拡散性ミリオンアーサー


対応機種ニンテンドー3DS(ダウンロードソフト)
発売日2014/10/22
価格0円
発売元スクウェアエニックス

(c)2012 2014 SQUARE ENIX / RealStyle
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基本プレイ無料のソーシャルカードゲーム「拡散性ミリオンアーサー」のニンテンドー3DS版。
既にスマートフォン、プレイステーションVitaでサービス展開しているが、プラットフォームごとに独立した運営形態をとっているため、アカウント(データ)を引き継いでプレイするといったことは出来ない。
同名タイトルであるものの、機種ごとに運営内容が異なるため、開催されるイベントが全く違うものになっている等、別の機種で遊んでいても新鮮な気持ちで楽しめる作りになっている。
(違う機種のを並行プレイする強者も少なからずいるが、メインストーリーやカードラインナップなど、核となる部分のゲーム内容は一緒なので、そこまでするほどのメリットは殆ど無い)

Vita版は、触りだけプレイしてレビューしてしまったが、3DS版では、それではいけないと思い、きちんと一区切り付けられるところまでプレイした。
2015年1月30日にメインストーリー第一部の最後まで到達。レベルキャップは80だったが、ストーリーが実装されているLV60までで一応の終わりとした。
プレイ期間は2014年10月22日から2015年1月30日の約3ヶ月間。

3DS版は、他機種版と比べ、相違点が多くある。
2画面にあわせたユーザーインターフェイスに最適化されており、また、ほとんどの操作がボタンに対応している。
一部の操作がボタンに対応していなくて、下画面のタッチパネルを使うしか無い場面があったことと、
逆に、タッチ操作だけで遊ぼうとすると、タッチ操作に対応してない部分があるなど、そのへんが徹底されてなかったのは残念。
全体的には、ボタン操作で遊ぶことを前提とした設計になっているっぽい。

メニュー周りの作りはかなり違っており、3DSの2画面環境を生かしたものとなっていて、使い勝手はなかなかいい。
デッキ構成、合成画面は、相変わらずごちゃごちゃしており慣れるまではわけがわからない取っ付きづらさだが、慣れてしまえばなんてことはない。

惜しい点としては、3DSの性能的にスマフォ版やVita版と比べ、見劣りする部分が目立ってしまっていることだ。
3DSはデュアルスクリーンなので、1画面ごとの解像度が低いために、他機種版と比べるとぼやっとした粗い表示がどうしても気になってしまう。
ちゃんと立体視に対応させている頑張りは評価したいのだが、Vita版の乳揺れ機能やホロカードの処理なんかと比べると地味で、細かいところではあるが、「後発の割には…」という印象を持たれても仕方がない。
(多分、もっと早くに3DSに出したかったと思われる。任天堂が自社ハードで基本プレイ無料のゲームを許可する時期が遅すぎたのだろう)

ゲームシステムが全体的にシンプル化、単純化されている。
合成は、強化合成に一本化し、フレンド機能は、トラブル防止のためかショートメール機能などが撤廃されている。
サブストーリーまで削除するのはやり過ぎかと思ったが、大して面白くない割にデータ受信の手間を取るぐらいなら、という判断だと思われる。
このへんのこなれた作りは、後発の強みと言えないだろうか。

トップバッターのスマートフォン版での運営は、ある種伝説といえるほどの悪評の立つ迷走っぷりだった。
後発となるVita版、そしてこの3DS版は、反動でかなり手堅い運営になってしまった。
正直、スマフォ時代のやんちゃ坊主っぷりが、信じられないって言うぐらい安定している。

その堅調さが、バリエーションの乏しいイベント内容につながってしまっている。
そもそもゲーム自体が、今となっては一昔前のカード集めのソーシャルゲームであるため、それほど色々と面白いことのやれる土壌にないことは否定出来ない。

隙間なくイベントを開催することで、ゲームの面白さを演出しているのだが、そのイベントがワンパターンで、2,3ヶ月もやれば飽きてしまう。
イベント用の秘境を探索して、強敵(妖精)を倒し、稀に落とすイベントカードを手に入れる、イベントカードをイベント期間中に強化して報酬を手に入れる、あるいは、カードの他にイベントポイントを集める、
といったやりとりをシチュエーションを変えて繰り返すだけというものになってしまっている。
これに加えて、イベントポイントを使ったランキングバトルがある。上位に入ると良い物がもらえるのと、ランキングという結果があるので、淡々と同じ作業を遊ばされるよりかは、俄然盛り上がる。
課金率が良かったせいもあったのだろう、ここに付け込んで、年末年始にランキングイベントを連続で開催したのだが、結構なプレイヤーがさすがに辟易としたようだった。

また、イベントの度に専用カードをばら撒くと、所持カードを圧迫して持ちきれなくなってくる。
200枚までカードを所持できるが、3ヶ月プレイした程度でもう、とっておきたいカードをキープしていると、残りの枠が結構厳しくなってくる。
使わないカードを素直に合成して減らせば全然不自由しない枚数持てるようにしてくれているものの、イベントで配布されたカードを無くしてしまうのはやはりつらいものがある。

3DS版のサービスが始まって1か月後、スマフォで続編の「乖離性ミリオンアーサー」のサービスが始まった。
さらに1か月後、スマフォ版「拡散性ミリオンアーサー」のサービス終了が発表された。

この2つが何を意味するのかというと、「拡散性ミリオンアーサー」は終わり、「乖離性ミリオンアーサー」へ力点をシフトしていくということを暗に示している。

3DS版の配信日から既に、今更感を漂わせる船出であった。
だが、これらの出来事によって、「拡散性ミリオンアーサー」というゲームは今後終焉に向かって動き出していて、ゲーム的な進歩や発展は見込めないことがわかってしまった。

3DS版は、後発ということもあって、遊びやすく、安定していてバランスも良いのかもしれないが、一方で、公式からも型落ちゲームと宣言されたものを、果たして楽しめるだろうか。
Vitaに移植した時とは違って、(実質的な)将来性を絶たれた時期での移植では、今後にあまり期待が持てない。

課金しなかったら困る!という状態になることはまず無く、無課金プレイでもそこそこいい思いをして遊べるので、課金しようという気持ちにもならない。
(強いて言えば、ランキングイベントで上位入りたくて課金したいという気持ちになることはあった)
この、お金を払わなくても居心地がいい状態が「バランスの良い状態」と言うと、またちょっと違うと思う。
露骨に課金させようという方向に誘導するゲームも嫌だが、課金したくなるようなゲームというのは、それだけそのゲームに熱中しているからという裏返しとも取れる。
今の3DS版の状態は、どちらかと言うと、とりあえず出して無難に運営して、そこそこの利益を見込めればラッキー!という位置にある。
なにせ、2年前のゲームを、今出すのだから、あんまり尖ったことも出来ないだろうし、大変なのだろうが、思わず夢中にさせてしまうような要素がさっぱり無い。

一番つらいのは、3DS版の運営を任されたスタッフだろう。
定期的にイベントを開催しなければならないが、できることが限られている中で企画していかなければならない。

出来ることならば、続編の「乖離性ミリオンアーサー」を、早期にコンソール機へ移植してもらいたい物だ。希望としては「ケイオスリングス3」のように同時発売を期待したい所だ。
「拡散性ミリオンアーサー」の3DSへの移植は、様々な事情が重なってこの時期になってしまったのだろうが、いくらなんでも遅すぎた。そこで結論。

今更過ぎるゲームではあるが、遊びやすさなど後発ならではの強みはある。





[2015/01/30]
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