スーパーマリオカート


対応機種スーパーファミコン
発売日1992/08/27
価格8900円
発売元任天堂

(c)1992 Nintendo
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自分との戦いの色合いがとても強かった従来のレースゲームを、妨害アイテムを導入したことで対戦バトル化した、エポックメイキング的位置にあるソフト。

自分の腕では叶わない相手でも、良いアイテムさえ引ければ勝てるかも…!?という逆転性をもたせた、当時としては画期的なゲームであった。
ひたすらストイックにコース取りを覚え、ただ速く走ることが目標だったジャンルだが、「マリオ」が「カート」することで、こんなにも間口が広くなる。「マリオ」とは偉大なゲームである。

アイディアを取り入れるだけなら誰でも出来る。本作は、誰もやらなかったことを一発目から他では真似できないほど高いレベルで完成させていることが凄いと言える。
バナナの皮で後続車の足を引っ張り、亀の甲羅で前方の敵を攻撃する。トップから離された場合は、自分以外の全車をパワーダウンさせる雷や、無敵化してスピードアップするスターなどの一発逆転可能な強力アイテムが手に入る可能性もある!
妨害アイテムの種類やバランスが絶妙で、誰でもすぐ覚えられる。多少走りが荒っぽくたって、うまい人に勝てる可能性がある!

ただ速く走るだけではない、一緒に遊ぶ友達が集まったら、相手の風船を全部割ったものが勝ちのバトルモードがある。これもかなりお遊び要素に満ちていて、面白い。
このようにレースゲームを一気に優秀なパーティゲーム化したことが高く評価できる。プログラム技術も高く、一人用のグランプリモードでは、コース全体がどうなっているか表示され、昔のレースゲームでは良くあったイカサマ走行(見えない部分で処理を簡略化させるため、敵車をワープさせごまかすこと)がなく、8台全てがきちんと走っていることを示している(細かいイカサマはあるけど、バランス調整の範囲であり十分許せる範囲と言える)。

個人的には、スーパーファミコン版が1人用においても対戦においてもとてもバランスが取れていると思う。この後に出た、ニンテンドウ64のほうは、アイテムの効果が強くなりすぎて、わざとらしさが感じられる。それはそれで盛り上がるゲームではあるのだが、地味だがあざとさのないこっちの方が個人的には好き。
コース設計も非常に優秀で良く出来ている。ハードスペック上あまり凝ったことは出来ないわけで、大掛かりな仕掛けに頼ること無く、レイアウトだけでよくぞこれだけ面白いコース群が作れたと感心するばかりだ(ドッスンの配置や池の置き方が本当に素晴らしい。悔しいと言えるほど素晴らしい)。ここら辺さすが任天堂と言わざるを得ない。グランプリモードを全て(特にクリア後に現れる150CCまで全て)プレイしてみて欲しい。
絶妙過ぎるゲームバランスに気づくだろう。

ここまで読んで、対戦ゲームの比重が強く大味なレースゲームじゃん!と思われるかもしれないが、実はタイムアタックも非常に熱い。ゲーム雑誌やテレビ番組で、任天堂公式記録が発表され、その記録に挑戦するユーザーが当時絶えなかった。
隠し要素的な位置づけにあった、ドリフトターボのテクニックもこれで広がった。最終的にはタイムを縮めるためには必須の技となってしまった。
従来のリアル志向のレースゲームと異なり、ゲーム的なコースレイアウトが出来るため、現実にはありえないショートカットやテクニックが編み出されるほどで、比較的扱いやすい操作性であることも相まって、多くのプレイヤーが自分の限界に挑戦していた。

この懐の広さこそがマリオシリーズの長所と言える。そこで結論。

レースゲームに革命をもたらしたソフト。





[2010/09/02]
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