータを見せあい、その違いを楽しむ意図が含まれているゲームだと思うのだが、あまりプレイヤー層に沿ってないような気がする。

とにかくよく作り込まれているゲームなのだが、それらがあまりゲームの出来に直結してなくて、なんか全体的に作りの荒いゲームみたいな印象を植え付けるに留まってしまっている。
世間の評判を見ると、世界観やシナリオを中心に高く評価されているようなので、膨大なデータの作り込みが実を結んだのだと思う。
ただ、完全攻略本(アルティマニア)ありきの内容になっている部分があるのは否定できず、私は攻略本を見ないで遊ぶタイプの人なので、やはり素直にすべてを楽しめたとは言い難い面がどうしてもある。

システムを司る内部データの作り込みは凄まじいが、そこで力尽きた印象。あるいは、そこが見どころのゲーム。





[2020/03/14]
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