メトロイドプライム3 コラプション


対応機種Wii
発売日2008/03/06
価格6800円
発売元任天堂

(c)2007-2008 Nintendo / RETRO STUDIOS
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海外で人気のメトロイドシリーズ、Wii向けの新作が遂に日本上陸。
Wiiリモコンとヌンチャクを使った新しい操作方法に期待が高まるところだ。

ゲーム内容は前作までと比べ特筆出来るほどの違いはない。しかし、操作方法が大きく変わった。
ヌンチャクで移動、Wiiリモコンのポインターで視点操作という、まさに言葉そのものの直感的操作である。
これまではコントローラ主体の操作であるが故、煩雑さを避けるためそれに特化した操作性を追求しており、具体的には移動と攻撃を切り離した形式である。
一人称視点の、FPSライクなゲーム性であるけれども、実際は見た目とはほど遠い、いかにロックオンするか、なゲームであった。

今作では、センサーバーによるポインター操作が主体となり、移動しながら照準を合わせ攻撃、という幅の広い操作性を実現している。
メトロイドプライムシリーズを遊んでいるユーザーからすれば、慣れないうちはなんともやりづらいと言う印象を持つだろう。しかし、慣れるとこれまでよりも融通の利く動きが出来るようになる。
これにロックオン機能が加わり、狙わなくても撃てるシステムによって、敷居の低さはそのままに、自由度の高さを維持している。

但し、プレイ中はほぼずっと画面中心にポインターを維持しておかなければ視点が意図しない方に動いてしまうため、実に疲れやすいゲームとなっている。
1時間やそこら遊ぶと、冗談でなく筋肉疲労に襲われてしまう。なるほど、ファミ通の発売前クロスレビューでイマイチな点数を取るわけだ(と言っても話題作なのでそこそこの点だが)。
一応、オプションでポインターを隅にまで持って行かないと視点が動かない、いわゆる遊びの部分が増える初心者向け、逆に遊びの部分が減り、少し動かしただけで視点が動く中級者向け、上級者向けというのれん分けをおこなっている。
しかし初心者向けにすると、視点が動きづらいかわりに、動かしづらいという欠点が付随する。めまぐるしく動く場面では足かせとなり、難易度の高い場面では苦戦する。ゲームを良く遊ぶユーザーなら中級者向けが丁度いいだろう。
ちなみに、上級者向けと、ロックオン時照準まで固定されないモードを組み合わせれば、ほとんどFPSチックに遊ぶことも出来る。

この手のゲームは難しいという印象を持たれてしまい、日本ではなかなか普及しないためか、とうとう難易度選択機能が付いてしまった。
といっても、ただ選ぶのではなく、シリーズ経験者かどうか、手応えのある戦闘を求めているかなどの設問に答え、それにあった難易度がチョイスされるという仕組みではあるが。

難易度はベテランモード(いわゆるノーマルモード)でも、独特の操作性に慣れてしまえばゆるく感じてしまうほどのもので、割と精密で複雑な操作を求められるゲームでありながら、敵の動きを良く見ていればきちんとかわせる、倒せる良くできた作りである。
前作などであった、一部これは無理と色々試す前から心が折れてしまいそうな強烈なボスはおらず、非常に気を遣った丁寧なゲームだ。

これまであった、弱点ビームの使い分けのような複雑な要素は徹底排除され、ビームやミサイルは強化という概念にとどめられている。
パワーを消費してステータスを超強化する、ハイパーモードという要素もわかりやすくていい。
とりあえず強い敵が出たらハイパーモード。これだけでほとんど対処出来る。ボタン配置の関係からミサイルが使いづらくなってしまった感があるのはご愛敬といったところか。

今回はストーリー性が非常に強く、次どこに行くべきかをストーリーとリンクして示してくれるので、つまることがない。
メトロイドと言えば、黙々と一人で謎を解いていくイメージがあるが、そういう面では今作は非常にヒントが多く、何をすればよいかわからないという次元まで突き放されることが無い(これまでも一定時間つまっていると勝手に目的地のヒントが表示されていたが、今回はイベントにかぶせて与えているので違和感がない)。
イベントムービーも多く挿入され、サムスと同様のバウンティハンターをやっているという設定の登場キャラクターもかなり増えている。
しかしDS「メトロイドプライムハンターズ」同様、ストーリーやキャラクタそのものに魅力は感じられない。

ヌンチャクを振って敵の盾を引きはがしたり、レバーをひねる時にリモコンをひねったり、という、面白い操作が沢山盛り込まれ、ゲーム内プレイヤーとの一体感を味わえる。
グラフィックも相変わらずとても綺麗で、その映像が処理落ちすることなく60フレームで軽々しく動くのも気持ちよい。

不満点を強いて言えば、登場するアクションがシリーズ一貫してほぼ同じなので、謎解きもそれに合わせて同じような仕掛けばかりという点で、シリーズ経験者にはマンネリを感じさせるところ。
音楽が相変わらず地味であること。メニュー画面のインターフェイスが馴染みにくい操作になっていること。
また、Xbox360の実績システムに影響されたような、隠し要素を買うさいのチケットシステムが面倒な印象がある。
中でも、メトロイドプライム3を所持したフレンドがいなければ購入出来ない(フレンドに送ることで換金されるチケット)要素なんかはもったいぶりすぎだと思う。
全て集めるには周回プレイ必須なのもなんだかねぇ…。

これほどまでに従来的なゲーム内容にWiiのリモコン操作を120%引き出して、ぴったりとうまく当てはめたゲームは、このゲームが初めてではないだろうか。
「ゼルダの伝説」「スーパーマリオギャラクシー」などでは、従来的な操作を重視するあまり、センサー操作を引いている作りであった。
そういう観点から見ると、良い意味でも悪い意味でも濃いゲームなのは相変わらずだな…と思ってしまう。
良いゲームなんだけど、ついてこれる人が限られてしまう。昔からこのメトロイドシリーズが抱えてきた難題である。
でも腕が疲れるのは勘弁…。そこで結論。

玄人向けに作られた良作。





[2008/03/12]
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