メトロイドプライム


対応機種ゲームキューブ
発売日2003/02/28
価格6800円
発売元任天堂

(c)2002 2003 Nintendo / Retro Studios
戻る

GBA版「メトロイドフュージョン」と共に、ゲームキューブでもメトロイド。
従来の主観視点のFPSにアクション性とアドベンチャー性をプラスした型破りなゲームシステムにも注目。
GBA版とのデータ連動により、初代メトロイドが遊べるフューチャーも話題となった。

見た目が大きく変わりつつも、中身はしっかりメトロイドしているところは凄い安心出来る。
お馴染みの音楽、お馴染みのクリーチャー、お馴染みのギミック、と
やり始めて数分とたたないうちから、メトロイドらしさを感じられる作りには感動さえ覚えた。

グラフィックは海外のメーカーが制作を担当しているだけあってか、相当リアリティに描き込まれている。
マップ一つ一つの造形、テクスチャーの張り、とにかく素晴らしく綺麗で、それだけで何か圧倒されるものを感じる。
そんな硬派なグラフィックな割に、モーフボールぴったりのパイプがあったり、妙にゲームゲームしたところも違和感なくあったりして、
ゲームが映像に負けてない、メインは飽くまでゲームだという調和の取り方には非常に好感が持てる。

GBA版の間口を広げた内容とは異なり、ひたすらにストイックさを追求した、良くも悪くもシリーズの伝統を引き継いでいる。
黙々と広大なダンジョンを探索し、ゲームクリアへの糸口を見つけていく、あの感覚は本作では健在。
過剰なムービー挿入や、これといったイベントもなく、地味であり淡々としているが、まさにこれこそ久しく忘れ去られていた
本質的な意味での「ゲーム」ではないだろうか。

ボタンもフル活用させられるようになっていて、左側の十字キーでバイザー(視覚変化)の切り替え、
右側のCスティックで、4種類の効果の異なるビームの切り替え、とこれだけでもかなり忙しい。
従来のFPSでは、撃ち合いに重点を置いた作りであるが、本作ではアクションアドベンチャーをFPSものに乗っけた感じで
時には、狭い足場をジャンプアクションさせられたり、起動スイッチや新アイテム(アクション)を探したり、それを守る大ボスとの戦いなど
てんこ盛りな内容になっている。
敵をロックオン出来るので、戦闘に関してはさほど繊細な操作は要求されることはないが
そこには「ゼルダの伝説」のようなアクション性や敵ごとにどう有効な対処をするか、というアドベンチャー的な要素まで絡み合っているので
結構難易度としては高く、とてもじゃないが万人向けではない。

「ゼルダの伝説」が3D化したときには、全体の難易度を下げるという方向で遊びづらさを排除する方向で作られていたが、
本作では3Dになろうが主観視点になろうが、謎解きのバランス、戦闘のバランス、ともに手加減は一切してくれていない。

マップも広大で入り組んでおり、グラフィックの描き込みが仇となって何がなにやら分からないという突き放しっぷりは
マゾとしか言いようのないゲームだが、しかるべき時期にきちんとヒントを入れてくれたり、
意味のあるオブジェにはバイザーのスキャン機能で教えてくれるよう作ってあるので、理不尽さは無い。
特に、ヒントの与え方が絶妙で、最初から最後まで感心しきり。

万人向けではない、と書いたが、ゲームの上手い人以外は楽しめないというわけではなく、
あらゆる面でのバランス調整が序盤から最後までとても丁寧に練り込まれており、恐らくやってみると意外にも誰でも楽しめるようになっているはずだ。

アクションの腕というのもそれなりには求められるが、むしろ重要なのはそれらに対する対処方法であって、
ゲーム後半は少々シビアな位置に調節されてるが、きちんと有効な対応策が用意されていることで釣り合いが取れている。
それを試行錯誤しながら見つけ出す楽しさがたまらない。
近年のゲームで、これほどまでに(ゲームが上手い下手ではない)ゲームへのカンとセンスが反映されるものは見たことが無い。

エリア切り替えなど全般読み込みを感じさせないシームレスさは感心してしまう。
シーク音がプレイ中かなり頻繁に聞こえるのだが、多くのゲームのように読み込み中はゲームがストップさせられるということがなく
メニュー開閉時などに起こることの多い、操作出来ない時間が全くないレスポンスの軽快さは素晴らしい。
GC本体を恐らく相当酷使しているようなのだが、そんな無茶さがありながらも、フリーズバグや目立ったバグもなく
安定した動作環境にも高い評価をあげたい。

ゲームキューブ用ソフトらしからぬ、ボリュームの多さも特筆すべき点。
マップが広いが、移動に時間がかからないような構成にしっかり考えられていて、イライラすることも少ない。

イベントは無いとは言うものの、敵陣地の端末や原住民が残した石碑を自発的にスキャンすることで
かいま見られる細かな設定周りは、シナリオを与えられているのではなく自分で読み解いていく感覚が新鮮で心地いい。
とはいえ、アクションアドベンチャーとしては余計なものという気がしないでもない。
また、縦に長いマップで、狭い足場を飛び移り上にのぼっていく状況下では、不慮の事故や操作ミスで下に落ちてしまった時のやり直しが面倒という側面がある。
ロックオンの操作も、Lボタン押しっぱなしなのだが、ボス戦などで長時間ロックオンし続けていると指が疲れて痛くなってくる。
「ゼルダ」ではオプションでホールドとスイッチに切り替えられたのだが、本作でも切り替えられる様にして欲しかった。
酔いやすい人に対して「フレームのゆれ」をオフに出来る機能を付ける配慮はあるのに、実に惜しい。

物静かな画面の雰囲気とは逆に音楽は刺激的なテクノサウンドがベースで、退屈にならないのもいい。
勿論、過度にやかましく流して雰囲気ぶち壊しということもなく、音楽も凄く良い仕事をしている。

何物にも干渉されず、綺麗な風景を自分の好きに動き回ることが出来る。
これは、3D表現が可能となったPSやサターンが発売された頃、誰もが求め望んだエンターテイメントである。
そこにメトロイドという良質なシステムを組み込むことでゲームとしてもしっかり面白い。
多少の取っつきの悪さは否定出来ないが、これを面白いと思うかどうかでゲーマーかどうか決まる作品といっても過言ではない。

新感覚のアクションアドベンチャーでありながらも、高いクオリティでまとめあげられた大傑作。





[2005/05/24]
戻る

inserted by FC2 system