スーパーマリオ64DS


対応機種ニンテンドーDS
発売日2004/12/02
価格4800円
発売元任天堂

(c)2004 Nintendo
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携帯ゲーム機の王者、任天堂が送る新携帯ゲーム機ニンテンドーDS。
その同時発売ソフトの一本として開発されたスーパーマリオ64DS。
8年前ニンテンドウ64本体と同時発売され、大きな話題となったスーパーマリオ64を
今度は携帯ゲーム機にアレンジ移植。

結論から書くと、ほぼ64版そのままといっていい。移植度はかなり高い。

但し、テクスチャー周りが、かなり劣化してしまっている。
補完機能が無いのか、近づいて見ると、テクスチャのドットのギザギザが目立つ。
質感に関しては、非常に安っぽくなってしまっていると言わざるを得ない。
一部のステージでは、色合いそのものが変わってしまって、雰囲気が全く違うところもあった。
しかし、DSの液晶は画面が小さい代わりに解像度が高いので、そこでそこそこ綺麗に映るように
上手く誤魔化しがきいている。
粗を意図的に探そうと思わなければ(普通にプレイする分には)、さほど気にならない程度。
ポリゴンの描画限界数については64と同等かそれよりちょっと落ちる程度なのか
ちゃんと遠景も元作と同様にきちんと描かれている。これには驚いた。

64版は、今見ても色褪せないほど完成されたグラフィックではあるが
まだ、3Dのゲームのノウハウが蓄積されてないせいか、こなれていない部分もあった。
だが、DS版は、性能差を現在のノウハウで埋めようとした努力が感じられる。
例えば、キャラクターのモデリングが滑らかに見えるように作られていたり、
水面に潜った時に、ちゃんと手前に半透明の水色の処理を施して水中にいる雰囲気を出したり。
細かな面では、キャラクタの影の計算も可能な限り行っているらしく
地形の角ではちゃんと影が伸びるように表示される。

音楽については申し分ない、ほぼそのままの再現度。
効果音が64版と比べ汚いが、概ね許容範囲内である。
特に凄いと思うのは、標準でステレオサウンド機能が備わってるため
サラウンド効果を得ることが出来て
携帯機とは思えないほどの臨場感を味わえる。

残念なことにDSにはアナログスティックが備わっていない。
そのため、操作性が致命的に良く無い。
悪いというほどではないが、快適じゃ無い。
操作モードが3種類あって、Yダッシュモード、タッチモード、デスクトップモードの3つ。
要するに、十字キーでも動かせるし、タッチパネルでも(擬似的にアナログスティックを再現させて)
遊べるよ、という違いである。

しかし、実際十字キーで動かしていて、困る時と言うのはほんの1、2箇所しかなく、
動かし辛くても一番直感的に動かせるために、結局Yダッシュモードに落ち着いてしまう。
十字キーの場合、確かに融通の利く操作ができず、不本意にミスしてしまうことも多いのだが、
かといってタッチパネルで動かしてみても劇的に動かし安いというほどではない。
今度はかえって、反応が良すぎてふらつきやすくなったり、機敏な動きが取れない。
というのも、ジャンプや攻撃ボタンといったアクションがボタン操作でしか出来ないため、
タッチパネルで手を滑らせつつ、そっちもテキパキと動かすのは至難の業である。

本体付属のタッチストラップを使った
(ストラップの先端に黒いポッチのようなものと親指にはめられる大きさのわっかが付いていて、
そこに親指をはめて黒いポッチを画面に当てて動かす)
操作を推奨しているというので、そっちでも遊んでみたが、
慣れるまでは、相当な修練が必要に感じた。
本体同時発売ということで、まだタッチスクリーンを使った操作に慣れてないこともあるかもしれないが
本作でそれを教育させるのは、ちょっと厳しいように思う。
元々が64で3Dスティック用に作っていた物を手直ししただけなのだから、当然である。

まだちょっと、操作周りの仕様が固まってないまま出してしまった印象がある。
結局、タッチパネル前提のバランスにしきれなかったのだろう。

このため、オリジナル版に比べ、だいぶ難易度が落とされている。
単純に簡単にしたわけではない(意図的に難しくしているところもある)。
だが、主にシビアな操作を要求される局面で、地形を簡素な物に直したり、
足場を増やしたりして対処している。
これは適切な対応といえるが、仕方なしといった風に思えるし、もう少し頑張って欲しかった。

操作性については、沢山の不満があるが、とりあえず単純に64版にくらべ、動かし辛くなったのは
否定出来ない。
元々はプレイヤーの腕が上達するにつれて、どこまでも思い通りに動かせるようになったし、
それを利用して、本来意図するやり方とは違う方法で強引にスターを取るという行為(ショートカット)も
容易に出来たのだが、DS版はちょっとそれをやるのは難しい。

ゲーム内容は、マリオ以外に、ヨッシー、ルイージ、ワリオが動かせるキャラとして用意され、
さらに幾つか新ステージも追加されている。
どうも経験者も楽しめるように工夫を施して意図的に内容変更している節もあるのだが、
基本的に内容は一緒なので、64版をやっている人が、また楽しめるほどのものにはなっていない。
キャラの使い分けも、結局はマリオが一人で出来ていたことを分業させただけだし、
新ステージといっても小マップが5、6個増えただけで、基本の15コースなのは変わらない。
それに伴ってパワースターの総数も増えているが、既存の仕掛けを使いまわした物ばかりで
目新しさは無い。

この「スーパーマリオ64」パートだけでは、DSの機能を堪能してもらえない不安からか
タッチペンのみを使って遊ぶミニゲームが36種類用意されている。
(最初から遊べるのは8種類で、本編を進めて入手する必要がある)
36種類とは言っても、基本プログラムはそのままにルールを変えただけのものもあるため
実数はもっと少ない。
これの出来がなかなかいい。
タッチペンを使って、画面をなぞったら、なぞったところに線が引けたり、トランポリンが出たり
物を掴んで運びたいところで離したり、落ちてくるマリオをつついて上に押し上げたりetc...
単純ながらも新鮮で面白く、つい気軽に遊んで夢中になってしまう。
ただし、逆を言えばニンテンドーDSというプラットフォームで言えば、これは標準レベルといえる。
良くも悪くもオマケのミニゲームという壁を越えておらず、
どのゲームも、どっかこっか改善して欲しい点があったし、
殆どがハイスコアを狙うためには延々と時間をかけなくてはならないために
上手くなってくると1プレイが長くなりがちである。
どれもが高いレベルでできあがっているが、欲を言えばもうひと捻り欲しかった。

移植自体はしっかり出来ているが、操作性が悪い凡作。





[2004/12/06-2005/03/25]
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