マリオカート7


対応機種ニンテンドー3DS
発売日2011/12/01
価格4800円
発売元任天堂

(c)2011 Nintendo
戻る

人気レースゲームのマリオカートが早くもニンテンドー3DSに上陸だ!
今回は「メトロイドプライム」シリーズ、「ドンキーコング リターンズ」の海外メーカー「レトロスタジオ」との共同制作で作られた。

1機種に1本というペースでありながら、ナンバリングにするといつのまにやら7作目である。それに気がつけば来年で丁度シリーズ誕生から20年を迎える。
どんなに面白いと評判が良くても乱発せず、機種ごとに1本という決め事は絶対に破って来なかった。それはなぜか?同じ機種に2本もこのゲームは必要ないと判断してるからだと思われる。
だから1本1本へのプレッシャーや重みの大きいシリーズだ。毎回ハードの特性を100%引き出して、最高のレースゲームを目指して作らなければならない。そのためか、中古でも全く値崩れを起こさない。
この姿勢が、マリオカートを息の長いタイトルにしている理由の1つだと思う。

さて、この「マリオカート7」も基本システムがしっかりしており、かつ、技術レベルが高く、とうぜん気合いを入れて作られている。例に漏れず、高いクオリティを発揮しているのは言うまでもない。
しかし、マリオカートも7作目である。当たり前に面白い話ばかりしてもつまらない。人気シリーズということで、完成度が高いということを前提にして、少々キツめに取り上げる。

「マリオカートWii」は、ハンドルコントローラが目新しかったのと、通信関係の機能が充実していたせいか、なんだかんだでかなり長く夢中になったゲームだ。
それに比べると、今回の「マリオカート7」は、少々単体での魅力や新鮮さに乏しいところがある。

過去作品のコース16個、新作コース16個、合計32個の収録数はボリューム満点で相変わらずだが、何となくいまいち走っていて面白くない、退屈なマップが多い。
特に新規コースは、分岐点が多く広がりのあるコース設計を目指した努力は痛いほど伝わってくるのだが、なんだか全体的にただごちゃごちゃしてるだけで、練りが足りない印象を受けた。
例えば、中には2周目3周目と全く違う道を走らせることで、実質1周でゴールというロングコースも用意されている。
理屈では、そういう大作らしい作りこみの凄さなど、意識して見ていなくてもわかる豪華さで溢れている。
だけど、見た目が派手な割には全体的にスカスカしてて、冗長に感じた。
この辺の作風は、良い意味でも悪い意味でも海外メーカーの血を混ぜた結果ではないだろうか。コースレイアウトが(マリオにしては)アイディア重視で機能的でない。

空をグライダーで飛んだり、水中にもぐったりという部分が大きくクローズアップされているが、コースの一部の舞台がそういう構成になっているだけで、それ以上のものはない。
どうせなら、空を上手に飛び続けるのがメインのコースだとか、水中ステージだとか、新要素を取り込んだのなら、思い切ったステージを1つか2つ作ってその必然性をアピールさせるほどのものを見せつけて欲しかった。

伝統のグランプリモードもそろそろ何とかして欲しい。50cc、100cc、150ccとクリアしたらミラーモード出現!の流れもさすがに飽きた。

マップ上に配置されたコインを集めることでマシンの速度が上がるシステムが復活している(SFC版にあったシステムだ)。それ自体は別に構わない。だが、タイムアタックにまでこのシステムを持ち込まないで欲しかった。
コインを貯めるプロセスまで絡んでくるようにしたかったのだろうが、なんだかアンフェアな感じを受ける。

ハンドルコントローラに対抗する形で作られたのだろう、ジャイロセンサーを使った操作は、専用の一人称視点に切り替わることや、オートドリフトなどのアシストも無いので、とっかかりが悪い印象だ。
なにより、Wiiリモコンのセンサーバーを使った体感操作と比べると、しょうがない話ではあるのだが魅力的でない。

3DSのボタン配置のせいなのだが、動かしづらい。Rボタンを酷使するゲームだから、長時間プレイすると腕が痛くなるのが気になった所だ。

指摘したとおり、前作であるWii版の焼き直し版のような感触を受けて、今作はWii版ほどのめり込めなかった。逆を言えばWii版がそれだけ完成度が高く進化させる部分がなかったとも言える。
一方で、これといった斬新な要素を提案出来なかった開発スタッフの力量不足も伺える。

今まで、携帯ゲームソフトというと、据え置きゲームと比べると、どうしても見た目やゲーム内容が見劣りしてしまうものだったが、
ニンテンドー3DSで作られた「マリオカート7」は、Wii「マリオカートWii」と遜色ない出来栄えになっていて、3年前据え置き機で発売されたゲームが今や携帯ゲーム機で遊べるというテクノロジーの進化には最も驚いた部分だ。

ここまでまったく触れなかったが、「マリオカートWii」のネットワーク関係の機能もちゃんと搭載されているし、それどころかすれちがい通信への対応や機能の拡充すら行われているほどだ。
なんか、Wii版を突貫で3DSに移植したような印象は拭えないが、それだけでも正直言って凄いことだと思う。

そういった意味では、今作もじゅうぶんハードを牽引する“キラータイトル”の位置付けとなる作品と言えるのではないだろうか。そこで結論。

作品独自の味は薄いが、手堅い完成度は健在。





[2011/12/03]
戻る

inserted by FC2 system