マリオバスケ3on3


対応機種ニンテンドーDS
発売日2006/07/27
価格4800円
発売元任天堂

(c)2006 Nintendo / SQUARE ENIX
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任天堂とスクウェア(現スクウェアエニックス)が、10年ぶりに夢のコラボ。
まさか!ありえない!そんなことが実際に起こってしまった!前回はマリオがRPGをするというものだったが、今回はなんとバスケ!

マリオシリーズのスポーツ物は、たくさん出ているが、一見するとこれらはバチモンに見えるだろうが、実はそこらの本格派を謳ったリアル系スポーツゲームより、よっぽど遊べる。
それは、任天堂がゲームの本質を見抜いているからだろう。

そもそも、実在するスポーツのおもしろさを、ゲームで完全再現出来るのなら、スポーツという文化がここまで栄えることはない。そんなに、浅はかなものではないのだ。
しかし、それをゲームで擬似再現したいという人情も理解出来る。

まず、この手のゲームを作る場合、ゲームであることを思いっきり強調する必要があると思うのだ。
ほとんどのスポーツゲームは、現実で通用する戦術、テクニックを重要視するが、それがゲーム的に足を引っ張ってる感が否めない。
ゲームだからこそ、通用するトリッキーな遊び方が許容されてもいいと思うのだ。それこそ、ゲームおたくでも、すぐに入り込めるような何か。
現状、ただリアルスポーツに浸るだけの産物にしかなっていない。もちろん、全てのスポーツゲームの出来が悪いわけではないが。

そのあたりに、マリオスポーツのおもしろさが隠されていると思うのだが、さて、今作は、いささか無理があったのか、いまいちキレが足りないように感じた。

マリオキャラクターがバスケをするのである。当然ながら、“なんでもあり”なゲームになっている。
ヒップドロップで強引にボールを奪い取ったり、マリオカートのように、ハテナブロックから妨害アイテムを取って、相手を攻撃するなど、そのほか、多彩な仕掛けを施されたコートの数々。
なかなかに、飽きさせない構造は相変わらずである。

残念なことに、操作形態の作りが独りよがりで、さっぱり面白くない。
十字キーで移動、タッチペンでアクションというのが基本。
なんだか、タッチ操作を、これまでの入力デバイスと一緒に考えてないか?
ただ、ボタン入力していたことと同じように考えて設計するのは、はっきりいわせてもらえば間違いだ。
「メトロイドプライム ハンターズ」でも指摘したが、本作でも、ボタン操作で、L(もしくはR)ボタンを使うために、またも腕への負担が大きい。
もう、プレイヤーに過度な身体的負担を強いるゲームは、無条件に駄作と決めることにした。とにかくやっていて、疲れる。続かない。
それが、納得出来る物なら許せる。だが、このゲームに関して言えば、「どうしてこんな操作性にしたんだ!」と言いたくなるような入力があまりに多い。

バスケというめまぐるしく展開するスポーツで、悠長に丁寧なタッチ入力が出来るはずもない。結果、大味なゲームにならざるを得ない。
スペシャルショットという、いわゆる見せ技のようなものがあるのだが、こんなの実戦で使いこなせる人はどれぐらいいるだろう。あんな、面倒な入力をしてまで、展開が有利になるわけでもないのに。

それから、視点の悪さも気になる。3on3なのに、どうして両面コート仕様なのかわからない。
狭いからという理由だけなら、それは明らかに失敗だ。視点の悪さは、このコートの広さにも起因する。
攻撃系が上方向へのスライド操作、防御系が下方向へのスライド操作に割り振っているのも疑問。
味方がボールを持ってないときの操作と、持ってる時の操作が逆転する(持ってる時は上方向のスライドなのに、持ってない時は下方向のスライドを多用させられる)のは、使い分けに混乱する。
ジャンプの操作があるからなのだろうけど、なんかいい方法はなかったのだろうかなあ。あまりにこれだと、やりづらい。
広いせいで、状況判断が難しいし、ボールや、それを持っている相手を見失うことも少なくない。気が付いたらダンクシュートを決められていることも多い。

このように、およそ直感的とは言い難い操作性に、がっかりするばかりだ。なんたって、思い通りに動かせないのだから。
タッチペンを使った、アクションの多さにも、「ああこんなに覚えなきゃならんのか」とため息をつきたくなるし、どーも任天堂らしくない。
開発のほとんどは、スクウェアエニックス側が行ったらしいので、その事実を知ると、納得がいく。

一人用モードの少なさも、任天堂らしくない。最近は、シングルプレイも意識するようになっているのに。しかも、Wi-Fiに対応しているのかと思っていたら、なんと未対応。
どうやら、収拾がつかなくなってきたのか、適当なところで見切りを付けて発売してしまったようである。

5秒ルールのようなものがないうえ、ボールを奪うのが極端に大変なので、得点を先制して、あとは時間切れまでボールをキープし続けるのが有効すぎることや、ダンクシュートが出しやすい上に確実に得点出来る強力さなど、ゲームとして成り立たせるには穴が多すぎる。
そこで結論。

そもそも企画の時点で無理があったんじゃ(たぶん、タップでドリブル操作させたかっただけなんだろう)。





[2006/08/01]
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