マリオカート64


対応機種ニンテンドウ64
発売日1996/12/14
価格9800円
発売元任天堂

(c)1996 Nintendo
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スーパーファミコンで発売するやいなや大ヒットとなった「スーパーマリオカート」第二弾。
ニンテンドウ64初期におけるビッグタイトルとして、年末商戦に大々的に投入された。

スーパーファミコン版ではハード性能上、擬似3Dであったが、今回はフィールドがフルポリゴンの完全3D、キャラクターはスプライト処理されている。
といってもスプライトもツルツルのCG絵で、キャラパターンもかなり豊富に作られているので、違和感が全く無い。

コース設計は3Dとなったことで、使い回しが全く無く、高低差のある臨場感あふれる立体的な構造で、任天堂作品だけあって非常に機能的で練り込まれている。
コースの数は減ってしまったが、一つ一つのステージには、コンセプトがあり、迷路になっているステージ、高速道路で他の車が行き交っているステージ、など個性的なものばかりで、見栄えもよければ質も高い。

新しいアイテムが追加され、よりエキサイティングでスリリングなレースが楽しめるようになっている。
でも、5連バナナや3連赤コウラなど、追加アイテムの強力さときたらちょっとやりすぎな気もする。ゲームとしては、より派手に盛り上がるようになっているのだけど。ちょっと順位が低いだけで、強力なこれらのアイテムが簡単に手に入るのも、イカサマくさくて気になった。
パーティーゲームとして受けたから、よりその路線を強めた結果なのだろう。この方針転換はあながち間違ってはいない。

ニンテンドウ64は、はじめから本体に4つのコントローラーをつけることが出来る。最大4人対戦が可能となっている。これも嬉しいパワーアップだ。
画面を4分割して遊ぶモードも付いているのだが、さすがに高性能マシンとはいえ4分割処理は厳しいのか、はっきりとわかる処理落ちを起こしているのが残念。

3Dスティックで操作するようになったためか、車の挙動もそれっぽくなってしまって、ゲームっぽさが薄れてしまったのが残念。
ドリフトを使ったミニターボも、スティックを左右にガチャガチャさせて煙が赤くなったらターボ発動のサインと、前作に比べ遥かに出しやすくなったが、逆を言えばミニターボの影響力が大きくなり、操作性にクセが付いたことと合わせて、間口が狭くなった印象がある。
パーティゲームを売りとするならば、誰でもすぐにとっつけるように作ることが重要だと思う。

ゲーム自体は決して出来が悪いわけではないし、寧ろこれはこれで完成度はかなり高い。コースレイアウトも良く出来ているし、グラフィックや音楽もマリオシリーズということもあって、クオリティが高く、ただ走っているだけでも面白い。
ただ、あまりゲームを遊びなれてない人や、そもそもニンテンドウ64のコントローラーに不慣れな人がすぐに入っていける配慮が出来ているかという観点から見れば、ややマニアックに映ってしまう感は否めない。

対人戦も勿論そうだが、コンピュータ相手のグランプリモード、また、一人でストイックに走りこむ、タイムアタックも、見た目とは裏腹にコースレイアウトがしっかりしてるので、実は一人で記録を出すために延々やり込むスタイルのプレイにも十分耐えうるゲームである(前作でもそうだったが)。

本作は、ニンテンドウ64の普及を狙って開発されたこともあってか、バグチェックの甘さが気になった。
任天堂自体が、ポリゴンを扱ったゲームに慣れてなかった面もあるだろうが、発売からそれほど経たぬ内に、壁越えショートカットを駆使した驚異的なラップタイムをたたき出したやり方が書かれた攻略本が出回ったのである。
「スーパーマリオカート」でもそうだったように、今作でもタイムアタック大会を開いており、メーカー公式記録は明らかに、その壁越えを意図してないものだった。
このような意図しないショートカットがほぼ全コースに渡って残ったまま発売されており、やり方さえ分かれば再現するのはそれほど難しくないものばかり。ひどいものではコースの8割以上カットできるものまで存在する。
こうしたショートカットはシステムの穴を突いたものが多く、つまりは、作り込みの甘さにも原因があると言える。

このころの任天堂はソニーやセガに押され気味で、満を持して発売したニンテンドウ64も、売れ行きが悪く、対応ソフトも不足していた。そのため、なんとしてでもこのゲームの発売を急がせる必要があったのだろう。
社内テスターの存在など、質の高いゲームを作り出す制度が充実しており、ゲームの完成度に妥協しないいつもの任天堂らしくないゲームだ。勿論このゲームの名誉のために断っておくが、ゲーム自体のクオリティは非常に高い。下手なリアルレーシングゲームよりリアリティに溢れているし、グラフィックもかなり綺麗。
ただ、妥協を許さない会社の割に、デバッグにあまり力を入れなかったな…と感じられたことが惜しいと思っただけである。そこで結論。

やはりマリオカートは別格だった。遊べ!!





[2010/09/14]
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