マーヴェラス


元々はSFCのサテラビュー向けに作られたアクションアドベンチャーが
好評だった為かカートリッジROM用に新たに製作されたのが、この「マーヴェラス」である。

元作であるBSマーヴェラスは、サテラビューのメーンコンテンツであった
音声連動企画の作品で、
1時間という放送時間内にどれだけ高い得点を得ることが出来るかという
スコアランキング形式のゲームだった。

通常のROM版では、勿論同じ内容では出せないので、
イベントを解いて物語を進めていくスタイルに変更されている。

マップチップのグラフィックや効果音に演出と、全体の作りが「ゼルダの伝説」にそっくりで、
プレイ感覚にもさほど差異は無い。
ゼルダと比べると、アドベンチャー要素が強く、敵やボスを倒すといったアクション性は殆ど無い。
厳密には違うが「戦闘の無いゼルダ」みたいなものである。

アドベンチャーに特化しているため、謎解きや仕掛けの作り込みがゼルダシリーズより本格的で
基本的にプレイヤーを悩ませることを前提にしたバランスなので、難易度は結構高めである。
しかし、いたずらに難しいわけではなく、
台詞の中に解法のとっかかりとなる単語が混ざっていたり、演出に組み込まれていたりと、
洞察力に優れている人や勘が鋭い人であればスルスルと解けてしまうような物になっている。

個人的にこの辺りのバランスは絶妙に思う。
解けた時の達成感と、そんなはずはないのだが「これに気づけたのは自分だけだろう」と
思わせる(理不尽さとの境界の)ギリギリのラインで調整されている。

鈍い人間でもラックロック(お金のような物)を渡すことでヒントを与えてくれる仲間がいるので
詰まってどうしようもなくなることはまず無い。

目新しい要素として、サーチシステムと仲間の使い分けが挙げられる。
サーチシステムは64以降のゼルダで導入されたZ注目システムの原型として
それ以降結構有名になったシステムである。
画面上の調べられるポイントに近づかなくても、カーソルを合わせることで
そこを調べることが出来たり、人物と会話が出来る便利な機能。
仲間の使い分けは、本作では3人の少年を状況によって使い分けたり、
別行動を取って、3人の中の一人しか行けない場所へ先に行って仕掛けを解除するといった物。
ときには協力して重い物をどかしたりと、
常に単独行動だったゼルダとの差別化が図られている。
これによって、新しいプレイ感覚を生み出していると言っても過言では無い。

章立てで構成されていて、章によって舞台がガラッと変わる。
ゼルダで言う地下迷宮を攻略していく感じに近い。
ちょっとした物語も用意されていて、それがまたシュールで良い。
テキスト周りのセンスはかなり高いといえる。

ゼルダよりコンセプトが明確に絞られていることもあって、イライラすることも少なく
遊びやすいのだが、
終盤になると妙にシビアな操作を要求される節があり、がっかり。
せっかくアクション要素を廃してアドベンチャーに徹した作りにしているのだから、
思い切って難しい操作をさせるところも全く無くしても良かった。
章終盤のボス戦など一部のそのような局面は、確かに緊張感を与える作用はあるのだが、
客観的に見て、一般プレイヤーにもやや厳しい印象があった。
ばっさりと潔く反射神経は必要としないゲームとして作っても良かった。
マップ構成はとても配慮のある構造になっているのに、こっちの方も何とかして欲しかった。

「調べる」状態になると、コマンドアドベンチャーのような画面になり
カーソルで気になる場所を調べたり、
レバーを下げる、重い物を持ち上げる、動かす、といった動作をする際、
ボタンを連打するとか、動かす方向にキーを入れっぱなしにするといった
そこまでさせるのかというほどいちいちプレイヤーに(指定された)操作をさせている。
ともすれば、煩わしささえ感じることもあるこの操作だが、
これにより操作キャラとの一体感、自分で仕掛けを解いたという達成感をより強く
実感出来るようになっているといったら言い過ぎだろうか。

「スターフォックス」や「ワイルドトラックス」で絶大な威力を発揮した
SA-1チップが本作にも使われている。
だが、サーチシステムを使う時の半透明処理がスムースに行われる(らしい)といった程度で
今ひとつチップの恩恵の実感を得られないのは勿体なく感じる。
さらにいうとチップの無かったBS版とこれといった違いも無く、何故入れたのか疑問になるほど。

開発期間の関係か、BS版からプログラム周りをあまりいじれなかったためか
SFC末期のゲームにしては地味である。
それから、インターフェースが洗練されておらず、若干(その落ち度による)煩わしさが気になった。
といっても、言うほど酷いもんでも無いが。

ゼルダの「時のオカリナ」や「風のタクト」の内容を見るに
マーヴェラスは、ゼルダシリーズの進化の過程の途中に位置する重大な作品であったのは言うまでも無い。

当時の任天堂製品にしては珍しく広告展開に消極的でテレビコマーシャルは製作すらされなかった。
発売時期が既にSFC末期な上に64発売後であることと見た目のインパクトが弱いのと合わせて
知名度が異常に低く、任天堂ブランドとは思えないマイナーぷりである。
想像するに、サテラビューで好評だった割に、商品としての自信が無かったのかもしれない。
ゲームそのものはネガティブになるほど悪いものではないのだから、もっと売り込むべきだった。

個人的にはゼルダのお約束にはマンネリを感じてきてもいるので、
マーヴェラスの続編も遊んでみたい物である。




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