対応機種 | ゲームボーイアドバンス |
発売日 | 2003/02/14 |
価格 | 4800円 |
発売元 | 任天堂 |
1994年にスーパーファミコンで発売されて以来、全く音沙汰の無かったメトロイドシリーズだが
9年振りに待望の新作が遂に発売された。
今時の流行りを意識してか、従来よりストーリー色が強まっており、テキストベースでのやりとりや
次の目的地をがっつり誘導される辺り、野暮ったいなとも最初感じた。
また、どうやら漫画誌とタイアップをしているのか、サムスには良き相棒がいたという設定など
違和感を覚える箇所も多かったのだが、やり始めてみるとそんなことは些細なことにしか感じられない素晴らしい出来で、
マップ上を隅々まで探索して先へと進めていく、あのノリはしっかり残されていて、やっぱり今回も楽しく遊ばせてくれる。
ゲームボーイアドバンスとは思えないほど技術レベルが高く、恐ろしく丁寧に作られている。
おどろおどろしいクリーチャーの鳴き声や爆発音など、音関係もかなりリアルに出来ていて、驚いた。
勿論、グラフィックやエフェクトも非常に綺麗に出来ていて、これを見てしまうと他社製のGBAソフトがちゃちくさく見えてしまうほど段違いのクオリティである。
元々、SFC版で完成されていたシステムは、9年の時を経てさらに洗練され、さらに遊びやすくなっていて、
もはや最高峰の水準に達している。
ボタン数が減ったものの、キャラ操作は全くSFC版に劣らない自由度は素晴らしく、
その上で、操作が簡略化されていたり、融通の利くものになっているので、
従来シリーズ作品と比べ、グッと入り込みやすくなっている。
「単純ながらも奥が深い」という状態は、ゲームに於いて理想的なものであり、高く評価したい。
メトロイドといえば、タイムアタックや隠しアイテム探しなどのやり込み要素の面白さも特徴的である。
今作では、その面での配慮もしっかりなされていて、一回クリアしたデータならば、
メニュー画面でプレイ時間を分単位で確認出来たり、取得したアイテム/全アイテム数が表示される細かさも見せる。
何気なく、マッピングのデータ情報量も増え、未到達部分と到達部分の色分けだけでなく
灼熱地帯や隠し通路まで色が分けられ、構造が把握しやすくなっている。
アイテムがある場所では印が表示されて教えてくれたりと、親切さにも磨きがかかっているのも良い。
携帯機であることを意識してか、セーブ出来る機会も多く、展開も小気味よくだれることがない。
SFC版よりも、クリア時間は短くなっているものの、その分中身が濃く、小気味よさも手伝ってついつい何周も抵抗無く遊んでしまう。
クリア時の状況によって表示されるイラストがギャラリーメニューに保存されるコレクション欲もそそられる仕込みもあり、
上手くなろうという意欲がわいてくるものである。
SA-Xというサムスの最強状態に擬態したウイルスが徘徊しており、出会ったら最後逃げるしかないという状況下で
探索を強いられるのだが、前述のテキストによる情報の与え方が上手で、とてもいい緊張感を生み出せている。
少々強制的なイベントもあり、ゲームとしてどうかと思うこともあるが、全体の構成がそれを考慮した上で作られていることもあって
「こういうのもアリだな」と思わされてしまう。
ゲームとしては、間口を広げる方向で作られているので、従来作ほどの突き放し感は無く、
2Dアクションゲームとしても、もう最高水準に位置する出来映えではないかと思う。
敵キャラの配置、ボス戦におけるボスの動きや倒し方など、非常に些細なところまで丁寧に作られている。
難易度の設定の仕方も実に上手く、1回目のプレイでちょっとコツを掴ませておいて、
2周、3周のプレイを促そうというやり口はずるい気もするが、やればやるほど面白いスルメゲー的な魅力もあるシリーズであるため
それほど嫌らしさを感じないだろう。
相変わらず、シリーズ経験者を喜ばせる仕掛けもちりばめられており、その手の手法はお家芸の域に達しているといっても言い過ぎでは無い。
3Dポリゴンゲームが当たり前の時代に、ここまで完成度の高い2Dアクションが遊べるとはまさか思いもしなかった。
その面でも、希少価値の高い作品であり、ジャンルとしては一世代前ではあるが、
逆に既に成熟しきったものだからこそ、これだけ身の詰まったゲームを提供出来たと言えるだろう。
とにかく、これといった欠点が見つからない非の打ち所がない完成度の本作、一度体験する価値はある。
シリーズもののエッセンスを受け継ぎつつ、2Dアクションとしての完成度も一級品。是非遊ぶべし。