対応機種セガサターン
発売日1998/01/22
価格6800円
発売元チュンソフト

(c)1998 CHUN SOFT / 長坂秀佳 / 難波弘之
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サウンドノベルという新ジャンルを打ち立てたチュンソフト本家が放つ3作目は、サターンで登場だ。
その名も「街」。渋谷を舞台に、今までにないスケールで描かれる人間ドラマに注目。

8人もの主人公のシナリオを読み進めていく、新しい形式になっている。一元的から多元的に、サウンドノベルは更なる進化を遂げたと言える。
単純に選択肢をつぶしていくだけでない、一方のキャラの選択がほかのシナリオに影響するなど、コンピュータゲームでなければ、制御できない複雑さである。
それぞれのシナリオは、渋谷という街の中で、同時間帯で密接に絡み合い、用意された選択肢を正しく導いていく事で、先へ読み進める事が出来る。
これまで、主人公=プレイヤーという図式があったが、本作では真っ向からそれをぶちこわしている。

実写映像の取り込みは、前作「かまいたちの夜」から劇的に精度を上げ、登場人物もシルエットではなく実在の役者を起用。よりリアリティを増している。
しかし、実写の選択は、見かけから特別訴えかけてくるものがなく地味で、前例で成功例がなくクソゲーばかりだったことから、それまでの悪いイメージを払拭することが出来ず、イマイチ売れなかったようだ。

言うまでもなくチュンソフト製品だけあって、脚本、演出ともに申し分ない出来で、加えてCD-ROM2枚組にも及ぶ膨大な文章量は、定価で買ってもおつりが来るぐらいの満腹度を味わえる。
発売直後のゲーム批評に「これを買うぐらいなら小説10冊買った方が有意義だ」なんて、過激な批評が載ったりしたものだが、それはとんでもない話で、
これだけの規模のシナリオを破綻無く連動させ収束させていることや、実写の収録枚数の多さから容易に想像のつく、撮影の絶大な手間暇と労力を考えると、罰当たりな話である。
シリアス、コメディを偏りなく入れられたバラエティ感あふれる内容も、特筆すべき点だ。

技術面で、取り上げておきたいのは、ムービーとのシームレスなつながりがまったく違和感無く処理されているところを評価したい。
サターンだってプレステに負けてないゾってのが、ひしひしと伝わってくるかのようだ。

サウンドノベル最高傑作といっても過言ではない。





[2006/05/01]
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