ルナ2 エターナルブルー


対応機種セガサターン
発売日1998/07/23
価格6800円
発売元角川書店

(c)1994 1998 角川書店 / ESP / GAME ARTS / VANGUARD / 窪岡俊之
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1996年にメガCD版からめでたくサターンへリメイク移植された「ルナ」だが、勿論2作目もサターンで大幅パワーアップ移植。
なにせ元の作品は1994年12月、次世代機戦争真っ直中に発売され、それにすっかり埋もれてしまった幻の一品。
今や「グランディア」によって、サターン界で一世を風靡したゲームアーツ制作による大作RPGだけに、注目度もかなり高まっている。

今回はディスク枚数も2枚と、かなり力が入っており、中身も前作に比べ相当濃いものとなっている。

内容的には順当な進化を遂げている。前作での欠点を克服し、長所を更に伸ばしたような作りである。
前作はまだ多少荒っぽい箇所が残っていたので、その点で少々不満が残ったが、今作ではしっかり改善され、隙がない出来となっている。

特にムービー映像の進化っぷりは目を見張るものがあり、フルサイズの実現、映像クオリティの高さ、CGとセルアニメーションの融合、と見所たっぷりである。
圧縮による画質の劣化は一部のカットを除いて全く無く、コマ落ちも少なく、どうやらかなり小技を駆使して工夫しているようだ。
パッと見た感じでは、派手に動くシーンではCGを多用し、キャラ同士の細かな掛け合いにはセルアニメを重視して使っている感じ。
ムービー分量も多く、イベントで喋ってくれる場所もだいぶ増えていて、ストーリー性の強いゲームとしては、良い方向に向けて作られている。
特筆すべき点として、2枚組だが、クリアまでのプレイ時間が30時間を超えない点も評価したい。
最近のRPGはボリュームを重視する傾向があって、とにかく無駄に長くプレイヤーに負担を無駄に強いられたりするソフトが増えているのだが、
本作は、2枚組でありながら、ボリュームではなく、それを中身の濃さに仕向けているのである。

インターフェースやレスポンス周りも改善されたのだが、どうも意地でもアイコンでコマンド選択させたいらしく、今回もこの辺が足を引っ張っている。
なにを選んでいるかがわかりにくく、間違った選択をしてしまったり、技の選択時にどこに何の技があるのか分かり辛くゲーム終了までいまいち馴染めなかった。
あと、前作よりも何にカーソルがあわさっているかわかりにくくなってしまっている。そこまでしてアイコン表示にこだわる理由は一体何なのか理解に苦しむ。
まぁ、叩きつけるほど悪いわけでもないのだが、良いわけでもない。もうちょっと考えて欲しい。

戦闘シーンでは必殺技を使用した時に画面がズームしたり、イベント時のキャラアニメのパターンが豊富に増えていたりと、今やすっかり貴重になりつつあるドットRPGとしてのクオリティは丁寧さが光っておりかなり高い。

ただ、ストーリーやキャラクタを全面に出したゲーム内容なのに、戦闘バランスが少々厳しい。
これは悪いことではなく、歯ごたえがあってゲーム的には面白い位置にあるのだが、ザコ敵の攻撃が強力すぎるきらいがあり、簡単に味方キャラが戦闘不能になってしまう。
なかなか緊張感が漂っていて良いのだが、有名RPGではロマサガチックなバランス調整は、ゲームコンセプトと少々ぶれている印象がある。
仲間キャラに感情移入している人にとってこれはちょっと辛い仕打ちだろう。
ゆるくしろとまでは言わないが、もっと調整の余地はあったように思う。

サターンだけの新要素としては、紋章システムがある。
(アクセサリとは別扱いの)紋章を装備することでアクセサリでは得られない特殊効果を得ることが出来る装備品で、
これは2つまで同時につけられて、特定の組み合わせによって、強力な特殊効果が発現するといった要素である。
仕組み自体は結構面白いのだが、そもそも紋章の種類が少なく、組み合わせの種類も少なく活用し切れてない感じがした。
あまり自由にしすぎてもバランスが崩れたりという問題が出るのだが、まだまだ色々と組み込んでいく必要性は感じる。実に勿体ないのである。

シンボル制のエンカウントを生かすために、敵がいるマップでは歩行速度が落ちるようになった。
敵のスピードも落として、避けやすくする意図があるようだ。しかしこちら側は一定距離だけダッシュすることが出来て、
これを駆使しないと避けられない敵が多くいて、どうせならダッシュ機能も無くして、それほど反射神経がなくともフェアーに敵を避けたりできるようにした方が良かった気がする。
マップ自体は、歩行速度に合わせて設計されているので、それほど歩く速度を落とされることによるストレスは感じなかったので、ダッシュ機能は無くても不便さは感じないと思うのだが。

クリア後のエピローグシナリオやブロマイドアイテムの増加や、お約束のお色気シーンなど、相変わらずのサービス満点っぷりである。
この手のRPGが好きな人なら満足出来る内容になっていると思う。
1作目とシナリオに密接な関連があり、遊んでいるとニヤリとする仕掛けも多く用意されていて、その辺もポイントとして挙げたい。
(遊んでなくても問題は無い)

絶滅傾向にある貴重で良質なドット絵タイプのRPG。





[2005/11/14]
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