スーパーマリオ ヨッシーアイランド


対応機種スーパーファミコン
発売日1995/08/05
価格9800円
発売元任天堂

(c)1995 Nintendo
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緑の恐竜ヨッシーが、赤ちゃんマリオを背に乗せ、飛んで跳ねての大冒険。
今回の主役はマリオではなくヨッシーだが、「スーパーマリオ」の横スクロールアクションのシステムを踏襲した人気シリーズの一つだ。

任天堂の作るサイドビューアクションゲームという鉄板タイトルだけあって、非常に完成度の高い仕上がりとなっている。

今作の特徴は、スーパーFXチップを積んだことによる高速処理である。通常は処理落ちやハングアップしてしまう高負荷な処理を実に自然に、軽々とこなしている点だ。
これまでこのチップは、「スターフォックス」「ワイルドトラックス」といったフルポリゴン演算に特化させた使い方しかしていなかったが、その演算性能を従来の2Dのゲームに活かしている。

拡大縮小回転といったスプライト処理を過剰とも言えるほどゴテゴテに演出・装飾している。単純に凄いんだけど、なんだか色々とあざとすぎて、見ているだけでお腹いっぱいになってしまう。
特にポリゴンを使ったギミックや仕掛けは2Dドット絵のアクションゲームと整合性が取れておらずまるで駄目(他社製32bit次世代ゲーム機の登場もあり、どうしてもチップの性能を見せつけたかったのだろう)。

これだけ演出過多でありながら、処理落ちを起こすことはほとんどない。スーパーファミコンは動的なプログラム処理が苦手という致命的な弱点を持っており、ちょっとでもキャパをオーバーすると音を上げて処理が重くなってしまう。
しかしFXチップのおかげで、その弱点を克服し性能強化することが出来ている。32メガビットのカセットとは思えないほどマップチップやキャラクタパターンの豊富さも特徴的だ。

ボス戦は全て雑魚キャラを巨大化させたものだったり、(プレイヤーが)タマゴを投げてオブジェクトにぶつかるときちんと跳ね返る(しかも目で追えないほど速い速度で)といった基本アイディアは、高負荷な処理もこなせるFXチップの性能を発揮させるために付けられたのだろう。

同じ業界の技術屋とか、ゲームに見慣れたにーちゃんとかは、こういったわざとらしさが目について素直に見れないところもあるだろうが、最初にも書いたとおり、任天堂のアクションゲームというだけあって、非常に出来がよろしい。

ただ、いくつか気になった節もあるので、少し指摘していく。

デモシーンが、ポリゴンとかコンピュータグラフィックを意識したテカテカな色塗りで好きになれない。通常のゲーム画面は違和感が無いドット塗りなので、余計浮いて見える。
このゲームに限らず、次世代機登場以降のスーパーファミコンのゲームは、なんかやたら無理に3Dをやろうとしてるものが目立っている。
ここで問題にしたいのはゲームとはあまり関係ないところにやたら力を注いでて、その無茶っぷりが伝わって結果的に違和感バリバリになっているゲームが多いことだ。
しかもハード供給者である任天堂が率先してそれやっちゃうと「ゲーム機の性能にコンプレックスを持っているのか?」と感じてしまう。こうなると、ゲームの面白さで楽しませたいのか単なる性能自慢のためのゲームなのかわからなくなってくる。
この傾向は、ちょっと良くない。

マリオシリーズにしては、操作性やゲームルールが複雑な印象だ。
まず操作性。Yボタンで舌を出し、敵を飲み込んで十字キーの下でタマゴを作る。Aボタンでタマゴを投げる、ふんばりジャンプ、ジャンプ中に下でヒップドロップなど、ちょっとアクションが多い感じがする。
特にヒップドロップは正直あってもなくてもいいようなアクションで、マリオシリーズを名乗るアクションゲームとしては違和感のある操作に感じた。

ゲームルールに関しては、採点要素が気になった所だ。
ステージ上に隠された赤コイン20枚、スペシャルフラワー5枚、そして、お守りスター(プレイヤーのライフのようなもの)、これらのゴール時の所持枚数によって100点満点で評価される。
他のアクションゲームで言う、いわゆる探索・やり込み要素に位置するシステムだが、コンプリートするには一度のプレイで完璧なプレイを求められる。チト任天堂らしくないシビアさだ。
収集アイテムの種類も数も多すぎるように思う。(エリアごとに)すべての面で100点満点を取ると隠しステージが出現して遊べるようになるが、これまでマリオシリーズを隠しステージまで100%攻略しつくした人も、このゲームではあまりのマゾさ加減に投げた人も多いと思われる。

ステージ構成も、アイディア優先で作ったせいか、統一感のなさが気になる。進行方向がわからなくなったり、混乱する場面がいくつかある。
また、一部のマップで、真横からではなく斜め上から見て地形を描いているものがあり、違和感があった。問題なのは、大半のマップは真横から描かれているのに、一部のマップだけその決まりが破られていることだ。

細かいことだが、赤ちゃんマリオがさらわれた時のカウントSEがかなりうるさく耳障りに感じた。

このように、ゲームの作りとしては、多少どころかかなり強引で、荒っぽさが非常に気になる作品であるのだが、FXチップの高速処理を生かした、多彩で練りこまれたステージ・ギミック構成がとても良くできており、スーパーマリオという名に恥じぬクオリティに仕上がっている。
そこで結論。

任天堂らしくない無茶苦茶な詰め込みっぷりだが、見事に破綻なく高い次元で仕上がっている力作(ハード性能の急激な進化・入れ替わり時期で任天堂ですら方向性を見失っていたのだろう)。





[2011/11/13]
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